12月企画、トワ様からのリクエストです。
トワ様、企画参加有り難う御座いました!
さて、リクエスト内容ですが。
「寒い日の朝、布団からぬけられない行灯先生とそれをいじる将軍」
ということです。
切実……私も布団から出たくないです……布団と一体化したい。凄く。
設定はお付き合い中、半同棲状態みたいなカンジです。
学生時代バージョンをおまけSSSとしてくっつける(予定)ので、そちらもお楽しみ頂ければ幸いです。
それではどうぞ。
トワ様、企画参加有り難う御座いました!
さて、リクエスト内容ですが。
「寒い日の朝、布団からぬけられない行灯先生とそれをいじる将軍」
ということです。
切実……私も布団から出たくないです……布団と一体化したい。凄く。
設定はお付き合い中、半同棲状態みたいなカンジです。
学生時代バージョンをおまけSSSとしてくっつける(予定)ので、そちらもお楽しみ頂ければ幸いです。
それではどうぞ。
春の眠りの心地良さは夜明けも解らなくなるほどというが、冬の眠りだって十二分に心地良い。
肌に馴染むシーツの感触と程よく重い毛布、枕に残る人の匂い。
そういったものを夢現つで田口は楽しんでいた。
もうちょっと意識を手放せば、また寝られる。
それなのに、だ。
「なあ、起きろよ」
夢の園に土足で踏み入ってくる男がいる。
ヤツの土足はさぞ長かろう。
「俺もう出かけるんだぞ」
「…………いってらっしゃーいぃ」
本日、速水は早番出勤である。一方の田口は休み。
休みの日ぐらい、惰眠を貪ってもいいではないか。
……まして昨夜、人を散々翻弄して疲弊させたのは何処のどいつだ。
眠気の残る頭でそこまで考えたワケでもないが、田口は布団を身体に巻き込みながら力のない声で呟いた。
耳のあたりまで布団をかぶって、速水の声をシャットダウンしようとする。
「おいこら、起きろって」
「ぐえっ」
布団の上から圧し掛かられて、田口は唸り声を上げた。
横向きに寝た肩の上に速水が乗ったものだから、骨格が歪むような感触に襲われる。
速水の方はそんな田口に構わず、布団からはみ出した田口の耳に甘く噛みついた。
唇で挟んで揉むと、耳殻を舌でなぞる。
艶めいた悪戯に田口は流石に声を荒げた。
「やっ、速水、止めろよっ」
「お前が起きたらな」
「う~~~~っ」
仕方がない、唸りながら田口は向きを変えた。
仰向けになって眠い目を擦ると、至近距離で速水がこちらを覗き込んでいるのが解る。
既に出勤の支度も済んで、もう冬のコートも装着済みだった。
田口の視界の中で、ツラだけはいい男がにっこり笑った。
「いってきます」
「ん…………」
頬に一つと唇に一つ、柔らかいキスが落ちてくる。
速水とのキスは嫌いじゃない。
されるがままにキスを受け止めて、田口は瞼が落ちるに任せた。
今なら気持よく寝られそうな気がする。
だが、速水は二度寝を許してくれなかった。
「なあ、お返しは?」
「お、返し…………?」
「いってらっしゃいのちゅー。してくんないの?」
「ん――――」
ようやっと、速水がしつこく人を起こした理由に思い当たる。
いってらっしゃいを言って欲しかったのか。
何て我儘で自分勝手だと思うが、反面、何か可愛いと思ってしまうのは、惚れた欲目というものか。
田口は布団から腕を出して速水の頭を探した。
布団内部の温度とは違う、僅かな冷気が腕を撫でた。
心得た速水が距離を詰めるのに助けられて、田口は首だけ伸ばして速水の頬にキスを贈った。
「いってらっしゃい」
「ん」
軽く触れてそれだけ囁けば、速水はそれで満足したようだった。
もう一度、今度は田口の額にキスを落として、速水は田口を解放してくれた。
玄関の鍵がかかる音を、意識の遠くで聞く。
布団の中に腕を戻すと温もりがすぐに身体に馴染んだ。
「ん…………」
そうして田口は、再び幸せな眠りの世界に落ちたのだった。
肌に馴染むシーツの感触と程よく重い毛布、枕に残る人の匂い。
そういったものを夢現つで田口は楽しんでいた。
もうちょっと意識を手放せば、また寝られる。
それなのに、だ。
「なあ、起きろよ」
夢の園に土足で踏み入ってくる男がいる。
ヤツの土足はさぞ長かろう。
「俺もう出かけるんだぞ」
「…………いってらっしゃーいぃ」
本日、速水は早番出勤である。一方の田口は休み。
休みの日ぐらい、惰眠を貪ってもいいではないか。
……まして昨夜、人を散々翻弄して疲弊させたのは何処のどいつだ。
眠気の残る頭でそこまで考えたワケでもないが、田口は布団を身体に巻き込みながら力のない声で呟いた。
耳のあたりまで布団をかぶって、速水の声をシャットダウンしようとする。
「おいこら、起きろって」
「ぐえっ」
布団の上から圧し掛かられて、田口は唸り声を上げた。
横向きに寝た肩の上に速水が乗ったものだから、骨格が歪むような感触に襲われる。
速水の方はそんな田口に構わず、布団からはみ出した田口の耳に甘く噛みついた。
