43000ヒットのhana様からリクエストです。
hana様、人生初キリ番おめでとうございます! それがウチでいいのかな?
そしてリクエスト有り難う御座います。
も一つ。遅くなってゴメンなさい。
挨拶が長くなりました。
リク内容は「将軍行灯、シリアスからのラブラブ」ということでした。
シリアスと聞くと、真っ先に別れネタか死にネタと思う霧島は発想が貧困なのが良く解る。
そこで余計な意地を張った結果が、この「シリアス」です。
どうなることやら。
それではどうぞです。
後記⇒どうにかなったら、ラブ度低かった……すみませんっ!
hana様、人生初キリ番おめでとうございます! それがウチでいいのかな?
そしてリクエスト有り難う御座います。
も一つ。遅くなってゴメンなさい。
挨拶が長くなりました。
リク内容は「将軍行灯、シリアスからのラブラブ」ということでした。
シリアスと聞くと、真っ先に別れネタか死にネタと思う霧島は発想が貧困なのが良く解る。
そこで余計な意地を張った結果が、この「シリアス」です。
どうなることやら。
それではどうぞです。
後記⇒どうにかなったら、ラブ度低かった……すみませんっ!
溜め込んで溜め込んで溜め込んで。
貯水率を越えたダムは、決壊するしかないのだ。
「無断欠勤? 田口が?」
久し振りに喫茶・愚痴外来を利用しようとした速水は、施錠された扉に無情に阻まれた。
今日は真面目にコーヒーが飲みたかった速水は、自販機で妥協せず、満天まで上がることにした。
その途中で極楽病棟を覗いてみれば、田口の姿は無く、兵藤の口から意外な事実を告げられたのである。
「そりゃアイツはサボリ魔だが」
学生時代の田口の所業を思い出して言う速水に、兵藤は首を横に振った。
「先輩は怠け者ですけど、給料はちゃんと欲しい人なんです。欠勤じゃカネにならないじゃないですか」
「お前それが先輩に対する評か?」
反射的にツッコミながらも、速水はその評に酷く納得した。
確かに田口はそういう男だ。
だから無断欠勤は、「田口らしくない」ことだと解る。
ましてそれが三日も続いているとなれば、尚更だ。
「ふぅん…………」
口の中でチュッパチャプスを転がしながら、速水は密かに考え込んだ。
「田口?」
一応の礼儀として呼鈴を鳴らしてみたが、反応はまったくなかった。
新聞が新聞受けに突っ込んだままになっているのが異様だ。
留守にする、という話は聞いていない。
不審に思いながら、貰ってはいたが滅多に使ったことのない合鍵で、速水は扉を開けた。
玄関の中にも、ダイレクトメールや新聞が落ちている。
だが、人の気配はあった。
暗い室内で、あちこち電気を点けて歩きながら、速水は家主を探した。
「何だ、いるじゃないか。返事ぐらいしろよ」
「ん…………」
万年床の、布団の上にうつ伏せになって田口は寝転がっていた。
速水が声をかけると、ボンヤリした声が返ってくる。
余りに緩慢な口調に寝ているのかと思ったが、田口の視線がゆるゆるとこちらに動いた。
立ったまま、速水は田口の脇腹を軽く蹴飛ばした。
「無断欠勤って、何やってんだよ、お前」
「ん……………………」
速水の言葉に返ってくるのは、間延びした音だけだ。
田口は起き上がろうともしなければ、顔も動かさない。
眠りに落ちるかのように、ゆっくりと瞼が閉じていく。
その時になって、速水はこれは変だと思った。
いくら田口が怠け者だからと言って、この状態は有り得ない。
「…………お前、具合悪いのか? メシ食ってる?」
「メンドくさ…………」
「ロクに食ってねえのか?!」
速水が思わず叫んだ。
田口の方は、頭を小さく動かしただけだ。
頷いたのかすら判断出来ない、僅かな動きだ。
台所に行って確かめてみれば、食パンを食い散らかしたような跡があった。汚れたマグカップがシンクに放置してある。
だが、生ゴミがちっとも無かった。料理をしていないのだ。
それでは、食べたと言っても高が知れる。
「お前何やってんだっ?!」
台所から戻った速水がもう一度怒鳴ると、やっと田口は身体を起こした。
しかしそれも酷く億劫そうだった。
三日、ろくろく食べていないなら当然だろう。
田口はずるずると尻で這って壁に背中を預けると、それだけで体力を消費しきったように重い溜息を吐いた。
「何か、メンドくさくて……」
「メンドくさい、で餓死するヤツが何処にいる?!」
「うん…………」
田口の口から出るのは間遠な相槌ばかりだ。
このままでは埒が明かない。
速水は田口の前に座り込み、両手で田口の頬を挟んだ。
薄暗い部屋の中でも、明らかに田口はやつれているのが解った。
「何があったんだ?」
