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こちらは、愚痴外来シリーズの妄想文を展開するブログです。 行灯先生最愛、将軍独り勝ち傾向です。 どうぞお立ち寄り下さいませ。
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昨日の爆弾発言ごっこに、ちょっとでも驚いた方がいらっしゃれば嬉しいのですが。
やっぱやるならもっと本気でサイト弄らないと、人の度肝は抜けないなぁ。他のサイトで遊ばせて貰いました。


本来なら、このSSをエイプリルフール用に上げるつもりでしたが、爆弾発言をそのままにしておきたくて、一日待ちました。
つまりエイプリルフール仕様です。
どんな話でも笑って許せる寛大さに自信のある方、どうぞお進み下さい。


あ、ついでに。
もう一、二週間ぐらい、四月馬鹿に便乗してけったいな話を乗っけてもよろしいでしょうか? パラレルっぽいのとか……。パラレル断固拒否って方の為に注意報発令します。


後記:えらく長くなった……連載でもよかったかもしんない。頑張って読んでやって下さいませ。



まどろみから緩々と意識が覚めてくる。
瞼越しに光。鳥が鳴く音。蛇口から水が流れ、スリッパがフローリングを軽く蹴る。
穏やかな日常の気配に、ベッドの中で速水は微笑を浮かべた。
と、そこへ強襲する影が二つ。

「パパ、起きてっ!」
「起きて起きてっ!」

勢いよくドアを開けたかと思うと、小さな影が一つ速水の胴に乗っかった。速水の顔の方には、もう一つの影が落ちる。

「あき、行っちゃうよっ!」
「きみも行っちゃうよ」
「あき……きみ……おはようは?」

速水の双子の娘たちだ。
速水は横臥から仰向けになった。速水の上に乗っていた晃子が、その動きに笑う。速水の顔が遠くなったのが不満な公子が立ち上がって、ベッドに乗り上げてきた。

「おはよう、パパっ」
「パパ、おはようっ」
「ああ、おはよう」

腹筋を使って身体を起こし、晃子の頬と公子のおでこにキスをする。二人の娘たちも笑って、速水の頬に交互にキスをしてくれた。

「あき――、きみ――! 出かけるぞ、靴履いて――っ」
「「はぁいっ!」」

朝からきゃらきゃらと笑う娘たちにほのぼのしていると、田口が顔を出した。手にぶら下げているのは黄色い幼稚園カバンだ。
田口の言葉に元気よく返事をした二人は、それぞれ自分の幼稚園カバンを肩から斜めに掛けた。田口の横をすり抜け、バタバタと玄関へ向かう。
そんな娘二人を見送って、田口は速水を見た。

「子供たち送ってくる。玄関鍵かけないから、寝直すなら鍵かけて」
「おお」
「ママ、靴はけたよ――っ」
「早くぅ――っ」
「今行く! じゃあな」

玄関から、子供たちが田口を急かす声がする。
田口はそれに応え、速水に小さく笑ってから身を翻した。
パタン、と玄関の扉が閉まる音がする。
それからのっそりと速水は起き上がった。まずは洗面所で髭をあたり、顔を洗う。
ダイニングへ行くと、娘たちの朝食の跡があった。用の済んだ食器が流しに放置されていて、パン籠やジャムのスプーンはテーブルに転がっている。
自分のカップにコーヒーを注ぐと、速水は新聞を読み始めた。
二人の娘たちは、東城大教育学部附属の幼稚園に通っている。このマンションからは子供の足でも徒歩で10分程度だ。20分もせずに田口も戻ってくる。
案の定、新聞を読んでいるうちに再び玄関のドアが開いた。その音で速水は立ち上がって玄関へ向かう。

「おかえり」
「ただいま。おはよう」

田口の右の頬にキスを一つすれば、同じく右の頬に一つキスが返ってくる。それから、唇に音を立てて軽いキスをした。
二人の朝の挨拶が終わると、田口はダイニングに直行した。フライパンに卵を落とす。目玉焼きが出来るまでの間、トーストを仕掛けトマトを皿に添え、更に子供達の食器も洗ってしまう。
コーヒー党の田口に合わせて、和食派だった速水の朝食はトーストになった。それも悪くないと思う。

「ほい」
「ん、いただきます」

速水が朝食を食べる向かいの席で、田口はゆっくりとコーヒーを啜った。

「お前今日、外来休みだっけ?」
「うん。お前は……午後勤か」

田口は身体を捻って、共用カレンダーの横にかけてある「パパのカレンダー」を見た。今日の日付に、赤いクレヨンで△がついている。
速水はため息を吐いた。

「二人でのんびり出来る時間も少ねえなぁ」
「お迎えはパパと一緒で、それからパパを仕事場までお見送りコースの日だろ。晃子も公子も楽しみにしてるんだ。張り切って病院行ってこいって」
「うーん……パパがいなくて寂しいって言ってくんないのか?」

拗ねたような速水の口調に、田口は小さな笑みを浮かべて立ち上がった。
何か隠しているような笑顔だが、楽しそうでもある。
ベランダで洗濯物を干す田口の背中を見ながら、日常の些細な幸せを速水は噛み締めた。



