39999ヒットの初さまからリクエストです。
初さま、39999ヒットおめでとう御座います!
リク内容は「大人になった娘たちを心配するのだけれど、ちょっと鬱陶しがられる父と母」ということです。
見事に失敗しました。というか、します。これから。
間違い探しの為にリク内容全部載せるのって、自虐的な気もするなぁ……。
まあ読んでやって下さい。
で、「ああ、これがこうなったのね……」と生温く笑って下さいな。
初さま、39999ヒットおめでとう御座います!
リク内容は「大人になった娘たちを心配するのだけれど、ちょっと鬱陶しがられる父と母」ということです。
見事に失敗しました。というか、します。これから。
間違い探しの為にリク内容全部載せるのって、自虐的な気もするなぁ……。
まあ読んでやって下さい。
で、「ああ、これがこうなったのね……」と生温く笑って下さいな。
「あきー、きみー、お手伝いおねがーいっ」
「「はぁいっ!!」」
田口が声を張り上げると、双子の娘たち・晃子と公子は先を争うようにして田口の元へ駆けてきた。
幼稚園入園を間近に控えた二人は、今まさに「お手伝いしたくて仕方ない」年頃だ。
出来る出来ないはともかく、何でもやりたがる。
田口も積極的にお手伝いをさせるようにした。
勿論、失敗しても大事に至らないよう、細心の注意を払った上でのことだ。
親心を知らない娘たちは、期待に満ちた目で田口を見る。
そんな二人に、田口は手にした茶封筒をひらりと振ってみせた。
「おてがみ?」
首を傾げて尋ねるのは公子だ。
田口は一つ頷いてみせた。
「そう。このお手紙を、お家の下にあるポストに入れてきて下さい。出来るかな?」
「出来る――っ!」
速水家が暮らすマンションの1階部分はテナントになっていて、コンビニが入っている。
そのコンビニの前にポストがあるのだ。
元気よく手を上げたのは晃子だった。
公子は晃子と手を繋いだまま、こっくりと一つ頷く。
二人の顔を等分に見て、田口も一つ頷いた。
「道路には出ないこと、知らない人にはついて行かないこと、すぐに帰ってくること。お約束だよ、解った?」
「解ってるよぅ」
「ちゃんと出来るもん!」
公子と晃子が力強く宣言するが、流石に鵜呑みに出来ない田口は苦笑を浮かべるに留めた。
「手が届かなかったら、お店の人に『入れて下さい』ってお願いしなさい。お遣い終わったら、おやつにしよう」
「「うんっ」」
「気を付けて行ってらっしゃい。頼んだよ」
「「はあいっ!」」
おやつ、の一言に二人は解り易く喜色を浮かべた。
安直な飴とムチ作戦だが、効果は覿面である。
封筒は晃子が持ち、二人手を繋いで玄関を出て行った。
「二人だけで大丈夫なのか?」
扉が閉まった途端、不満そうな顔をした速水が口を尖らせて田口に抗議をした。
子供たちと話しているうちから、幾度となく不服そうな速水と目が合ったのだ。
予想通りとは言え、田口は溜息を吐いてしまった。
「大丈夫だろ、道路へ出るワケじゃないんだし」
「子供だけでエレベーターとか、危なくないか?」
「あの二人はちゃんと解ってるよ」
「いや、でも…………」
ジェネラルの異名も形無しのうろたえっぷりである。
田口はもう一度溜息を吐くと、玄関扉を何度も見る速水を放って台所へ向かった。
おやつの用意をしながら、声を上げる。
「大体お前だって二人を止めなかったのは、何事も経験だからだろ?」
「そりゃそうだけど!」
速水にしても田口にしても、娘たちを箱入りにするつもりはない。
いろんな経験をさせてやりたいと思っている。
だが速水にとって、心配なものは心配であるらしい。
デカイ図体でそわそわと玄関を見る様子は、正直鬱陶しいくらいだ。
とても余所様に見せられる姿ではない。
