弥生さまからの12月企画リクです。
弥生さま、企画参加有難う御座いました。
リク内容は「スウィートライフ将軍バージョン」で。
以前にスウィートライフの続編をリクエストされた時、最初に思い浮かんだのは寧ろこのパターンでした。
そんなワケで、安直ですがベタ甘です。
同期三人の食堂利用傾向を勝手に決めております。
将軍は痩せの大食らいという印象が……。
弥生さま、企画参加有難う御座いました。
リク内容は「スウィートライフ将軍バージョン」で。
以前にスウィートライフの続編をリクエストされた時、最初に思い浮かんだのは寧ろこのパターンでした。
そんなワケで、安直ですがベタ甘です。
同期三人の食堂利用傾向を勝手に決めております。
将軍は痩せの大食らいという印象が……。
「あれ?」
「よう」
「何だ、お前もか」
同期三人が満天で一堂に会することなど、年に一度もあるかないかだった。
今日はその、滅多にない日が訪れたらしい。
その状態で別々の席に座るのもおかしな話なので、三人は誰が誘うともなく同じテーブルに着いた。
いただきます、とボソリと呟くのは田口だけだ。
他の二人は早々に味噌汁を啜って喉を湿らせた。
「珍しいな、行灯がうどんじゃないなんて」
「毎日うどん食べてるワケじゃない」
田口の前にあるハヤシライスの皿を見て、島津はからかうように言った。
田口は憮然とした表情になった。
確かに満天のうどんは種類が豊富で、味もいい。
だが、田口だってたまには別のものを食べたくなる時もあるのだ。
今日の気分はうどんでも定食でもカレーでもなく、ハヤシライスだったのである。
「満天のハヤシって食ったことねえな」
山と盛られた飯を大きく一口飲み込んでから、速水はそう言った。
速水は専ら定食主義だ。何たって量が多い。
うどんやカレーなど、単品メニューは物足りないのである。
ちなみに島津はというと、丼ものと定食を行ったり来たりというところだ。
「あーんどん。一口」
速水はにこやかに笑い、リズムを付けて言った。
くる、と薄々予想はしていたが、田口は何だか呆れてしまった。
聞こえよがしな溜息はささやかな抵抗というものだ。
「……メンチ一口寄越せ」
「ん」
田口の交換条件に一つ頷いて、速水がかぽっと口を開けた。
田口は速水の口にハヤシライスを盛ったスプーンを咥えさせた。
むぐむぐと速水はハヤシライスを咀嚼する。
田口も、速水の口から戻ってきたスプーンで自分の食事を再開した。
「行灯」
「ん」
ハヤシライスを飲み下した速水が、切り分けたメンチカツを箸に突き刺して田口に声をかけた。
田口も小さく頷いて口を開けると、その田口に速水は自分の箸を咥えさせた。
実にこの間、二人して何も考えていなかった。
やっちまった、と気付いたのは島津が低い声で唸ったからだ。
「…………お前ら、今何やった?」
「今?」
「今、って…………あ」
速水は首を傾げ、田口も己の行動を振り返った。
気付いて、慌てて周囲を見回す。
田口と眼が合った女性看護師が思いきり露骨に目を逸らした。
田口の顔から血の気が引いた。
「ぅわぁ…………」
速水も思わず口元を押さえて、島津から視線を逸らせた。
二人がしたことは、「はい、あーん」以外の何物でもない。
そして、病院内の食堂でやるべきではないこともまた確かだ。
田口も速水もこの場を逃げ出したい気分だった。
だが、それはそれで必要以上に目立ってしまう。
立ち上がることも、かと言って食事の続きをすることも出来ず、椅子の上で二人は硬直していた。
そんな速水と田口を横目に、島津はきゅうりの漬物をパリパリと噛み砕く。
視線の渦のド真ん中に居座り続けることができる島津の神経は、ある意味誰よりも太い。
「…………お前のせいだっ」
「俺だけのせいにするのかよ」
田口が恨みがましい口調で呟くと、速水も同じく恨みがましい口調で返した。
家にいる時のように、速水が普通に口を開けて待ち構えるから悪い。
だからつい、田口も当たり前のように速水の口にスプーンを差し出したのだ。
しかし速水の主張はまた違う。
確かについ、家にいるのと同じ調子で強請ったのは速水の失態だ。
だが、そこで気付かない田口も同罪である。
……結局のところ、家で「はい、あーん」が日常と化しているという事実が残るのだが。
「…………お前らとは二度とメシ食わねぇぞ」
歯軋りと共に呟かれた島津の言葉に、速水も田口もますます居た堪れない思いをするしかなかった。
「よう」
「何だ、お前もか」
同期三人が満天で一堂に会することなど、年に一度もあるかないかだった。
今日はその、滅多にない日が訪れたらしい。
その状態で別々の席に座るのもおかしな話なので、三人は誰が誘うともなく同じテーブルに着いた。
いただきます、とボソリと呟くのは田口だけだ。
他の二人は早々に味噌汁を啜って喉を湿らせた。
