間が空きました。同期三人宴会話の続きです。
多分決着つくと思います……多分ってトコがまた……。
著作権とロボット検索対策として、スラッシュを多用しています。
一部読み辛い部分はご容赦下さい。
また、脳内映像補完に、ようつべなどの動画検索が役立つかと思います。
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結果から言えば、すずめ常連トリオの「春/一番」はウケた。
島津と速水がキ/ャンディ/ーズ、というギャップが何よりツボだったらしく、ほとんど誰も歌は聴いていなかったようだ。
聴いていたとしても、島津の外れっぷりを楽しんでいたらしい。
大いに盛り上がった観客に安堵して、三人はさっさと席に戻ろうとした。
「ねえ。さっきコーラス入れてたの、田口先生?」
「あ、はあ…………」
田口が同じ科の看護婦に声をかけられていた。
田口の返答は曖昧だ。迂闊なことを言って、とんでもない展開になるのは避けたいのだろう。
だが、速水にだって薄々予想のつく展開だった。
「田口先生って歌上手いのね……意外」
「そんなコトないですよ」
「ねえ、今度は一人で歌ってみない?」
「ヤです」
「そんなこと言わないで。先輩命令」
「ぜーったいヤです」
先輩命令と言われても、田口は頷かない。
へろへろしているように見えて頑固だったりするのだ。
予想通りの面白い展開に、速水はニヤニヤ笑っていた。
まあ、他人事だ。
「じゃあ速水くんと二人」
とばっちりが速水の方に来た。
速水が反論するより早く、裏切り者が現れる。
「そうだそうだ。見せてやれよ、東城大無敵のワイドスペクトルコンビの必殺技。予餞会で大ウケしたヤツ」
島津である。
速水が睨みつけると、島津はニヤリと根性の曲がった笑みを浮かべた。
「てめぇ…………」
「ふん。覚えてろって言ったろ、俺は」
先刻の報復措置なのだ。
速水がまた歌うらしいと察して若い女性陣は漣立ち、予餞会を知っている1つ2つ上の若手医師が笑いだす。その笑いに期待をそそられて、中堅クラスの看護婦や医師が囃し立てる。
「速水…………」
困って眉を下げた、情けない顔の田口が速水を見た。
田口の気持ちは解る。この場を放棄したいのは速水も同感だ。
だが、雰囲気からして既に逃げられそうにない。
速水は天井を仰いで溜息を吐いた。
「お前が、ヘンに上手いから悪い」
「文句なら彦根に言え。で、何やる?」
「田口先輩って耳がいいのかもしれませんね」などと言って、田口にコーラスを教えたのは後輩の彦根だったりする。予餞会の出し物に困っていた時のことだ。
彦根の入れ知恵で予餞会を乗り切ったが、それがこう後を引くとは速水も田口も思っていなかった。
「これっきりですからね」
速水は周囲に宣告して、再度田口と共に、衆人の前に立つことになったのだった。
「で、何歌ったんですか?」
「ピン/ク/レディーの『ペッパ/ー警/部』」
速水の言葉に佐藤副部長代理は目を向いた。
キャン/ディー/ズでも度肝を抜かれたが、これもまたビックリな選択肢だ。
速水と田口が並んで歌っている姿を想像しようとして、佐藤は想像力の限界を感じた。
「アレは最初の『ペッパ/ー~~警/部っ』のトコだけ合えば、そこそこ見られるんだ。ウケたぞ。新人賞を貰ったからな」
「はあ…………」
懐メロ特集で見る、ピ/ン/クレデ/ィーの振り付けをおぼろげに思い出して、佐藤はボンヤリと頷いた。
速水の方はというと、佐藤の困惑顔を見ながらニヤニヤ笑っている。
「ま、新人の年は先輩命令とかで引っ張り出されてさんざん歌わされたが、次の年からは行灯のヤツが尽く当直を入れて逃げ回りやがった。行灯がいなきゃ俺も言い訳しやすい。宴会自体ほとんど出なくなって、今に至るワケだ」
「また歌わないんですか?」
速水が歌うとなったら、盛り上がるだろうなぁ。
男としては苦々しい思いを混ぜながらも、佐藤は尋ねる。
速水はニヤリと笑った。
「行灯が一緒ならな」
「悪寒…………風邪かな?」
同日同時刻の不定愁訴外来。
田口は背中を這い上ってくる悪寒に身を震わせた。
数日後、オレンジ有志の看護士たちにカラオケボックスに強制連行されることを、今の田口は知る由もなかった。
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