田口が密かに失礼なことを考えているのに気付かない速水は、とうとう痺れを切らせて立ち上がった。
「やっぱりちょっと行って…………」
「ただいまあ――――っ!」
「入れてきたよ――――っ!」
速水の呟きを押しやって、元気な声と共に二人が帰ってきた。
速水の表情が途端に緩んだ。
「よかった、無事だったんだな」
たかだかマンションの下へ行ったくらいで、大袈裟である。
そう思ったのは田口だけではなかったようで、まずませた晃子が呆れた顔をした。
「パパ、心配しすぎだよ」
「そーだよぉ。あたしたち、もう幼稚園になるんだよ」
「ちゃんと出来るもん。ね――っ?」
「ね――っ!」
そっくり同じように笑って言う二人の可愛らしさに、速水の目が細くなる。
少し離れた場所から父娘の遣り取りを見ていた田口は、しかし、次の晃子の言葉に唖然とすることになる。
「パパ、子ばなれしなきゃダメよ?」
一体二人は何処でそんな言葉を覚えたのか。
藤原か高階か、それとも猫田、花房、白鳥、加納、彦根に兵藤、丹羽、如月……田口には心当たりが多過ぎて、次から次へと可能性が浮かぶ。
そして大方の予想通り、「子離れ」という単語に速水はこの世の絶望を見たような表情になった。
「ダメよ?」
公子が無邪気に止めを刺す。
絶句した速水の様子が面白いのは確かだが、流石に田口も多少は気の毒になって
「もうすぐ幼稚園の良い子は、言われなくても手を洗って下さーいっ」
そう声を掛けて子供たちを追い払った。
良い子の返事をして二人が洗面所へ去ると、速水はのろのろと顔を上げて田口を見る。
「田口ぃ~~っ」
顔だけではなく声まで情けない。
田口は苦笑を浮かべた。
「あーはいはい。そんなすぐじゃないから。まだまだ先の話だから」
取り敢えずテキトーな慰めを口にしながら、先行きの不安を思って田口は内心で溜息を吐いた。
「だったらお前、鬱陶しい父親になって、思春期の娘に『お父さんなんか嫌い』とか『お父さんの洗濯物一緒にしないでよ』とか言われたいか?」
朝っぱらから愚痴外来へやってきた速水は、ぐずぐずとワケの解らない泣言を口にする。
そんな速水が鬱陶しくなり、田口は致命的な一言をぶつけてやった。
余りのショックに打ち拉がれる速水を見て、胸が晴れた田口は鼻を鳴らしたのだった。
「「はぁいっ!!」」
田口が声を張り上げると、双子の娘たち・晃子と公子は先を争うようにして田口の元へ駆けてきた。
幼稚園入園を間近に控えた二人は、今まさに「お手伝いしたくて仕方ない」年頃だ。
出来る出来ないはともかく、何でもやりたがる。
田口も積極的にお手伝いをさせるようにした。
勿論、失敗しても大事に至らないよう、細心の注意を払った上でのことだ。
親心を知らない娘たちは、期待に満ちた目で田口を見る。
そんな二人に、田口は手にした茶封筒をひらりと振ってみせた。
「おてがみ?」
首を傾げて尋ねるのは公子だ。
田口は一つ頷いてみせた。
「そう。このお手紙を、お家の下にあるポストに入れてきて下さい。出来るかな?」
「出来る――っ!」
速水家が暮らすマンションの1階部分はテナントになっていて、コンビニが入っている。
そのコンビニの前にポストがあるのだ。
元気よく手を上げたのは晃子だった。
公子は晃子と手を繋いだまま、こっくりと一つ頷く。
二人の顔を等分に見て、田口も一つ頷いた。
「道路には出ないこと、知らない人にはついて行かないこと、すぐに帰ってくること。お約束だよ、解った?」
「解ってるよぅ」
「ちゃんと出来るもん!」
公子と晃子が力強く宣言するが、流石に鵜呑みに出来ない田口は苦笑を浮かべるに留めた。
「手が届かなかったら、お店の人に『入れて下さい』ってお願いしなさい。お遣い終わったら、おやつにしよう」