「何って、別に何も…………何も、無くて」
「うん」
「毎日、愚痴、聞いてて、何だか同じで」
「うん」
「変わらないし、もう、いいかなって、メンドくさくて」
「うん」
「そう思ったら、動け無くて、仕事も」
「うん」
切れ切れの言葉に、速水はただ相槌を打った。
こういうことは田口の仕事なのに。
口を挟まないようにしながら、速水は田口の言葉を脳内で整理する。
結論は、これは良くない兆候だということだった。
速水は心理学や精神病理には一通りの知識しかない。
田口の状態が、心療内科の管轄になりそうだというくらいにしか判断が付かない。
だが、田口に関しては速水が専門家だ。
速水にだけ出来ることがあった。
田口の頬に触れていた手を滑らせ、田口を抱き寄せた。
抵抗もなく凭れかかってきた身体をそっと抱き締めて、田口の耳に囁いた。
「言えよ」
「……………………??」
「不満とかイヤな事とか、患者の悪口とか、いいから言っちまえ。溜め込むから身体に悪いんだ。俺は言ってるぞ」
田口が小さく身動ぎした。
頷いたのか、それとも単に速水の腕から抜け出したいのか。
判断も出来ないほど、ほんのわずかな動きだ。
だが、反応したという事自体は悪くない。速水はそう思う。
「俺が聞いてやる、勿論、秘密厳守だ。どんなことだっていい、俺に言え」
「う、ん……………………」
今度は明らかに、速水の言葉に対しての返答だった。
力なく畳に落ちていた腕が、ゆるゆると持ち上がって速水の服に触れた。
恐る恐る、という風情で田口の指に力が入っていく。
じりじりと焦がれる思いで、速水はそれを待った。
田口は数日の入院の後、通常業務に復帰することになった。
三日の絶食状態はかなり田口の体力を削っていたようだ。
速水は、田口の状態を高階と藤原に報告したが、二人とも表面立って田口を労わろうとする様子はなかった。
全くにいつも通りで、それが逆に有難いのだろう。
「聞けよ、速水」
ほぼ元の顔色に戻った田口が、不貞腐れた顔で訴える。
その田口の頭を軽く撫で、速水は笑った。
「聞くよ」
愚痴も不平不満も悪口も。
田口の話を聞くのは、速水の専売特許なのだから。
貯水率を越えたダムは、決壊するしかないのだ。
「無断欠勤? 田口が?」
久し振りに喫茶・愚痴外来を利用しようとした速水は、施錠された扉に無情に阻まれた。
今日は真面目にコーヒーが飲みたかった速水は、自販機で妥協せず、満天まで上がることにした。
その途中で極楽病棟を覗いてみれば、田口の姿は無く、兵藤の口から意外な事実を告げられたのである。
「そりゃアイツはサボリ魔だが」
学生時代の田口の所業を思い出して言う速水に、兵藤は首を横に振った。
「先輩は怠け者ですけど、給料はちゃんと欲しい人なんです。欠勤じゃカネにならないじゃないですか」
「お前それが先輩に対する評か?」
反射的にツッコミながらも、速水はその評に酷く納得した。
確かに田口はそういう男だ。
だから無断欠勤は、「田口らしくない」ことだと解る。
ましてそれが三日も続いているとなれば、尚更だ。
「ふぅん…………」
口の中でチュッパチャプスを転がしながら、速水は密かに考え込んだ。
「田口?」
一応の礼儀として呼鈴を鳴らしてみたが、反応はまったくなかった。
新聞が新聞受けに突っ込んだままになっているのが異様だ。
留守にする、という話は聞いていない。
不審に思いながら、貰ってはいたが滅多に使ったことのない合鍵で、速水は扉を開けた。
玄関の中にも、ダイレクトメールや新聞が落ちている。
だが、人の気配はあった。
暗い室内で、あちこち電気を点けて歩きながら、速水は家主を探した。
「何だ、いるじゃないか。返事ぐらいしろよ」
「ん…………」
万年床の、布団の上にうつ伏せになって田口は寝転がっていた。
速水が声をかけると、ボンヤリした声が返ってくる。
余りに緩慢な口調に寝ているのかと思ったが、田口の視線がゆるゆるとこちらに動いた。
立ったまま、速水は田口の脇腹を軽く蹴飛ばした。
「無断欠勤って、何やってんだよ、お前」
「ん……………………」
速水の言葉に返ってくるのは、間延びした音だけだ。
田口は起き上がろうともしなければ、顔も動かさない。
眠りに落ちるかのように、ゆっくりと瞼が閉じていく。
その時になって、速水はこれは変だと思った。
いくら田口が怠け者だからと言って、この状態は有り得ない。
「…………お前、具合悪いのか? メシ食ってる?」
「メンドくさ…………」
「ロクに食ってねえのか?!」
速水が思わず叫んだ。
田口の方は、頭を小さく動かしただけだ。
頷いたのかすら判断出来ない、僅かな動きだ。