唇で挟んで揉むと、耳殻を舌でなぞる。
艶めいた悪戯に田口は流石に声を荒げた。
「やっ、速水、止めろよっ」
「お前が起きたらな」
「う~~~~っ」
仕方がない、唸りながら田口は向きを変えた。
仰向けになって眠い目を擦ると、至近距離で速水がこちらを覗き込んでいるのが解る。
既に出勤の支度も済んで、もう冬のコートも装着済みだった。
田口の視界の中で、ツラだけはいい男がにっこり笑った。
「いってきます」
「ん…………」
頬に一つと唇に一つ、柔らかいキスが落ちてくる。
速水とのキスは嫌いじゃない。
されるがままにキスを受け止めて、田口は瞼が落ちるに任せた。
今なら気持よく寝られそうな気がする。
だが、速水は二度寝を許してくれなかった。
「なあ、お返しは?」
「お、返し…………?」
「いってらっしゃいのちゅー。してくんないの?」
「ん――――」
ようやっと、速水がしつこく人を起こした理由に思い当たる。
いってらっしゃいを言って欲しかったのか。
何て我儘で自分勝手だと思うが、反面、何か可愛いと思ってしまうのは、惚れた欲目というものか。
田口は布団から腕を出して速水の頭を探した。
布団内部の温度とは違う、僅かな冷気が腕を撫でた。
心得た速水が距離を詰めるのに助けられて、田口は首だけ伸ばして速水の頬にキスを贈った。
「いってらっしゃい」
「ん」
軽く触れてそれだけ囁けば、速水はそれで満足したようだった。
もう一度、今度は田口の額にキスを落として、速水は田口を解放してくれた。
玄関の鍵がかかる音を、意識の遠くで聞く。
布団の中に腕を戻すと温もりがすぐに身体に馴染んだ。
「ん…………」
そうして田口は、再び幸せな眠りの世界に落ちたのだった。
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COMMENT
ぬくぬく君とはらぺこ君
「いるんだろ――っ。あんどーんっ」
呼鈴連打と玄関先での連呼に、流石の田口も居留守を決め込むワケにはいかなくなった。
折角布団の中で幸せに浸っていたというのに。
仕方なく、田口は布団を背負ったまま玄関へ向かう。
だって寒い。部屋が冷えている。
床が冷たくて、裸足の爪先が縮みそうだ。
「…………何だよ、速水ィ?」
「腹減った、飯食わせて」
「……………………っ」
朝から強襲してきた理由に田口は唖然としてしまう。
何か言ってやりたいが、眠りの尻尾を引き摺っている脳ミソでは悪口雑言の一つも出てこない。
そんな田口を余所に、速水の方はと言うと、
「布団虫かよっ」
布団を被ったまま出てきた田口のことを、カラカラと明るい声で笑った。
呼鈴連打と玄関先での連呼に、流石の田口も居留守を決め込むワケにはいかなくなった。
折角布団の中で幸せに浸っていたというのに。
仕方なく、田口は布団を背負ったまま玄関へ向かう。
だって寒い。部屋が冷えている。
床が冷たくて、裸足の爪先が縮みそうだ。
「…………何だよ、速水ィ?」
「腹減った、飯食わせて」
「……………………っ」
朝から強襲してきた理由に田口は唖然としてしまう。
何か言ってやりたいが、眠りの尻尾を引き摺っている脳ミソでは悪口雑言の一つも出てこない。
そんな田口を余所に、速水の方はと言うと、
「布団虫かよっ」
布団を被ったまま出てきた田口のことを、カラカラと明るい声で笑った。
ありがとうございますvv
はぁう~ん…素敵なお話ありがとうございますvvしかも学生時代のおまけストーリーまで!感激です!
可愛いじゃないですか、布団行灯!そして将軍は上機嫌で仕事に行ったんでしょうね(笑)
布団からなかなかぬけられない寒い日が続きますが、風邪に気をつけて下さいね。素敵なお話楽しみにしています(*^-^*)
可愛いじゃないですか、布団行灯!そして将軍は上機嫌で仕事に行ったんでしょうね(笑)
布団からなかなかぬけられない寒い日が続きますが、風邪に気をつけて下さいね。素敵なお話楽しみにしています(*^-^*)
Re:ありがとうございますvv
コメント有り難う御座います!
そのまま二人でイチャイチャ二度寝ってのもアリかと思ったのですが、二度寝出来るのに将軍だってわざわざ起きないだろと思って。怠け者の実体験です。
ひたすら布団のことを思って書いてたので、眠くなったという曰く付きの一品でした。お楽しみ頂ければ幸いです。
ではでは。世間は冬休みですねぇ。お布団を満喫して下さい。
で、時々ウチにも遊びに来て下さると嬉しいナ。
そのまま二人でイチャイチャ二度寝ってのもアリかと思ったのですが、二度寝出来るのに将軍だってわざわざ起きないだろと思って。怠け者の実体験です。
ひたすら布団のことを思って書いてたので、眠くなったという曰く付きの一品でした。お楽しみ頂ければ幸いです。
ではでは。世間は冬休みですねぇ。お布団を満喫して下さい。
で、時々ウチにも遊びに来て下さると嬉しいナ。