「「うんっ」」
「気を付けて行ってらっしゃい。頼んだよ」
「「はあいっ!」」
おやつ、の一言に二人は解り易く喜色を浮かべた。
安直な飴とムチ作戦だが、効果は覿面である。
封筒は晃子が持ち、二人手を繋いで玄関を出て行った。
「二人だけで大丈夫なのか?」
扉が閉まった途端、不満そうな顔をした速水が口を尖らせて田口に抗議をした。
子供たちと話しているうちから、幾度となく不服そうな速水と目が合ったのだ。
予想通りとは言え、田口は溜息を吐いてしまった。
「大丈夫だろ、道路へ出るワケじゃないんだし」
「子供だけでエレベーターとか、危なくないか?」
「あの二人はちゃんと解ってるよ」
「いや、でも…………」
ジェネラルの異名も形無しのうろたえっぷりである。
田口はもう一度溜息を吐くと、玄関扉を何度も見る速水を放って台所へ向かった。
おやつの用意をしながら、声を上げる。
「大体お前だって二人を止めなかったのは、何事も経験だからだろ?」
「そりゃそうだけど!」
速水にしても田口にしても、娘たちを箱入りにするつもりはない。
いろんな経験をさせてやりたいと思っている。
だが速水にとって、心配なものは心配であるらしい。
デカイ図体でそわそわと玄関を見る様子は、正直鬱陶しいくらいだ。
とても余所様に見せられる姿ではない。
田口が密かに失礼なことを考えているのに気付かない速水は、とうとう痺れを切らせて立ち上がった。
「やっぱりちょっと行って…………」
「ただいまあ――――っ!」
「入れてきたよ――――っ!」
速水の呟きを押しやって、元気な声と共に二人が帰ってきた。
速水の表情が途端に緩んだ。
「よかった、無事だったんだな」
たかだかマンションの下へ行ったくらいで、大袈裟である。
そう思ったのは田口だけではなかったようで、まずませた晃子が呆れた顔をした。
「パパ、心配しすぎだよ」
「そーだよぉ。あたしたち、もう幼稚園になるんだよ」
「ちゃんと出来るもん。ね――っ?」
「ね――っ!」
そっくり同じように笑って言う二人の可愛らしさに、速水の目が細くなる。
少し離れた場所から父娘の遣り取りを見ていた田口は、しかし、次の晃子の言葉に唖然とすることになる。
「パパ、子ばなれしなきゃダメよ?」
一体二人は何処でそんな言葉を覚えたのか。
藤原か高階か、それとも猫田、花房、白鳥、加納、彦根に兵藤、丹羽、如月……田口には心当たりが多過ぎて、次から次へと可能性が浮かぶ。
そして大方の予想通り、「子離れ」という単語に速水はこの世の絶望を見たような表情になった。
「ダメよ?」
公子が無邪気に止めを刺す。
絶句した速水の様子が面白いのは確かだが、流石に田口も多少は気の毒になって
「もうすぐ幼稚園の良い子は、言われなくても手を洗って下さーいっ」
そう声を掛けて子供たちを追い払った。
良い子の返事をして二人が洗面所へ去ると、速水はのろのろと顔を上げて田口を見る。
「田口ぃ~~っ」
顔だけではなく声まで情けない。
田口は苦笑を浮かべた。
「あーはいはい。そんなすぐじゃないから。まだまだ先の話だから」
取り敢えずテキトーな慰めを口にしながら、先行きの不安を思って田口は内心で溜息を吐いた。
「だったらお前、鬱陶しい父親になって、思春期の娘に『お父さんなんか嫌い』とか『お父さんの洗濯物一緒にしないでよ』とか言われたいか?」
朝っぱらから愚痴外来へやってきた速水は、ぐずぐずとワケの解らない泣言を口にする。
そんな速水が鬱陶しくなり、田口は致命的な一言をぶつけてやった。
余りのショックに打ち拉がれる速水を見て、胸が晴れた田口は鼻を鳴らしたのだった。
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