東城大学教育学部附属幼稚園、と名前だけ聞くとお受験が必要な場所に思えるが、実際は職員割引というか優遇措置というか。病院とそんなに離れていないのも、自宅ともそんなに離れていないのも都合がいい。
午後の1時過ぎ、速水は田口と肩を並べて幼稚園に向かった。
二人の姿を見て、娘たちは歓声を上げた。

「「パパぁっ! ママぁっ!」」
「ど、どうしたんだ、あき?」

双子の片割れ、晃子の顔を見た速水と田口はぎょっとなった。
頬にまっすぐ二本、赤い染みがついていたのだ。
担任教諭が寄ってきて、苦笑を浮かべて言った。

「赤チンです。その……涼くんとケンカしまして、ひっかき傷が」
「何だとぉ?」
「速水、子供のケンカだからっ」

娘の顔に傷をつけられたとあって目つきが険しくなりかけた速水だったが、田口に素早く袖を引かれてしまった。田口は横眼で速水の気配を伺いながら、担任に尋ねた。

「ケンカの原因は何でしょう?」
「晃子ちゃんは悪くないんです。折り紙の時間に、公子ちゃんのことを涼くんがからかって、公子ちゃん泣きだしちゃって」
「それで晃子が怒ったんですね?」
「ええ…………」

速水と田口、それから担任教諭と三人は揃って二人の子供を目で追った。
泣いたことも、男の子とケンカしたことも、すっかり忘れたように走り回っている。晃子の方が足が速いようで、公子はすぐ晃子に捕まっていた。
そんな二人に近付く男の子が一人。

「あ、あれ、涼くんです」
「あ?」
「速水っ」

公子を泣かせ、晃子の顔に傷を付けた相手の名前に、速水の声がたちまち尖る。田口が短く諌めたが、遠くから睨むのは止めなかった。
案の定、公子はおどおどと晃子の手を掴み、晃子は前面に出ていつでも掴み合いを始めそうな気配だ。
大人たちが成り行きを見守っていると、一人の子供が割って入っていった。

「涼っ! ケンカしちゃダメだろ」
「お兄ちゃん」
「ホラ、きみちゃんとあきちゃんにゴメンなさいしなきゃ」
「う…………ゴメン、なさい…………」

公子も晃子もきょとんとしている。田口は担任の教諭を振り返った。

「あの子は?」
「涼くんのお兄ちゃんの恭一くんです。しっかりした子でしょ?」
「そうですね。あ、こっち来る」

噂の恭一くんが弟の手を引いてやってくるので、田口も速水もちょっと反応に戸惑った。不思議そうな顔をしたまま晃子と公子もやってくる。
恭一くんは田口の顔を見上げて尋ねた。

「あきちゃんときみちゃんのママ?」
「うん、そうだけど?」
「えっと、弟がきみちゃんをイジメてゴメンなさい。それから、あきちゃんとケンカしちゃって、ゴメンなさい」
「…………わざわざ有難う、恭一くん。涼くんも、今度はきみやあきと仲良くして下さい」

子供に謝られて流石の田口も困ったようだったが、一つ笑うと無難な返答でまとめた。田口の言葉に恭一くんはにっこり笑った。
微笑ましい雰囲気になったところで、田口は速水を振り返った。

「そろそろ行くか? 今度はパパのお見送りだぞ」
「お見送り――っ」
「先生、さよーならっ」

田口の掛け声に、子供達ははしゃぎ出した。いつも送ってもらう方だから、パパのお見送りというシチュエーションが楽しくて仕方ないらしい。
田口と速水も担任教諭に軽く会釈をし、涼くんと恭一くんの兄弟に手を振って、今度は東城大学附属病院の方へ歩き出した。構内を突っ切るルートを行けば、こちらは本当に近い。

「きみを泣かせたヤツをやっつけたのか。偉かったぞ、あき」
「うんっ」
「速水……どうしてそう、あきをけしかけるんだ。きぃみ、ちゃんと前見て歩きなさいって」

速水の声に晃子は自信たっぷりに頷いた。田口は呆れた顔をする。同時にぼんやりと横を向いて歩いていた公子の手をちょいと引いて注意した。
そんな二人の顔を見ながら、速水は内心苦笑を浮かべる。
晃子が速水に似ているなら、公子は田口似だ。おっとりぼんやりしたところまでそっくりだ。晃子が公子の心配をし、公子を守ろうとするのは当たり前なのである。速水と田口がそうなのだから。
オレンジ棟の通用口で一家は立ち止まった。
たった一晩だというのに離れ難い気持ちになるのはいつものことだった。

「行ってらっしゃい、は?」
「行ってらっしゃい、パパ」
「お仕事頑張ってね」

田口に促されて、二人の娘はしゃがんだ速水の頬にキスをくれた。速水もお返しにキスをする。
立ち上がると、今度は田口の番だ。人眼がないとも限らないから、外でキスはしない。田口は人差し指を軽く自分の唇に当て、それからその指を速水の頬に押し当てた。