「珍しいな、行灯がうどんじゃないなんて」
「毎日うどん食べてるワケじゃない」
田口の前にあるハヤシライスの皿を見て、島津はからかうように言った。
田口は憮然とした表情になった。
確かに満天のうどんは種類が豊富で、味もいい。
だが、田口だってたまには別のものを食べたくなる時もあるのだ。
今日の気分はうどんでも定食でもカレーでもなく、ハヤシライスだったのである。
「満天のハヤシって食ったことねえな」
山と盛られた飯を大きく一口飲み込んでから、速水はそう言った。
速水は専ら定食主義だ。何たって量が多い。
うどんやカレーなど、単品メニューは物足りないのである。
ちなみに島津はというと、丼ものと定食を行ったり来たりというところだ。
「あーんどん。一口」
速水はにこやかに笑い、リズムを付けて言った。
くる、と薄々予想はしていたが、田口は何だか呆れてしまった。
聞こえよがしな溜息はささやかな抵抗というものだ。
「……メンチ一口寄越せ」
「ん」
田口の交換条件に一つ頷いて、速水がかぽっと口を開けた。
田口は速水の口にハヤシライスを盛ったスプーンを咥えさせた。
むぐむぐと速水はハヤシライスを咀嚼する。
田口も、速水の口から戻ってきたスプーンで自分の食事を再開した。
「行灯」
「ん」
ハヤシライスを飲み下した速水が、切り分けたメンチカツを箸に突き刺して田口に声をかけた。
田口も小さく頷いて口を開けると、その田口に速水は自分の箸を咥えさせた。
実にこの間、二人して何も考えていなかった。
やっちまった、と気付いたのは島津が低い声で唸ったからだ。
「…………お前ら、今何やった?」
「今?」
「今、って…………あ」
速水は首を傾げ、田口も己の行動を振り返った。
気付いて、慌てて周囲を見回す。
田口と眼が合った女性看護師が思いきり露骨に目を逸らした。
田口の顔から血の気が引いた。
「ぅわぁ…………」
速水も思わず口元を押さえて、島津から視線を逸らせた。
二人がしたことは、「はい、あーん」以外の何物でもない。
そして、病院内の食堂でやるべきではないこともまた確かだ。
田口も速水もこの場を逃げ出したい気分だった。
だが、それはそれで必要以上に目立ってしまう。
立ち上がることも、かと言って食事の続きをすることも出来ず、椅子の上で二人は硬直していた。
そんな速水と田口を横目に、島津はきゅうりの漬物をパリパリと噛み砕く。
視線の渦のド真ん中に居座り続けることができる島津の神経は、ある意味誰よりも太い。
「…………お前のせいだっ」
「俺だけのせいにするのかよ」
田口が恨みがましい口調で呟くと、速水も同じく恨みがましい口調で返した。
家にいる時のように、速水が普通に口を開けて待ち構えるから悪い。
だからつい、田口も当たり前のように速水の口にスプーンを差し出したのだ。
しかし速水の主張はまた違う。
確かについ、家にいるのと同じ調子で強請ったのは速水の失態だ。
だが、そこで気付かない田口も同罪である。
……結局のところ、家で「はい、あーん」が日常と化しているという事実が残るのだが。
「…………お前らとは二度とメシ食わねぇぞ」
歯軋りと共に呟かれた島津の言葉に、速水も田口もますます居た堪れない思いをするしかなかった。
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COMMENT
びっくり!!
霧島様 こんばんわ。さっそくリクエストを叶えていただきありがとうございます。あまりの速さにびっくりしました。
そして相変わらずラブいふたりに万歳!!こうなったら、あれが常態と病院内で認知してもらうしかありません。そうすればいつものこととして周りも心穏やかに(?)すごせますものね。
そして相変わらずラブいふたりに万歳!!こうなったら、あれが常態と病院内で認知してもらうしかありません。そうすればいつものこととして周りも心穏やかに(?)すごせますものね。
Re:びっくり!!
いらっしゃいませ。コメント有難う御座いました!
第一号ですぜ。ストックがあった故の一番目だったりしますがね……。
>ラブい二人に慣れろ!
魔人なんか二十年の付き合いなんだから、いい加減慣れてもよさそうなモンですねぇ。多分ゲリラの方が順応性は高かったようだ。
「ああ、いつものことよね~」と言いつつガン見するか、写メるか、腐れ看護師さんならするかもしれないな。それって何て楽しい職場。
第一号ですぜ。ストックがあった故の一番目だったりしますがね……。
>ラブい二人に慣れろ!
魔人なんか二十年の付き合いなんだから、いい加減慣れてもよさそうなモンですねぇ。多分ゲリラの方が順応性は高かったようだ。
「ああ、いつものことよね~」と言いつつガン見するか、写メるか、腐れ看護師さんならするかもしれないな。それって何て楽しい職場。