2であきが出張ったので、今度はきみの番。
将軍の血が混じっている分、きみは行灯先生よりは血に耐えられるタイプです。気絶はしないけど、気分は悪くなるくらい?
不定愁訴外来専属看護師を丹羽さんにしてみました。
ネコさんも候補だったのですが、計算してみると年齢的に無理がありそうだったのです。
赤本で「ハヤブサが総師長になると、任期が15年で聊か長い」という記述と「ネコはハヤブサの5つ上」という記述があるので、赤本の時点でハヤブサ=45、ネコ=50で計算しました。定年が60設定ね。
で、単純計算で今はラヴィアンローズシリーズの20年後という設定ですので、ネコさんが70になってしまうのです。
幾ら定年後の採用だって、70は無理だろう……。
ちなみに大雑把な年齢設定でいくと、将軍と行灯は62、双子が25です。
将軍の血が混じっている分、きみは行灯先生よりは血に耐えられるタイプです。気絶はしないけど、気分は悪くなるくらい?
不定愁訴外来専属看護師を丹羽さんにしてみました。
ネコさんも候補だったのですが、計算してみると年齢的に無理がありそうだったのです。
赤本で「ハヤブサが総師長になると、任期が15年で聊か長い」という記述と「ネコはハヤブサの5つ上」という記述があるので、赤本の時点でハヤブサ=45、ネコ=50で計算しました。定年が60設定ね。
で、単純計算で今はラヴィアンローズシリーズの20年後という設定ですので、ネコさんが70になってしまうのです。
幾ら定年後の採用だって、70は無理だろう……。
ちなみに大雑把な年齢設定でいくと、将軍と行灯は62、双子が25です。
「外科病棟の速水先生、病院長室へ出頭して下さい」
流れた放送に公子はマグカップから顔を上げた。
同じく顔を上げた丹羽看護師と目が合った。
「これ…………」
「ええ、外科病棟スタッドコールですね。しかも、速水先生がトップ」
「あきちゃん…………?」
丹羽看護師は少し眉を顰めている。
公子も表情を曇らせた。
公子と同じく、晃子もまだまだひよっ子の身だ。
その晃子の名前でスタッドコールなんて有り得ない。
「……ちょっと、行ってきます」
「ええ」
立ち上がった公子を、丹羽看護師は快く送り出してくれた。
外科病棟へ上がる途中で、外来受付を通る。
受付前に設置されている大型テレビが、桜宮で発生した電車脱線転覆事故の報道を始めていた。
被害者の人数は多くは無い。
だが、情報が入る度に人数が増えていく。
被害状況を把握しきれていないのだ。
その事実こそが、事態の深刻さを物語っている。
しばしテレビの前で脚を止めていた公子だったが、我に返ると今度は早足で外科病棟へ向かった。
「クビでも左遷でも窓際でも。うん……うん、有り難う。それじゃ」
公子が外科医局を覗き込むと、ちょうど晃子は電話を切ったところだった。
顔を上げた晃子が、公子を見つけて表情を輝かせる。
「来たんだ、きみ。ニュース見た?」
「うん…………今の、ママ?」
「うん。全館スタッドの許可貰った」
公子の前で、晃子はいつものように笑っている。
だが、強く握られている拳に公子は気付いていた。
不自然なほど脇に押し付けているのは、震えないように、だ。
「あきちゃんがトップなの? どうして?」
「どうしてって言われても、ねえ。アレが動こうとしないんで、キレちゃった」
顎をしゃくるようにして、晃子は医局の隅にいた医師を示した。
公子は名前も知らなかったが、どうみても自分達より年上。
つまり晃子に指示を出す立場の筈だ。
晃子は茶化した口調で言うが、これは大変な事態なのだと思う。
そう思ったけれど、公子は心の中でアッサリ結論を出した。
結局、公子は晃子の味方をするのだ。
晃子の白衣を掴んで、そっと背伸びをする。
双子なのに、長身の父に似た晃子は公子より背が高い。
ちゅ、とほんの一瞬だけ唇を重ねる。
「き、きみっ?!」
「あはっ。あきちゃん、顔赤い」
慌てた晃子が目を見開く。
その様子をからかってから、公子はにっこり笑った。
