2月企画、女性陣シリーズです。
初の地雷原視点でお送りします……って出来るのかな?
どうだろ、やってみなきゃ解らないカンジ。
地雷原から見て行灯先生ってどうなんだろって話です。
つーか、狸と地雷原で行灯先生を語れ?
地雷原って今、スゴい面白楽しいポジションにいるんじゃないかと思う。
日々、オリンピックが盛り上がっておりますね。
男子フィギュア、銅メダルおめでとうございます。
個人的にはジャンプの「魔法使い」が気になります。
直前の特集番組見たら、可愛い人だったんだよ……スイスのシモン・アマン選手。可愛カッコいいんだ。
ライバルのオーストリア選手「シュリーレンツァウアー」の名前がドイツ語の響きでとても好きだ。ジャンプじゃなくて名前でトキメクってどうかと思うけど。
初の地雷原視点でお送りします……って出来るのかな?
どうだろ、やってみなきゃ解らないカンジ。
地雷原から見て行灯先生ってどうなんだろって話です。
つーか、狸と地雷原で行灯先生を語れ?
地雷原って今、スゴい面白楽しいポジションにいるんじゃないかと思う。
日々、オリンピックが盛り上がっておりますね。
男子フィギュア、銅メダルおめでとうございます。
個人的にはジャンプの「魔法使い」が気になります。
直前の特集番組見たら、可愛い人だったんだよ……スイスのシモン・アマン選手。可愛カッコいいんだ。
ライバルのオーストリア選手「シュリーレンツァウアー」の名前がドイツ語の響きでとても好きだ。ジャンプじゃなくて名前でトキメクってどうかと思うけど。
「不定愁訴外来ですか」
「ええ」
定年退職も間近という時に病院長室へ呼び出された藤原は、新しい部署への内々示に目を瞬かせた。
藤原にその部署を示した高階・腹黒狸・病院長は、机に肘を突いて頷いた。
意味も無く組んだ指を更に組み換える。
「アレですね、神経内科の新企画。事務方に恩を売り、精神科に嘴を挟ませずに実現させた有働教授のご提案は、なかなか面白いものだわね。実際の評判も悪くないと聞いてますが」
藤原の若干棘がある解説にも、高階は鷹揚に頷いた。
「意外なところで需要があったようでしてねぇ。今度、神経内科外来から独立させることになったんですが、専任の看護師が必要になりまして」
「外来だから付添看護師はいなければならない、しかし正規の看護師を置く余裕はない……ということですか」
「藤原さんには物足りないお仕事かもしれませんがね」
高階は肩を竦めて言った。
確かに、外科系の看護師長を勤めた藤原には、不定愁訴外来専任は畑違いもいいところである。
一方、体力的には随分と楽をさせてもらえそうな部署でもあった。
「一つ、訊いても宜しいかしら?」
「どうぞ?」
「その、不定愁訴外来責任者の、田口先生のこと。どんな方なんです?」
藤原の問いに、高階は面白そうな顔になった。
藤原の噂アンテナに引っ掛かっていないという事実が、高階には意外らしい。
藤原としてもそこが解せなくて、気に掛った。
今までろくろく美談も悪評も聞いたことがなかったのは、余程地味に生きていたからだろう。
ところが最近神経内科から流れてきたのは、山ほどの悪評。次いで、無欲な人格者と強かな策略家の両極端な人物評だった。
悪評はすぐにソースのお粗末さが露呈したが、人物評はどちらとも定まらないままだった。
「田口ですか? そうですねえ…………素直で阿呆ですよ。ただ……」
「ただ?」
「土壇場で開き直ると強い、という印象がありましたね」
素直で阿呆、開き直ると強い。
高階の支離滅裂な人物評に藤原は首を傾げたが、高階はひねこびた笑いを浮かべるだけだった。
「鈍いのか、太いのか、どっちかですね」
暫く一緒に仕事をしてみての、藤原の田口評がそれだった。
オレンジから依頼されたクランケの時だ。
田口は三十分、四十五分を無言で通したのである。カウンセラーだってもう少し喋る。
沈黙の息苦しさを感じないほど鈍感なのか、感じているが気にしないほど神経が太いのか。
大物、ではあった。
「面白いでしょう?」
藤原の感想に、高階はニヤニヤと笑う。
藤原は一つ頷いて、茶菓子に手を伸ばした。
病院長室にある菓子類は、医局にあるものよりランクが上だ。しかも、病院長の年齢に配慮された和菓子系。
