12月企画、R.blue様からのリクエストです。
R.blue様、企画参加有難う御座いました!
リク内容は「スウィートライフシリーズの将軍行灯」ということでした。
……何だかんだでこれもシリーズ本数が増えつつありますな。
皆さん、いちゃラブ好きなんですねぇ。
しかしこの話の行灯先生はちょっと非道い気がする……。
ゴ、ゴメンなさいっ!
「このミス2010」買ってしまいました。
脇役で登場する行灯先生はとてもカッコよい! 惚れる。
タマに浮上する新事実と、意外に真っ当な猟犬にビックリでした。
地雷原で小ネタをやりたい……二、三カ月経ってからだな。
R.blue様、企画参加有難う御座いました!
リク内容は「スウィートライフシリーズの将軍行灯」ということでした。
……何だかんだでこれもシリーズ本数が増えつつありますな。
皆さん、いちゃラブ好きなんですねぇ。
しかしこの話の行灯先生はちょっと非道い気がする……。
ゴ、ゴメンなさいっ!
「このミス2010」買ってしまいました。
脇役で登場する行灯先生はとてもカッコよい! 惚れる。
タマに浮上する新事実と、意外に真っ当な猟犬にビックリでした。
地雷原で小ネタをやりたい……二、三カ月経ってからだな。
「ふえぇっ、冷たかったぁ」
不定愁訴外来に顔を出した兵藤は、挨拶より先に悲鳴じみた声を上げた。
田口は溜息を吐いて兵藤を睨むように見上げた。
「何の用だ?」
「ひっどいなぁ、田口先輩。折角この雨の中、驚くべきニュースをお伝えしようとやって来たのに」
「誰も頼んでない」
兵藤の舌は田口の三倍くらいよく回る。
田口の返事は素っ気無かった。
煩わしそうな表情を隠しもせず、舌打ちまでついてくる。
兵藤の言う通り、外は雨だった。
この時期の雨は暖かいか冷たいかで、今日は冷たい雨だったのだ。
不定愁訴外来へ繋がる非常階段は吹き晒しだ。
冬になってくると、田口でさえ外来室へ来る際には溜息が零れる。
籠ってしまえば快適空間なので、来る時の辛苦は忘れるのだが。
それはそれとして、問題は兵藤だ。
「文句言うなら、わざわざ来んな」
「え――――っ」
来なけりゃ静かでいいのに。
そう思いながらも、田口はいつもの習慣で温かいコーヒーを差し出した。
「あ、有難う御座います」
客用のコーヒーカップから上がる湯気で鼻先を温めながら、兵藤は言った。
兵藤のよく回る口も、コーヒーを啜りながらは喋れない。
少しばかり沈黙が戻ってきた頃、今度はノックも無しに扉が大きく開く。
「ったく、吹っかけてきやがった。行灯、非常階段に屋根付けろよ、屋根」
「速水?」
待合室を大股で横切って姿を現したのは速水だった。
風向きが変わった瞬間でもあったのか、左半身が余計に濡れていた。
速水は額に貼りついた前髪を書きあげて、盛大に文句を言う。
田口は急いで立ち上がると、流し台の傍に備え付けてある備品のタオルから、乾いた一枚を速水の頭に広げた。
心得た速水が僅かに上半身を曲げたので、田口はタオルの上から速水の濡れた髪を拭い始めた。
「バカ、風邪引くぞ。お前が倒れちゃ元も子もないだろう」
「そんなヤワじゃねえって」
「そう言うヤツに限って、真っ先に風邪引くんだよな」
「そしたらお前に感染してやるよ」
田口が言えば、速水は軽くあしらうように言う。
心配を無碍にされるのは腹立たしいことだ。
怒りを込めて、田口は強めに速水の頭を擦った。
ふと、ボソリと呟く声がした。
「待遇、違い過ぎ……」
その声に田口と速水が揃って振り返る。
コーヒーカップを手にした兵藤が、ぽかんと二人を見ていた。
田口は思わず首を傾げる。
「違うって、何が?」
「待遇です! 僕が来た時は、タオル貸してくれなかったじゃないですか。てか、田口先輩、立ちもしなかったし」
「「は?」」
兵藤の言葉に、ますます訳が解らなくて田口は速水と顔を見合わせた。
兵藤の言うことを理解したのは、全くの第三者だ。
「そりゃあド真ん中本命が来たんですもの、歓迎しますわよねえ、田口先生」
兵藤の背後から顔を出した藤原看護師は、鷹揚な口調でそう言った。
突然の藤原の登場に、兵藤はソファから跳び上がりそうなほど驚いている。
心臓がバクバク言っているだろう兵藤に素知らぬフリで、藤原看護師は田口に向かってにっこりと笑った。
