バレンタインネタ、第5弾か? 二人シリーズです。
行灯先生女の子バージョンです、ご注意下さい。
コメントレスしながら、ツンデレバレンタインを想像したのがそもそものきっかけです。
「義理なんだからね、勘違いしないでよねっ! 三倍返しじゃなきゃ許さないからっ!!」
つまりこういう話。
「勘違いするな」と言った時点で、「勘違いして下さい」と言っているようなモンだと思います。
行灯先生女の子バージョンです、ご注意下さい。
コメントレスしながら、ツンデレバレンタインを想像したのがそもそものきっかけです。
「義理なんだからね、勘違いしないでよねっ! 三倍返しじゃなきゃ許さないからっ!!」
つまりこういう話。
「勘違いするな」と言った時点で、「勘違いして下さい」と言っているようなモンだと思います。
速水晃一の主張するところによると、こうだ。
義理チョコを貰うのは面倒くさい。本命チョコを貰うのは、もっと面倒くさい。
男性陣のみならず、女性からも恨まれかねない発言だろう。
こういう態度を隠しもしないので、速水のバレンタインにおける収穫は意外な程少なかった。
さてここに、そんな速水にバレンタインの贈り物をしようとしている女がいる。
しかも、速水相手に大胆なことに、本命チョコだった。
彼女が考えついたのは、芝居を打つことだ。
本命が重いなら、義理だと言えばいい。
義理さえもお断りな程の縁遠い間柄ではなかったのが、せめてもの救いだった。
「速水、これっ」
有無を言わせない声と共に、田口は速水の手にその小箱を押しつけた。
なりふりを構わないものだから、リボンが押しつけられて歪み、天地も傾いている。
受け取った速水は瞬きをした。
「え? 何だよ、これ」
「だからっ! バレンタインだから、今日! チョコ」
「あん? まさかお前から?」
速水が言うと、田口は眉を吊り上げた。
普段はふんわりと笑っていることの多い田口には珍しい。
「私だって、たまには感謝の気持ちを伝えようという気になる!」
「あーそういうこと。義理か」
「そう義理!」
含みは何もない、これは義理チョコ。
声と目線で田口はそう主張する。
速水は小さく小箱を振った。
「ま、貰っとくか」
「お返し、忘れないでね」
「つくづく謎なんだが、どうして感謝の気持ちの表れにお返しが要るんだ?」
バレンタインが好きではない理由の一つに、「お返しが嵩む」という理由がある速水は、田口の言葉にうんざりした顔になる。
「麻雀で負けてくれるのでもいいよ」
「それも願い下げだ」
田口が出した代案を、速水は素っ気無く却下された。
そんな風にして、どこかドライな遣り取りは終了した。
そして、この遣り取りを遠くから見物していた男が二人。
彦根と島津は揃って溜息を吐いた。
「行灯のヤツ、義理とか言いながら速水にしか用意してないんだろ」
「御世話になってる度なら、島津先輩のが上ですよね」
「まったくだ」
ノートやら代返やら、感謝されるべきは圧倒的に島津の方だろう。
だが、田口が用意した「義理」チョコは一つきりだ。
まったく素直でないことである。
素直でないと言えば、速水だって同じだ。
「アレ速水先輩、顔緩んでますよね、絶対」
「行灯、義理だって言ったのになぁ」
「義理だっていいんでしょ、田口先輩からバレンタインに貰えるんなら。そのくせあのセリフだっていうんだから、ある意味器用ですよ、あの人」
義理も本命も面倒だと言う速水の、本命が実は田口である。
だから田口からバレンタインに貰えるなら、義理だろうが駄菓子だろうが、口では何と言いつつも速水は喜んで受け取った。
両想いであることを、お互いだけが知らない状態なのだ。
「手間のかかる奴ら……」
「先は長そうですね」
岡目八目の島津と彦根は、吐息交じりの苦笑を浮かべるのだった。
義理チョコを貰うのは面倒くさい。本命チョコを貰うのは、もっと面倒くさい。
男性陣のみならず、女性からも恨まれかねない発言だろう。
こういう態度を隠しもしないので、速水のバレンタインにおける収穫は意外な程少なかった。
さてここに、そんな速水にバレンタインの贈り物をしようとしている女がいる。
しかも、速水相手に大胆なことに、本命チョコだった。
彼女が考えついたのは、芝居を打つことだ。
本命が重いなら、義理だと言えばいい。
義理さえもお断りな程の縁遠い間柄ではなかったのが、せめてもの救いだった。
「速水、これっ」
有無を言わせない声と共に、田口は速水の手にその小箱を押しつけた。
なりふりを構わないものだから、リボンが押しつけられて歪み、天地も傾いている。
受け取った速水は瞬きをした。
「え? 何だよ、これ」
「だからっ! バレンタインだから、今日! チョコ」
「あん? まさかお前から?」
速水が言うと、田口は眉を吊り上げた。
普段はふんわりと笑っていることの多い田口には珍しい。
「私だって、たまには感謝の気持ちを伝えようという気になる!」
「あーそういうこと。義理か」
「そう義理!」
含みは何もない、これは義理チョコ。
声と目線で田口はそう主張する。
速水は小さく小箱を振った。
「ま、貰っとくか」
「お返し、忘れないでね」
「つくづく謎なんだが、どうして感謝の気持ちの表れにお返しが要るんだ?」
バレンタインが好きではない理由の一つに、「お返しが嵩む」という理由がある速水は、田口の言葉にうんざりした顔になる。
「麻雀で負けてくれるのでもいいよ」
「それも願い下げだ」
田口が出した代案を、速水は素っ気無く却下された。
そんな風にして、どこかドライな遣り取りは終了した。
そして、この遣り取りを遠くから見物していた男が二人。
彦根と島津は揃って溜息を吐いた。
「行灯のヤツ、義理とか言いながら速水にしか用意してないんだろ」
「御世話になってる度なら、島津先輩のが上ですよね」
「まったくだ」
ノートやら代返やら、感謝されるべきは圧倒的に島津の方だろう。
だが、田口が用意した「義理」チョコは一つきりだ。
まったく素直でないことである。
素直でないと言えば、速水だって同じだ。
「アレ速水先輩、顔緩んでますよね、絶対」
「行灯、義理だって言ったのになぁ」
「義理だっていいんでしょ、田口先輩からバレンタインに貰えるんなら。そのくせあのセリフだっていうんだから、ある意味器用ですよ、あの人」
義理も本命も面倒だと言う速水の、本命が実は田口である。
だから田口からバレンタインに貰えるなら、義理だろうが駄菓子だろうが、口では何と言いつつも速水は喜んで受け取った。
両想いであることを、お互いだけが知らない状態なのだ。
「手間のかかる奴ら……」
「先は長そうですね」
岡目八目の島津と彦根は、吐息交じりの苦笑を浮かべるのだった。
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