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こちらは、愚痴外来シリーズの妄想文を展開するブログです。 行灯先生最愛、将軍独り勝ち傾向です。 どうぞお立ち寄り下さいませ。
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桃色注意報発令中

続きです。
何か今なら勢いでがーっと書けそうな気がする……!
昼ドラって見たことないんですけど、濡れ場入れてもいいよね?

そもそも同性の恋人など、大っぴらに出来るものではない。
その上、加納は警察庁のキャリアだ。まだまだ出世するだろう。
プライベートの瑕瑾が、社会的な致命傷となる可能性は大いにあった。
だから、加納が田口の存在に注意を払うのは、解っているつもりでいたのだ。
だが、田口の存在はそれほどまでに隠したい汚点だったのか。
携帯電話の着信履歴さえ残さないほどの。



加納ご自慢のベンツで連れて行かれたのは、既に隣県だった。
富士の麓にある、由緒ありげな旅館である。一夜の逢瀬には勿体無いレベルだ。
逢うのはいつも加納の都合だった。
加納の方が多忙で不規則なのだ、当たり前のことである。
呼び出されて、桜宮で落ち合って、それから何処かへ、というパターン。
桜宮から離れるのも、つまりは人目を気にしての事だろう。
考えれば考えるほど、何もかもが悪い方へ転がっていく。

「う…………ぁっっ」

内側から揺らされて声が上がった。
田口を背後から抱き締めた加納は、喉の奥で笑いながら田口の項に痕を残す。
左ばかり触られた胸の飾りが赤く血を集めている。

「待てよ、まだだ」
「そんっ、あぁ…………っうんっ、」

加納の手が雫を零している田口の雄を強く握る。
そのまま突き上げられて、喉の奥から声が飛び出る。
気紛れにしか田口を刺激しない意地の悪い加納に焦れて、田口は加納の腕を払おうと手を動かした。

「…………も、ぅっ……ぁ、ぁんっ」

狙い澄ましたように竿を擦り上げられて、田口の手は加納に沿うだけになる。
欲を吐き出すと共に、体内に熱い迸りを感じた。
この瞬間だけ、脳裏は真っ白だ。
何も考えたくないなと思いながら田口は目を閉じた。



「じゃあな。また連絡する」
「…………ええ」

桜宮の駅前に加納は田口を下ろした。
不満は無かった。
田口のアパートは此処からさほど遠くはないし、路地が狭くてベンツには不自由なのだ。
不満は無い。
そんな事を考えているあたりが、もう、かなり辛い証拠なのだろう。

「…………加納さん」

ベンツのエンジン音は低く重く、躍動感がある。静かな日本車とは対照的だ。
その音の隙間を縫うように呼びかけた田口の声に、加納は眉を上げた。
視線だけで「何だ」と田口に尋ねている。

「いつもすみません、警察も大変ですよね」

人目を忍ぶようにしか逢えないこと、その負担を加納ばかりが背負っていること。
詫び言のフリをして、田口は密かな針を忍ばせた。
加納は溜息を一つ吐いた。

「まったくだ。憲法上の自由権は建前か? 能力と主義主張にゃ何の関係もねえだろうに」

そのまま加納は一頻り、閨閥で出世した上司と、キャリアで使えない部下の文句を零す。
警察庁内部の暴露話に、田口は虚ろな愛想笑いを浮かべた。



家は近かったが帰る気になれず、田口はそのまま歩いていた。
漠然と向かうのは東城大だ。
田口は本日休みになっているから、病院に行く必要も無いのだが。
冬の長い夜もようやっと明け始めている。
もう二時間もしないうちに、昼の通常勤務が始まるはずだ。
東城大に着いた頃には、オレンジ色の朝日が光と影の世界を描いていた。
斜陽を噂されるオレンジ新棟が、朝日を浴びて光っているのはある意味皮肉だろうか。

「行灯?」

怪訝そうな声に田口は振り返った。
オレンジ新棟の救急搬入口前に立っていたのは速水だ。
当直の合間に外の空気を吸いに来たのだろう、術衣に白衣を引っ掛けただけという格好だ。
田口は思わず尋ねた。

「お前、寒くないのか?」
「鍛えてるからな。お前こそ、珍しい時間にいるじゃないか」
「……珍しい、かな」
「珍しいね。お前みたいな寒がりが、夜明けの時間に出勤したり帰ったりするワケねえだろ」
「酷い言い方…………」

速水の言葉に田口は思わず笑ってしまった。
確かに速水の言う通りだ。
冬場は布団とコタツから離れられない田口とって、こんな時間に外にいる事は考えられない。
だからこそ、速水にも気付かれてしまった。

「…………何かあったのか?」

気遣わしげな口調に、田口はひっそりと笑った。
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「すら」は寂寥感を感じます。
2回目拝読しました
あぁ、猟犬が素敵。キャリア、傲慢、我が儘、自分勝手と官僚猟犬驀進中。
「さえ」と「すら」ですが確かに「さえ」は自然ですけど「すら」の方が田口先生の寂寥感を私は感じました。

携帯の着信履歴消したことないです、消す必要性ってなんでしょうね。んー、自分でもよく判らないですね。
錆兎 2010/01/14(Thu)16:19:45 編集
Re:「すら」は寂寥感を感じます。
いらっしゃいませ、コメント有り難う御座います。
そっかぁ、フツーは携帯の着信履歴ってあんまり気にしないモンか。
よかった、大きく世間からズレたこと書かなくて。参考になりました!
「さえ」と「すら」の違いは国語辞典引いても漠然としか解らんかったです。語感のみ! 何となく!
もうちょっとガンバりますので、どうぞ宜しくお付き合い下さいませ。
S.Kirishima 2010/01/15 20:17
はうん☆
ヤバイです。本気で、ドキドキしておりますw
(えー、私事ですが、明日は休みなので現在晩酌中なんです…)

お酒の所為か、感受性が増加しとる様で、行灯先生の寂寥感に共感してしまい、現在とても、あるイミ居たたまれない気分になっております…www



はぁ…。行灯センセには、いつでも、幸せに笑っていて貰いたい………。


っつーても、相手が猟犬ぢゃあねぇ…www(←暴言w)
たれざる 2010/01/14(Thu)20:33:16 編集
Re:はうん☆
いらっしゃいませ。アルコールが程良く効いているようですねぇ。
ウチの駄文も三割増しか? いいな、それ。
猟犬相手に行灯先生の幸せって……確かに難しいなぁ。
書いたことないからそう思ってるのかもしれないけど、ウチじゃ小ネタ担当ですもんね、猟犬って。
リクエストがハッピーエンドなので、そっち方向へガンバリたいと思います。
どうぞもう暫くお付き合い下さいませ。
S.Kirishima 2010/01/15 20:23
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