「田口先生が速水先生を大好きなのはよく解ってますけれど、極端な贔屓はよくないと思いますよ」
「贔屓、って…………」
怪訝な顔で藤原を見ていた田口だったが、「贔屓」に心当たりがなくて己の言動を振り返ってみた。
兵藤が来た時、田口は立ち上がらなかった。
タオルも出さなかったし、当然ながら風邪の心配もしていない。
速水に対しては、というと。
「…………うわぁっ!」
その段になって、自分がかなり恥ずかしいことをしているのに田口は気付いた。
田口が慌てて手を放すと、勢いで速水の頭上のタオルが床へ落ちる。
大きく一歩下がって田口が離れたので、速水は上体を曲げてタオルを拾い上げた。
身体を起こした速水の口元に、笑みが浮かんでいた。
「そうかぁ、お前、無意識で俺を贔屓してくれちゃうんだな」
「ち、ちがっ!」
「違わないでしょう」
「ほら、藤原さんもそう言ってる」
速水の言葉を田口は咄嗟に否定しようとしたが、速水より先に藤原が言う。
藤原という強い味方を得て、速水は得意満面で田口に詰め寄った。
そこから先は、犬も食わない遣り取りである。
兵藤は草臥れた気持ちで踵を返した。
「兵藤先生、お帰りですか?」
「はい、失礼します」
「お構いもしませんで」
兵藤の背中に藤原が声をかけると、兵藤は肩越しにちょっと振り向いて会釈のようなものをした。
藤原も小さな会釈を返す。
田口と速水の二人が辞去する兵藤に気付かなかったのは、今更言う間でもなかった。
不定愁訴外来に顔を出した兵藤は、挨拶より先に悲鳴じみた声を上げた。
田口は溜息を吐いて兵藤を睨むように見上げた。
「何の用だ?」
「ひっどいなぁ、田口先輩。折角この雨の中、驚くべきニュースをお伝えしようとやって来たのに」
「誰も頼んでない」
兵藤の舌は田口の三倍くらいよく回る。
田口の返事は素っ気無かった。
煩わしそうな表情を隠しもせず、舌打ちまでついてくる。
兵藤の言う通り、外は雨だった。
この時期の雨は暖かいか冷たいかで、今日は冷たい雨だったのだ。
不定愁訴外来へ繋がる非常階段は吹き晒しだ。
冬になってくると、田口でさえ外来室へ来る際には溜息が零れる。
籠ってしまえば快適空間なので、来る時の辛苦は忘れるのだが。
それはそれとして、問題は兵藤だ。
「文句言うなら、わざわざ来んな」
「え――――っ」
来なけりゃ静かでいいのに。
そう思いながらも、田口はいつもの習慣で温かいコーヒーを差し出した。
「あ、有難う御座います」
客用のコーヒーカップから上がる湯気で鼻先を温めながら、兵藤は言った。
兵藤のよく回る口も、コーヒーを啜りながらは喋れない。
少しばかり沈黙が戻ってきた頃、今度はノックも無しに扉が大きく開く。
「ったく、吹っかけてきやがった。行灯、非常階段に屋根付けろよ、屋根」
「速水?」
待合室を大股で横切って姿を現したのは速水だった。
風向きが変わった瞬間でもあったのか、左半身が余計に濡れていた。
速水は額に貼りついた前髪を書きあげて、盛大に文句を言う。
田口は急いで立ち上がると、流し台の傍に備え付けてある備品のタオルから、乾いた一枚を速水の頭に広げた。
心得た速水が僅かに上半身を曲げたので、田口はタオルの上から速水の濡れた髪を拭い始めた。
「バカ、風邪引くぞ。お前が倒れちゃ元も子もないだろう」
「そんなヤワじゃねえって」
「そう言うヤツに限って、真っ先に風邪引くんだよな」
「そしたらお前に感染してやるよ」
田口が言えば、速水は軽くあしらうように言う。
心配を無碍にされるのは腹立たしいことだ。
怒りを込めて、田口は強めに速水の頭を擦った。
ふと、ボソリと呟く声がした。
「待遇、違い過ぎ……」
その声に田口と速水が揃って振り返る。
コーヒーカップを手にした兵藤が、ぽかんと二人を見ていた。
田口は思わず首を傾げる。
「違うって、何が?」
「待遇です! 僕が来た時は、タオル貸してくれなかったじゃないですか。てか、田口先輩、立ちもしなかったし」
「「は?」」
兵藤の言葉に、ますます訳が解らなくて田口は速水と顔を見合わせた。
兵藤の言うことを理解したのは、全くの第三者だ。
「そりゃあド真ん中本命が来たんですもの、歓迎しますわよねえ、田口先生」
兵藤の背後から顔を出した藤原看護師は、鷹揚な口調でそう言った。