「行ってらっしゃい」

田口の唇を親指でぐっと撫でて、その指に速水はキスをする。その様子を見ている田口が恥ずかしそうに僅かに目を逸らすのが、いつまで経っても新鮮だ。
名残は尽きないが、風に乗って幽かにサイレンが流れてくる。
速水の表情が引き締まった。パパから、ジェネラルの顔へと変貌する。

「行ってくる」

颯爽と歩き出す速水の背後で、

「パパ、カッコいいね」
「大きくなったらあきもお医者さんになる――っ」

とはしゃぐ声がして、ほんの一瞬だけジェネラルはパパの顔で微笑を浮かべた。





「……………………っていう夢を見たんだけど、お前俺と結婚して子供産まない?」

突然やってきてずらずらとまくし立てた挙句、世迷い事をぬかした速水に対し、「どうしてくれようかこの阿呆」と田口は一瞬本気で思ったのだった。
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無題
初めまして!
こっそりストーカーのように日参させていただいています。

速水の夢落ちだったんですか!?
かなり楽しみながら読ませて頂きました!

晃子と公子、可愛い!
そして速水と田口は結婚してもラブラブ!!
涼君はきっと公ちゃんのことが好きなんですね。
好きな子をいじめるっていう(笑)
そして密かに恭一も好きに違いない!それともみんなのお兄ちゃん的ポジション?
晃ちゃんが速水似なら、桐生兄弟とはラブよりライクで、認めあっていざって時には頼れるライバルなんだけど、基本的に公ちゃんを挟んでバチバチしてそうです。涼君とは堂々と。恭一君はなんとなく、速水に牽制されそう(笑)
…ってそれじゃ普通にいつも図式ですね。


すいません、全部願望です。
パラレル企画、是非続けてください!
そして是非速水先生、この夢の続きを見て~!!

長々と乱文を失礼しました。
NONAME 2009/04/03(Fri)09:37:12 編集
Re:無題
いらっしゃいませ。こちらこそ初めましてデス。
よかったぁ、夢オチを笑って許してもらえて。夢オチってあらゆる矛盾を薙ぎ払う最強ワード故に、安易に使っちゃいけないと思うな……。
脳内妄想では、涼くんと晃子が公子を取り合ってバチバチやってる隙に、いい雰囲気に持ってく恭一くん、という図式ですね。涼くんと恭一くんは再婚家族とゆー、無駄な設定もあったりする。涼の母親の旧姓が鳴海なのさ。
この夢の続きを見たら、いきなりきみちゃんの結婚式で、将軍泣くかもよ?
晃子よりは公子のが結婚早そうな気がするな――。
S.Kirishima 2009/04/04 11:15
はじめまして!
瑚宮 深緋路と申します。

ずーっとこっそり伺っていたのですが…速水&田口&双子ちゃんにやられてしまいました(笑)

もう可愛すぎです!
そして「夢かいな!」ってオチも素敵です。
目が覚めた瞬間の将軍の表情が気になりますっ!

パラレル希望です!
楽しみにしています!!


突然押しかけての乱文、どうぞご容赦くださいませ。。。
Mihiro 2009/04/03(Fri)13:22:15 編集
Re:はじめまして!
こちらこそ、初めまして。コメント有難う御座います。
やっぱり女の子の双子って同人書きには理想でしょう。男の子だったら一(はじめ)か平(たいら)か一平だったな。
夢から覚めた瞬間、さーぞやガッカリしたでしょうねぇ、将軍。ニマニマ笑いながら寝てたでしょうから、だらしない顔だったに違いない。そのくせプロポーズしに押しかけるんだから、まだ頭は半分夢の中と見えますな。
パラレル許可、有難う御座います。ちまちま頑張りますですよ。
また遊びにいらして下さいませ。
S.Kirishima 2009/04/04 11:21
わーいvv
すごい!かわいい。みんなが!
こういうのが読みたかったんですよう。
霧島さん だいすきです☆
ウフフ。あー、しあわせ。

最後の2行が秀逸ですよね。田口先生が阿呆と思うのは一瞬だけってとこがね。
更なる妄想が膨らみますし(笑)
田口先生が男でも女でも、いいなあコレ。
なゆた 2009/04/03(Fri)22:11:35 編集
Re:わーいvv
いらっしゃいませ、こんにちは。
そこそこ反応貰えるかなーとは思ってましたが、やっぱり嬉しいですねっ。
コレ、行灯先生は田口公平のままなんです。
男同士でどうして結婚出来て子供が出来てママなんだってゆー矛盾を、全てすっ飛ばすための夢オチなのですよ。
子煩悩パパとしっかり者のママって最強家族ですよねえ。しかもイチャイチャ万年新婚夫婦。家族物の王道を突っ込みました。書いてる方も楽しかったです。
なゆたさんトコの将軍さまも、公ちゃんとこーゆう幸せな家庭を築けるとよいですねぇ……頑張って幸せにしてあげて下さい(笑)。
S.Kirishima 2009/04/04 11:35
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