さり気に赤本ネタバレ注意報発令中。
その他の面々、のカテゴリーに入ってますが、実質将軍と行灯先生です。
だってメンツが将軍とがんがんトンネル魔人です。
極北は海の幸が美味いんだよーってタヌキ病院長が言ってましたって話。
その他の面々、のカテゴリーに入ってますが、実質将軍と行灯先生です。
だってメンツが将軍とがんがんトンネル魔人です。
極北は海の幸が美味いんだよーってタヌキ病院長が言ってましたって話。
『よお』
携帯電話の向こうから聞こえてきたのは、北の果てにいる筈の男だった。
着信時の名前を見て薄々は察していたが、それでも島津は速水からの電話に驚いてしまった。
北の果てからも電波はちゃんと届いてきているらしい。音声はわりとクリアだった。
島津に挨拶をさせず、速水はとっとと用件を切り出した。
『行灯のところにカニ送ったから、二人で食ってくれ』
「それはそれは…………」
瞬間いくつかの疑問がまとめて浮かび上がって、結局どれもまとまりきらなかった。取り敢えず島津は頷いた。
「お前がそんな気の利いたことするなんてな」
『嫌がらせだよ。俺はもっと美味いのを、飽きるほど食ってるぜ』
「自慢話か」
『まあな。クソ寒い街だが、本気で海の幸は美味いわ』
「そうか」
島津も、速水が辞表を叩き付けた件は知っている。辞めると言っていた男が三年で帰ってくると言って北へ向かった陰に、昼行灯と呼ばれる男が一枚噛んでいるのだろう。
「行灯にハメられた」と言った速水の表情は、セリフとは裏腹にどこか楽しそうだった。
「で、何でわざわざ俺んトコに電話してきた? てか、俺は電話だけかよ」
そうだ。一番の疑問はこれだった。
島津宛にカニを送ったと言うなら電話の理由も納得できる。
が、そうではない。これでは田口のところへ行ってせびってこい、という意味にも取れる。
愚痴の混ざった島津の疑問に、電話の向こうで速水は笑った。
『アイツ一人じゃ持て余すだろ。挙句、藤原さんやタヌキ院長にやっちまうかもしれんからな』
「何だ、俺は保険か」
『いいだろ、お前だってカニ食えるんだ』
「へえへえ。つまりアイツにちゃんと食わせろってことね」
まったく、将軍は昔から行灯に甘い。
からかい混じりなので一見解り難いが、付き合いが長い島津などにはすぐに察せられる。
島津は長い溜息を吐いた。
「解った。取り敢えず礼は言っとく」
『おう。行灯によろしくな』
さばさばした口調で北からの電話は切れた。
島津も携帯の通話を切ると、再度溜息を吐いた。
カニの入ったトロ箱を前に困惑する田口の表情が思い浮かぶ。
暇を見て、不定愁訴外来に顔を出すことにしよう。
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