突然の藤原の登場に、兵藤はソファから跳び上がりそうなほど驚いている。
心臓がバクバク言っているだろう兵藤に素知らぬフリで、藤原看護師は田口に向かってにっこりと笑った。
「田口先生が速水先生を大好きなのはよく解ってますけれど、極端な贔屓はよくないと思いますよ」
「贔屓、って…………」
怪訝な顔で藤原を見ていた田口だったが、「贔屓」に心当たりがなくて己の言動を振り返ってみた。
兵藤が来た時、田口は立ち上がらなかった。
タオルも出さなかったし、当然ながら風邪の心配もしていない。
速水に対しては、というと。
「…………うわぁっ!」
その段になって、自分がかなり恥ずかしいことをしているのに田口は気付いた。
田口が慌てて手を放すと、勢いで速水の頭上のタオルが床へ落ちる。
大きく一歩下がって田口が離れたので、速水は上体を曲げてタオルを拾い上げた。
身体を起こした速水の口元に、笑みが浮かんでいた。
「そうかぁ、お前、無意識で俺を贔屓してくれちゃうんだな」
「ち、ちがっ!」
「違わないでしょう」
「ほら、藤原さんもそう言ってる」
速水の言葉を田口は咄嗟に否定しようとしたが、速水より先に藤原が言う。
藤原という強い味方を得て、速水は得意満面で田口に詰め寄った。
そこから先は、犬も食わない遣り取りである。
兵藤は草臥れた気持ちで踵を返した。
「兵藤先生、お帰りですか?」
「はい、失礼します」
「お構いもしませんで」
兵藤の背中に藤原が声をかけると、兵藤は肩越しにちょっと振り向いて会釈のようなものをした。
藤原も小さな会釈を返す。
田口と速水の二人が辞去する兵藤に気付かなかったのは、今更言う間でもなかった。
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COMMENT
無意識❤
こんばんわ!昨日は遊びに来てくださってありがとうございます!無意識ひいき最高ですね❤可愛かったです!兵藤の当て馬感が最高ですよね!また楽しみにしてます^^*チャットの方にも次回も遊びにきてくださいませ❤では、失礼します^^*
Re:無意識❤
いらっしゃいませ。
こちらこそ、短時間に引っ掻き回しただけの気もします。でも楽しかったです。入れてくれて有難う御座いました。
>無意識贔屓
……非道いよね、これ。行灯先生だって、患者さんなら贔屓なんかしないですよ、きっと。
トンビは虐められてナンボだと思っております。
こちらこそ、短時間に引っ掻き回しただけの気もします。でも楽しかったです。入れてくれて有難う御座いました。
>無意識贔屓
……非道いよね、これ。行灯先生だって、患者さんなら贔屓なんかしないですよ、きっと。
トンビは虐められてナンボだと思っております。
初リク
先日、こちらの企画で初めてリクエストさせていただきましたが、コメントを寄せるのは今回が初めてですね。緊張します…(*^_^*)
素敵なラブラブ小説ありがとうございました♪無意識に一人だけを優先して特別扱いしてしまう行灯センセイがとっても可愛いです。あんな可愛い恋人がいるなんて速水センセイが羨ましいです★
今後もサイトに遊びに来るのを楽しみにしています。それでは失礼します。
素敵なラブラブ小説ありがとうございました♪無意識に一人だけを優先して特別扱いしてしまう行灯センセイがとっても可愛いです。あんな可愛い恋人がいるなんて速水センセイが羨ましいです★
今後もサイトに遊びに来るのを楽しみにしています。それでは失礼します。
Re:初リク
いらっしゃいませ。コメント有難う御座います!
企画、あんなモンになりましたがお気に召していただけましたでしょうか?
>一人優先特別扱い
まあね。目に見える形で「特別!」ってしてくれるんだから、将軍もさぞ脂下がってることでしょう。
ちっとも動じてない地雷原は大物です。
ではではっ。今後も地道に更新していきたいと思いますので、宜しくお付き合い下さいませ。
企画、あんなモンになりましたがお気に召していただけましたでしょうか?
>一人優先特別扱い
まあね。目に見える形で「特別!」ってしてくれるんだから、将軍もさぞ脂下がってることでしょう。
ちっとも動じてない地雷原は大物です。
ではではっ。今後も地道に更新していきたいと思いますので、宜しくお付き合い下さいませ。