忍者ブログ
こちらは、愚痴外来シリーズの妄想文を展開するブログです。 行灯先生最愛、将軍独り勝ち傾向です。 どうぞお立ち寄り下さいませ。
[350]  [349]  [348]  [347]  [346]  [344]  [345]  [343]  [342]  [341]  [340
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

あき、きみと見せ場を作った(つもり)なので、今度はその両親たち。
前述の通り年齢設定は62なのですが、ヴィジュアル設定は40代のまんまです。
脳内妄想はこういうところが都合いいねッ☆
62なら、病院の役職者としてはいい年齢だと思うのです。
行灯先生は気が進まないながら、高い地位にいると思います。
将軍は、そういうのは行灯先生以上に向かないと思う。
実働部隊の指揮官、という印象はあるのですが、お役所のトップにはなれないなぁと。
救命救急センター部長がベストでラストという気がする。


入れたいセリフは決まっているので、多分この回で納まると思う。
それではどうぞです。

追記:見事に納まりませんでした。ああもうっ、私ってバカ……。

『クビでも左遷でも窓際でも』

娘の言葉に田口は小さく笑った。
それから幾つか言葉を交わし、電話を切る。
待ち受けモードに戻った液晶から顔を上げると、速水と目が合った。

「どうしたんだ?」
「脱線事故の救急患者受け入れと、全館スタッドの許可をくれって」
「…………あきが? 指導医がいる筈だろ?」

娘からの電話を笑って取った田口が、話しているうちに真剣な顔をになっていった。
横で見ていて気になった速水だったが、田口の答えに眉間に皺を寄せた。
医局に入ったとは言え、晃子はまだまだひよっ子だ。
その晃子が全館スタッドの許可を求めるのは、越権行為の筈だった。

「秋山先生が動かないんで、自分でやるって言い出したみたい」

速水の疑問に答えた田口の口調には、呆れの吐息が混じっていた。
晃子の気の短さを思って、速水も嘆息してしまった。
誰に似たのだか、と一瞬思ったが、十中八、九、速水似だ。

「無茶な事を…………俺だって新人の頃はそこまでしなかったぞ」
「覚悟はしているらしいけどね。クビでも左遷でもいいって言ってたし」
「アイツ一人で済む話じゃないだろう」

言って、速水は田口の表情を伺った。
東城大病院が重大な失態を犯せば、最終的な責任を取るのは田口なのだ。
速水の懸念を解ってはいるのだろう、だが田口は微笑を浮かべていた。

「あの子一人を悪者にするつもりはないって。俺が頭下げて済むなら、いくらだってそうするよ」
「そうだな」

地位に固執しない田口らしい、軽口じみた覚悟の表明だった。
速水も同感だ。
晃子だけではない、公子も、二人の娘たちに何か起こったら、速水は幾らでも身体を張るだろう。
覚悟なんて御大層な物は必要なかった。
速水が頷くと、話が終わったと見た田口は外出の支度にかかる。

「病院行くけど、お前はどうする?」
「行く。人手があった方がいいに決まってるからな」
「ジェネラルのお出ましか。心強いな」

立ち上がった速水に、田口はからかうように言って笑った。



二人が東城大病院に到着した時、既に病院は修羅場だった。
周辺の混雑を予想して徒歩で来たのは正解だったらしい。
通用口から院内に入り、白衣を引っ掛けて本館の外来ホールへ向かう。
全館スタッドが機能しており、本館外来ホールは既にオープンになっていた。
中心にいて人を動かしていたのは晃子だった。
敬語も端折った鋭い指示を次々と飛ばしている。
晃子のサポートについているのは如月翔子看護師だ。
嘗て己の下で働いていた如月の目覚ましい活躍に、速水は口笛を吹きたい気分になった。
田口と速水に気付いて如月が小さく頭を下げたが、その場からは離れなかった。
晃子は新しく搬入されてきた患者に集中していて、二人には気付かない。

「俺、あっち行くわ」
「うん、頼むな」

手短に言うと、速水は晃子を手伝うべく脚を速めた。

「ママっ!」

状況が訊けそうな誰かを探して周囲を見回した田口の耳に、幼子のような呼び声が飛び込んできた。
影の方から出てきたのはもう一人の娘、公子だ。
普段はきちんと田口を苗字+役職名で呼ぶ公子が、流石に動揺してるらしい。
田口の前に来た公子の顔色は少し白かった。
血の苦手な公子には、この修羅場は少々キツイのだろう。
それでも出来ることをやろうとしている娘に、田口は微笑んだ。

「速水先生、状況は?」
「えっと、搬送者は60人を越えてます。あと、重傷者が増えてきてる……」
「そうか…………」

公子の報告に田口も眉を曇らせた。
こうしているうちに次の救急車が到着する。
遠くから見ても程度の重さが解った。
事故の規模の大きさが窺い知れる。

「田口、先生…………」

強張った顔で田口を見る公子の頬を、田口は軽く叩いた。
ペチンという気の抜けるような音と共に、公子もきょとんとした顔になる。
その公子に田口は笑って見せた。

「顔が怖いよ、きみ。そんなんじゃ患者さんが不安になるだろう?」
「あ…………」
「大丈夫。もうちょっとだけ頑張ろう」
「…………はい!」

田口の言葉に気を取り直して、公子は今までいた場所へと戻っていった。
軽傷者の声に答える公子の表情には、人を安心させようという優しさが滲んでいる。
娘の様子に安心して、田口は人の間を抜けていた。
田口の仕事は情報収集だ。組織のトップは最前線にはいない方がいい。
患者や医師、看護師たちと視線が合う度に、田口は柔らかく笑って頷いた。
田口のその態度に、随分の人たちが安心したというのは、田口の知らない話だ。
PR
back
COMMENT
name
title
text
color   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
mail
URL
pass
secret
TRACKBACK
TrackbackURL:
PREV ←  HOME  → NEXT
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
最新コメント
[04/04 トワ]
[04/03 武那しめじ]
[03/12 名無し]
[01/04 みなみ]
[12/16 武那しめじ]
リンク
倉庫サイトと素敵同盟さま
プロフィール
腐れ管理人、霧島です。
趣味は図書館通いと立ち読み。
レンタルで映画DVD視聴。
モットーは「とりあえず」。
ブログ内検索
バーコード
最新トラックバック
Copyright (C) 2024 M-Rainbow All Rights Reserved.

Photo by (c)Tomo.Yun   TemplateDesign by kaie
忍者ブログ [PR]