台所に行って確かめてみれば、食パンを食い散らかしたような跡があった。汚れたマグカップがシンクに放置してある。
だが、生ゴミがちっとも無かった。料理をしていないのだ。
それでは、食べたと言っても高が知れる。
「お前何やってんだっ?!」
台所から戻った速水がもう一度怒鳴ると、やっと田口は身体を起こした。
しかしそれも酷く億劫そうだった。
三日、ろくろく食べていないなら当然だろう。
田口はずるずると尻で這って壁に背中を預けると、それだけで体力を消費しきったように重い溜息を吐いた。
「何か、メンドくさくて……」
「メンドくさい、で餓死するヤツが何処にいる?!」
「うん…………」
田口の口から出るのは間遠な相槌ばかりだ。
このままでは埒が明かない。
速水は田口の前に座り込み、両手で田口の頬を挟んだ。
薄暗い部屋の中でも、明らかに田口はやつれているのが解った。
「何があったんだ?」
「何って、別に何も…………何も、無くて」
「うん」
「毎日、愚痴、聞いてて、何だか同じで」
「うん」
「変わらないし、もう、いいかなって、メンドくさくて」
「うん」
「そう思ったら、動け無くて、仕事も」
「うん」
切れ切れの言葉に、速水はただ相槌を打った。
こういうことは田口の仕事なのに。
口を挟まないようにしながら、速水は田口の言葉を脳内で整理する。
結論は、これは良くない兆候だということだった。
速水は心理学や精神病理には一通りの知識しかない。
田口の状態が、心療内科の管轄になりそうだというくらいにしか判断が付かない。
だが、田口に関しては速水が専門家だ。
速水にだけ出来ることがあった。
田口の頬に触れていた手を滑らせ、田口を抱き寄せた。
抵抗もなく凭れかかってきた身体をそっと抱き締めて、田口の耳に囁いた。
「言えよ」
「……………………??」
「不満とかイヤな事とか、患者の悪口とか、いいから言っちまえ。溜め込むから身体に悪いんだ。俺は言ってるぞ」
田口が小さく身動ぎした。
頷いたのか、それとも単に速水の腕から抜け出したいのか。
判断も出来ないほど、ほんのわずかな動きだ。
だが、反応したという事自体は悪くない。速水はそう思う。
「俺が聞いてやる、勿論、秘密厳守だ。どんなことだっていい、俺に言え」
「う、ん……………………」
今度は明らかに、速水の言葉に対しての返答だった。
力なく畳に落ちていた腕が、ゆるゆると持ち上がって速水の服に触れた。
恐る恐る、という風情で田口の指に力が入っていく。
じりじりと焦がれる思いで、速水はそれを待った。
田口は数日の入院の後、通常業務に復帰することになった。
三日の絶食状態はかなり田口の体力を削っていたようだ。
速水は、田口の状態を高階と藤原に報告したが、二人とも表面立って田口を労わろうとする様子はなかった。
全くにいつも通りで、それが逆に有難いのだろう。
「聞けよ、速水」
ほぼ元の顔色に戻った田口が、不貞腐れた顔で訴える。
その田口の頭を軽く撫で、速水は笑った。
「聞くよ」
愚痴も不平不満も悪口も。
田口の話を聞くのは、速水の専売特許なのだから。
PR
COMMENT
ありがとうございます!
桐島さま
こんにちは。
あんな漠然としたリクでこんなに素敵な小説を書いていただけるとは・・!
行灯先生を甘やかすのがライフワークです!みたいな将軍が大変素敵です。
これからも応援させていただきます。
ありがとうございました!
こんにちは。
あんな漠然としたリクでこんなに素敵な小説を書いていただけるとは・・!
行灯先生を甘やかすのがライフワークです!みたいな将軍が大変素敵です。
これからも応援させていただきます。
ありがとうございました!
Re:ありがとうございます!
こちらこそ、あんなので宜しかったのでしょうか? 非っ常に疑問です。
だってラブ度かなり低くない? シリアスってより、病んでるカンジがしません?
やっぱり大人しく死にネタ書いとくべきだったか……。
>将軍のライフワーク
ええ。ヤツは行灯先生の専門医ですから。専攻は田口学でした、とか。
……こう書くと酷くバカになってきたな。
こんな管理人ですが、呆れないで下さいませ。
またのご来場を楽しみにしております。
だってラブ度かなり低くない? シリアスってより、病んでるカンジがしません?
やっぱり大人しく死にネタ書いとくべきだったか……。
>将軍のライフワーク
ええ。ヤツは行灯先生の専門医ですから。専攻は田口学でした、とか。
……こう書くと酷くバカになってきたな。
こんな管理人ですが、呆れないで下さいませ。
またのご来場を楽しみにしております。