思い付きだから短いです。
前年の4月14日記念「マーキングオレンジ」を読み返してみて、御礼参り、もといお返しをしようと思っただけの話。
つーか、間に合うか?
私信:ゆめねこ様
メッセージ受信しました。41111番ヒットおめでとう御座います。
サイト改装は……ぎゃう。どうでしょう?
皆様に不備発見報告をお願いするカンジです。
前年の4月14日記念「マーキングオレンジ」を読み返してみて、御礼参り、もといお返しをしようと思っただけの話。
つーか、間に合うか?
私信:ゆめねこ様
メッセージ受信しました。41111番ヒットおめでとう御座います。
サイト改装は……ぎゃう。どうでしょう?
皆様に不備発見報告をお願いするカンジです。
「あ、れ?」
毎度のように愚痴外来に顔を出した速水だったが、テーブルに出されたものを見て首を傾げてしまった。
出てきたのは背の高いグラスだった。
中身はオレンジ色の液体が七分目まで注がれている。
幾らこっそりアルコールが置いてある愚痴外来とは言え、真昼間に、しかも救急担当の速水に、カクテルは有り得ない。
口を付けてみれば、やはりただのオレンジジュースだった。
「何でオレンジジュース?」
「小児外来で子供たちに出したヤツの残りだ」
自分はマグカップを口に運びながら、田口は速水がガックリするようなことを口にした。
微かに漂うコーヒーの匂いからすると、田口はしっかりコーヒーを飲んでいるらしい。
何となく不公平な気がする。
若干恨みがましい気持ちになりながら、もう一口オレンジジュースを飲んだ。
久々に口にした濃縮果汁100パーセントは、記憶にあるよりも苦味が強かった。
冷たさと酸味に、頭がシャキッとする気がした。
「教えてあげなかったんですか?」
速水が帰った後、藤原が小さな笑みを浮かべながら言った。
田口はぐっと息を飲んでしまう。
最初に口にしたのは藤原への答えではなく、ささやかな抗議だ。
「…………盗み聞きはよくないですよ」
「聞こえたんですよ」
盗み聞きした方はしれっと答える。
元々藤原に敵うとも思っていないので、田口は吐息一つで見切りをつけた。
「気付かないアイツが悪いんです」
「ここのところお忙しかったようですからねえ。日付感覚が麻痺してらっしゃるのかしら」
田口の言葉に藤原は笑った。やはり田口をからかう瞳だ。
さて、次は何を言われるか。
田口は戦々恐々と待ち構える。
「オレンジデーの為にわざわざ用意したのに、気付いて貰えなくて残念ですね、田口先生」
「…………」
4月14日はオレンジデー。
バレンタイン、ホワイトデーと想いを確かめ合った恋人たちが、ダメ押しをする日、らしい。
速水からそれを教えられた田口が、今年はささやかな用意をしてみれば、今度は速水の方が今日という日を失念しているようだった。
しかも、あんな言い訳をそっくり真に受けるなんて。
確かに少々つまらないという気はするのだが。
「あそこで喜ばれても、困ったと思うしなぁ……」
有頂天になった速水は手がつけられないと、田口は密かに思う。
速水に気付かれないところで、こっそり楽しむくらいで自分にはちょうどいい。
ひっそりと笑う田口を見て藤原が少し意外そうな表情になったが、田口は気にせずに午後の仕事の準備に取りかかったのだった。
日付に気付いた速水が愚痴外来を急襲するのは、もう三時間ほど後の話だ。
毎度のように愚痴外来に顔を出した速水だったが、テーブルに出されたものを見て首を傾げてしまった。
出てきたのは背の高いグラスだった。
中身はオレンジ色の液体が七分目まで注がれている。
幾らこっそりアルコールが置いてある愚痴外来とは言え、真昼間に、しかも救急担当の速水に、カクテルは有り得ない。
口を付けてみれば、やはりただのオレンジジュースだった。
「何でオレンジジュース?」
「小児外来で子供たちに出したヤツの残りだ」
自分はマグカップを口に運びながら、田口は速水がガックリするようなことを口にした。
微かに漂うコーヒーの匂いからすると、田口はしっかりコーヒーを飲んでいるらしい。
何となく不公平な気がする。
若干恨みがましい気持ちになりながら、もう一口オレンジジュースを飲んだ。
久々に口にした濃縮果汁100パーセントは、記憶にあるよりも苦味が強かった。
冷たさと酸味に、頭がシャキッとする気がした。
「教えてあげなかったんですか?」
速水が帰った後、藤原が小さな笑みを浮かべながら言った。
田口はぐっと息を飲んでしまう。
最初に口にしたのは藤原への答えではなく、ささやかな抗議だ。
「…………盗み聞きはよくないですよ」
「聞こえたんですよ」
盗み聞きした方はしれっと答える。
元々藤原に敵うとも思っていないので、田口は吐息一つで見切りをつけた。
「気付かないアイツが悪いんです」
「ここのところお忙しかったようですからねえ。日付感覚が麻痺してらっしゃるのかしら」
田口の言葉に藤原は笑った。やはり田口をからかう瞳だ。
さて、次は何を言われるか。
田口は戦々恐々と待ち構える。
「オレンジデーの為にわざわざ用意したのに、気付いて貰えなくて残念ですね、田口先生」
「…………」
4月14日はオレンジデー。
バレンタイン、ホワイトデーと想いを確かめ合った恋人たちが、ダメ押しをする日、らしい。
速水からそれを教えられた田口が、今年はささやかな用意をしてみれば、今度は速水の方が今日という日を失念しているようだった。
しかも、あんな言い訳をそっくり真に受けるなんて。
確かに少々つまらないという気はするのだが。
「あそこで喜ばれても、困ったと思うしなぁ……」
有頂天になった速水は手がつけられないと、田口は密かに思う。
速水に気付かれないところで、こっそり楽しむくらいで自分にはちょうどいい。
ひっそりと笑う田口を見て藤原が少し意外そうな表情になったが、田口は気にせずに午後の仕事の準備に取りかかったのだった。
日付に気付いた速水が愚痴外来を急襲するのは、もう三時間ほど後の話だ。
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