非常に藤原好みである。
「化ける日が来るかしらね?」
藤原は小さく呟いて首を傾げた。
今の田口は、「並みの上」くらいの医者だ。大物になりそうではあるが、きっかけが掴めずに小さいままで終わってしまう医者もいる。
暇になると居眠りを始める田口が病院内の重要人物になる日は、藤原には想像出来なかった。
だが世の中、予想もしなかったことが起こるものだ。
昔は、犬猿とはいかないまでも、良好とは言えない間柄だった高階と、こうして茶飲み話をしているように。
「どうでしょうね」
好々爺の風情で高階は笑うが、事態を面白がる傍迷惑さが透けて見えた。
狸病院長に気に入られているらしい田口に、藤原は聊か同情したのだった。
「ええ」
定年退職も間近という時に病院長室へ呼び出された藤原は、新しい部署への内々示に目を瞬かせた。
藤原にその部署を示した高階・腹黒狸・病院長は、机に肘を突いて頷いた。
意味も無く組んだ指を更に組み換える。
「アレですね、神経内科の新企画。事務方に恩を売り、精神科に嘴を挟ませずに実現させた有働教授のご提案は、なかなか面白いものだわね。実際の評判も悪くないと聞いてますが」
藤原の若干棘がある解説にも、高階は鷹揚に頷いた。
「意外なところで需要があったようでしてねぇ。今度、神経内科外来から独立させることになったんですが、専任の看護師が必要になりまして」
「外来だから付添看護師はいなければならない、しかし正規の看護師を置く余裕はない……ということですか」
「藤原さんには物足りないお仕事かもしれませんがね」
高階は肩を竦めて言った。
確かに、外科系の看護師長を勤めた藤原には、不定愁訴外来専任は畑違いもいいところである。
一方、体力的には随分と楽をさせてもらえそうな部署でもあった。
「一つ、訊いても宜しいかしら?」
「どうぞ?」
「その、不定愁訴外来責任者の、田口先生のこと。どんな方なんです?」
藤原の問いに、高階は面白そうな顔になった。
藤原の噂アンテナに引っ掛かっていないという事実が、高階には意外らしい。
藤原としてもそこが解せなくて、気に掛った。
今までろくろく美談も悪評も聞いたことがなかったのは、余程地味に生きていたからだろう。
ところが最近神経内科から流れてきたのは、山ほどの悪評。次いで、無欲な人格者と強かな策略家の両極端な人物評だった。
悪評はすぐにソースのお粗末さが露呈したが、人物評はどちらとも定まらないままだった。
「田口ですか? そうですねえ…………素直で阿呆ですよ。ただ……」
「ただ?」
「土壇場で開き直ると強い、という印象がありましたね」
素直で阿呆、開き直ると強い。
高階の支離滅裂な人物評に藤原は首を傾げたが、高階はひねこびた笑いを浮かべるだけだった。
「鈍いのか、太いのか、どっちかですね」
暫く一緒に仕事をしてみての、藤原の田口評がそれだった。
オレンジから依頼されたクランケの時だ。
田口は三十分、四十五分を無言で通したのである。カウンセラーだってもう少し喋る。
沈黙の息苦しさを感じないほど鈍感なのか、感じているが気にしないほど神経が太いのか。
大物、ではあった。
「面白いでしょう?」
藤原の感想に、高階はニヤニヤと笑う。
藤原は一つ頷いて、茶菓子に手を伸ばした。
病院長室にある菓子類は、医局にあるものよりランクが上だ。しかも、病院長の年齢に配慮された和菓子系。
非常に藤原好みである。
「化ける日が来るかしらね?」
藤原は小さく呟いて首を傾げた。
今の田口は、「並みの上」くらいの医者だ。大物になりそうではあるが、きっかけが掴めずに小さいままで終わってしまう医者もいる。
暇になると居眠りを始める田口が病院内の重要人物になる日は、藤原には想像出来なかった。
だが世の中、予想もしなかったことが起こるものだ。
昔は、犬猿とはいかないまでも、良好とは言えない間柄だった高階と、こうして茶飲み話をしているように。
「どうでしょうね」
好々爺の風情で高階は笑うが、事態を面白がる傍迷惑さが透けて見えた。
狸病院長に気に入られているらしい田口に、藤原は聊か同情したのだった。
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