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こちらは、愚痴外来シリーズの妄想文を展開するブログです。 行灯先生最愛、将軍独り勝ち傾向です。 どうぞお立ち寄り下さいませ。
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44444ヒットのkiri様からのリクエストです。
kiri様、ヒットおめでとう&リクエスト有り難う御座います。


リク内容は「将軍行灯、後ろからぎゅっ」でした。
タイトルからお察しの通り、コメディ方向です。
ついでに5月企画に便乗して学生時代設定。
リクエストに時代指定は無かったから、これはズルでもリク外しでもない。

「たーぐちっ」
「うわっ!」

後ろから圧し掛かられて、田口は声を上げた。
田口が前のめりになったことで、田口の正面にいた島津は一歩下がって距離を取る羽目になった。
加害者である速水は悪びれもせず、ちらっと島津に視線を寄越しただけ。
その視線の意図が薄々解ってしまう島津は、長い溜息を吐いた。

「重いっ! 何すんだよ、速水っ?!」
「失礼だなぁ、俺はそんな太ってないぞ」
「バカか、お前、図体デカい分フツーにしてたって重いに決まってるだろ! いいからどけっ」
「いーやーだー」
「痛い痛いっ! 頭痛いってば!」

田口は派手に文句を言ったが、速水に離れる様子は無かった。
逆に、ぐりぐりと田口の頭に顎を押し付ける。
元々体力の無い田口の抵抗など微々たるもので、速水を振り払うことも出来ずにいた。
結局、島津が助け舟を出すことになる。
速水の後ろ襟を掴んで引っ張ったのだ。

「げえっ」
「いい加減にしとけ」
「お前、俺を殺す気か?」
「お前がいなくなったら静かになるな」

首が締まった速水は恨めしそうな顔で言うが、島津は平然と答えた。
速水はますます憮然とする。
そんな速水に呆れて島津は再度溜息を吐いた。

「俺まで牽制しなくてもいいだろが」

二人してこっそり見る先は、解放されて気を緩めている田口だ。
島津の囁きに速水はニヤリと笑う。

「触りてえってのもあるからなぁ」

速水が田口に抱きつく理由。
田口が全く気付かないそれを、不幸な偶然で島津は知ってしまった。
以後、済し崩しに速水の恋愛事情に巻き込まれている島津である。
幾つ目かの溜息を吐いた島津に、速水は性質の悪い笑顔を浮かべたまま言った。

「いい加減慣れねえかな、行灯。そしたら触り放題なのに」
「…………セクハラは止めとけ」

島津としては、そうとしか返しようが無かった。



十数年後の東城大病院内の話。

「たーぐちっ」
「速水か…………」

廊下で兵藤と立ち話をしていた田口は、後ろから抱きつかれて溜息を吐いた。
兵藤は驚いて目を見開いているが、田口は平然としたものだ。
そのまま仕事の話を続けようとする田口に、兵藤は恐る恐る問いかける。

「あの、速水先生は…………?」
「いーのいーの。コイツは学生の時からこうなんだ。放っとけ」
「ひっでぇの」

田口の物言いに速水はからりと笑う。
だが、それでも速水は田口に抱きついたままだったし、田口も気にしなかった。
速水の長期的作戦が功を奏したことを、島津だけが知っているのである。
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