「顔が蒼白だったよ。そんなんじゃ、皆が不安に思うでしょ? だから、ちょっと吃驚させただけ」
「…………どこがちょっとだか」
「気にしない気にしない」
笑いながら、公子は晃子の手を握る。
強張った拳をそっと包みながら、公子は囁いた。
「私はあきちゃんの味方だからね。クビになるなら二人一緒だよ」
「きみ…………」
「今は患者さんを助けることに全力を尽くしましょう、速水先生」
公子が言うと、晃子は公子の手を強く握り返してきた。
きっぱりと頷いた晃子の瞳に、迷いや恐れは見られない。
そんな晃子を、公子はとても誇らしく思う。
絶えない電話の音の中に、最初のサイレンが近寄ってきていた。
「ご協力お願いします、速水先生」
他でもない晃子に「速水先生」と呼ばれると、ちょっと笑えた。
流れた放送に公子はマグカップから顔を上げた。
同じく顔を上げた丹羽看護師と目が合った。
「これ…………」
「ええ、外科病棟スタッドコールですね。しかも、速水先生がトップ」
「あきちゃん…………?」
丹羽看護師は少し眉を顰めている。
公子も表情を曇らせた。
公子と同じく、晃子もまだまだひよっ子の身だ。
その晃子の名前でスタッドコールなんて有り得ない。
「……ちょっと、行ってきます」
「ええ」
立ち上がった公子を、丹羽看護師は快く送り出してくれた。
外科病棟へ上がる途中で、外来受付を通る。
受付前に設置されている大型テレビが、桜宮で発生した電車脱線転覆事故の報道を始めていた。
被害者の人数は多くは無い。
だが、情報が入る度に人数が増えていく。
被害状況を把握しきれていないのだ。
その事実こそが、事態の深刻さを物語っている。
しばしテレビの前で脚を止めていた公子だったが、我に返ると今度は早足で外科病棟へ向かった。
「クビでも左遷でも窓際でも。うん……うん、有り難う。それじゃ」
公子が外科医局を覗き込むと、ちょうど晃子は電話を切ったところだった。
顔を上げた晃子が、公子を見つけて表情を輝かせる。
「来たんだ、きみ。ニュース見た?」
「うん…………今の、ママ?」
「うん。全館スタッドの許可貰った」
公子の前で、晃子はいつものように笑っている。
だが、強く握られている拳に公子は気付いていた。
不自然なほど脇に押し付けているのは、震えないように、だ。
「あきちゃんがトップなの? どうして?」
「どうしてって言われても、ねえ。アレが動こうとしないんで、キレちゃった」
顎をしゃくるようにして、晃子は医局の隅にいた医師を示した。
公子は名前も知らなかったが、どうみても自分達より年上。
つまり晃子に指示を出す立場の筈だ。
晃子は茶化した口調で言うが、これは大変な事態なのだと思う。
そう思ったけれど、公子は心の中でアッサリ結論を出した。
結局、公子は晃子の味方をするのだ。
晃子の白衣を掴んで、そっと背伸びをする。
双子なのに、長身の父に似た晃子は公子より背が高い。
ちゅ、とほんの一瞬だけ唇を重ねる。
「き、きみっ?!」
「あはっ。あきちゃん、顔赤い」
慌てた晃子が目を見開く。
その様子をからかってから、公子はにっこり笑った。
「顔が蒼白だったよ。そんなんじゃ、皆が不安に思うでしょ? だから、ちょっと吃驚させただけ」
「…………どこがちょっとだか」
「気にしない気にしない」
笑いながら、公子は晃子の手を握る。
強張った拳をそっと包みながら、公子は囁いた。
「私はあきちゃんの味方だからね。クビになるなら二人一緒だよ」
「きみ…………」
「今は患者さんを助けることに全力を尽くしましょう、速水先生」
公子が言うと、晃子は公子の手を強く握り返してきた。
きっぱりと頷いた晃子の瞳に、迷いや恐れは見られない。
そんな晃子を、公子はとても誇らしく思う。
絶えない電話の音の中に、最初のサイレンが近寄ってきていた。
「ご協力お願いします、速水先生」
他でもない晃子に「速水先生」と呼ばれると、ちょっと笑えた。
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