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こちらは、愚痴外来シリーズの妄想文を展開するブログです。 行灯先生最愛、将軍独り勝ち傾向です。 どうぞお立ち寄り下さいませ。
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いつこ様からの、12月企画リクエストです。
いつこ様、ご参加有難う御座いました!

リク内容は「サンタの代理で病院関係者にクリスマスプレゼントを配るサン田口」ということでした。
随分昔、確かホワイトデーの頃に登場した、「東城大娯楽探究会」が活躍します。
そしてやっぱり何か違うカンジが……。
あ、東城大の病棟数を勝手に12にしています。本館が13階建なので、ちょっと引いた計算です。


追記:何か長くなったので前後編に予定変更! 間に合え、クリスマス。

「おめでとう御座います! 今年のクリスマス・プレゼンテーターは、田口先生に決定しました!」

不定愁訴外来に突如現れた島津は、大きな声でそう言うと持参したクラッカーを三つまとめて鳴らした。
大きな音に田口は本当によろめいた。
ぶつかったデスクで身体を支えながら、田口は突然の侵入者を見る。
テンションの高い口調とは別に、島津は全くいつも通り、どこかむすっとした気難しそうな顔だった。
島津の手にあるカラフルなクラッカーと、びろんと下がったテープがものすごい違和感を醸し出している。

「し、島津? 何事だ?」
「だから、クリスマス・プレゼンテーター」

田口が尋ねると、島津は一通の封筒を田口に差し出した。
糊の貼っていないその封筒を開けて、田口は中身を引っ張り出した。
田口が文面を読む間、島津は手元のテープをくるくると巻いて回収していた。

「…………投票の結果、09年度『この先生にプレゼントを貰いたい』大賞に輝きました…………って、何だ、これ?」
「東城大娯楽探究会のクリスマス特別企画だ」
「まだあったのか、それ」

東城大娯楽探究会は、悪名高い東城大のアングラ組織だ。
「いつでも探せ、無ければ作れ」という不穏なモットーの下、東城大内の面白いモノを日々探し回っている。
同期の島津がそんな傍迷惑なものに関わっていると知った時、田口は愕然としたのだった。

「っつーワケだから、お前、クリスマスプレゼント用意して配れよ」
「はいぃっ?!」
「ほいコレ、経費とリストな。この範囲内ならお前の好きにしていいぞ」

田口がワケも解らないでいるうちに、島津はもう一つの封筒を田口に押し付けた。
田口が中を覗けば、先ほどと同じような事務用便箋一枚と、特徴的な色をした紙幣。枚数は五枚。

「って、五万円も?!」
「クリスマス前には何とかしろよ。じゃあな」

何度目かの驚愕に目を見開いた田口を放置し、島津はさっさと退散していった。
呼び止めることも出来ずに島津を見送ってしまった田口は、扉が閉まって暫くしてからがっくりと肩を落とした。

「…………いつからあんな、迷惑な奴になったんだ?」

学生時代は寧ろ、面倒見のいいタイプだったと思ったが。
どれほど島津の変容に首を傾げても、田口の手の中の五万円は消えてなくならなかった。



「よぉ、どうした? お、ちゃんと用意したな」

そして、二十四日の午前中。
見計らったように島津は不定愁訴外来に姿を現した。
外来に積まれたクリスマスギフトを見つけ、ご満悦そうに頷いている。
何度吐いたか解らない溜息を、田口はもう一度吐いた。

「金置いていかれて、無視するワケにもいかないだろ」

しかも恐らく、金を返そうとする田口を島津は避けていた。
返金も着服も出来ず、田口は仕方なしにクリスマスギフトを買い込んだのだ。

「数合ってるよな?」
「多分。病棟分が十二と、病院長と藤原さんと、速水。一応領収書これな」
「よし、じゃあ配りにいくか」

全部で十五のギフト。
大小とりどりの箱が十二と、三つだけ違う包装のものがある。
藤原宛の一つを不定愁訴外来に残し、残りを二人で分担して持った。

「上から下った方が楽だよな」
「多分な」

そうしたワケで、二人はエレベーターに乗り込んだ。
二人以外に乗り合わせた人のいないエレベーター内で、田口は気になっていたことを島津に尋ねた。

「どうしてさ、病院長と藤原さんと速水だけが別口なんだ?」
「病院長と藤原さんはスポンサー、速水は準優勝者だから」
「何やってんだろう、あの二人…………」

食えない笑顔の老害コンビを想像し、田口は肩を落とした。
東城大に起こるトラブルの原因は、病院長の「不徳の致すところ」なのかもしれない。

「速水が準優勝ってのは?」
「お前の次が速水だった。喜べ、お前、速水に勝ったんだぞ」
「こんなんで勝っても嬉しくないぞ。面倒臭いばっかりだ」
「いやぁ、女性票だけなら速水の方が上だったんだけどな。総合でお前が一位になったんだ」
「……………………」

島津の言葉に田口は沈黙した。
ハッキリ言って、それはますます嬉しくない事実だ。
憮然とした田口の気持ちを引き立てようとするように、チンっと可愛い音と共にエレベーターが停止する。

「それじゃ行くか」

一歩踏み出した島津の後に、田口は溜息を一つ吐いてから続いた。
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