メリクリあけおめ企画№05、aoko様のリクエストです。
aoko様、企画参加&リクエスト有り難う御座いました。
そんでもって、遅くなりまして申し訳ありませんでした……。
リク内容は「血の苦手な行灯先生の話」ということでした。
既出ネタをどう料理するかが腕の見せどころ!
……というほどの腕の持ち主じゃありませんが、まあネタ被りは避けたつもりです。
安直過ぎるタイトルですが、捻りようが無かったとも言う…。
それでは続きをどうぞです。
aoko様、企画参加&リクエスト有り難う御座いました。
そんでもって、遅くなりまして申し訳ありませんでした……。
リク内容は「血の苦手な行灯先生の話」ということでした。
既出ネタをどう料理するかが腕の見せどころ!
……というほどの腕の持ち主じゃありませんが、まあネタ被りは避けたつもりです。
安直過ぎるタイトルですが、捻りようが無かったとも言う…。
それでは続きをどうぞです。
揃いのジャケットには大学病院名が翻る。
プロペラの大きな風切り音をBGMに、仰ぐアングルで飛翔する機体。
曇天を滑るヘリコプターには赤十字。
「はぁ…………」
居間で田口が見ていたテレビに、風呂上がりの速水もつい足を止めた。
大学名で、それが関東地方の某県だと解る。
ドクターヘリと、救急救命治療の最前線のドキュメンタリ。
桜宮で実現する日は遠く、速水は自然溜息を吐いた。
「やっぱり羨ましいか?」
テレビ画面を見遣ったまま、田口が速水に尋ねた。
速水は少し首を傾げる。
「羨ましいっつーのとは違うか? 俺のモンになるワケじゃねえしな」
羨ましいと言うより、自治体の不甲斐なさに腹立たしい気持ちの方が強いと速水は思う。
導入されるべき有用なシステムが導入されないのは、極論すればカネの問題である。
ままならない現実を思い煩いながら速水は田口の隣りに座った。
ソファが少しだけ沈み、そして落ち着くバランスを見つける。
画面の中は緊迫したシーンだ。
『出血止まらないぞ』
『何処だよ』
『探せっ』
応急処置後病院へ搬送された患者の容体は、刻一刻と悪くなる。
出血点が見つからず、外科医と研修医と三人がかりで取りかかる。
開かれた腹の中は真っ赤だ。
ついつい、画面の中の医師たちと一緒になって出血点を探そうとしていた速水の肩に、ふと重みがかかった。
速水の隣りには田口しかいない。
「田口?」
「気持ち悪…………っ」
速水が横を見れば、田口は口元を押さえて俯いていた。
先程の、真っ赤な画面に気分が悪くなったらしい。
速水の身体の前面を滑り落ちるようにして、田口は速水の膝を枕に横になった。
原因が解るだけに、速水は溜息を吐いた。
「お前、そこまでダメだったか……」
「五月蠅い……アレはキツイだろ…………っ」
田口の口から出る悪態も力の無いものだった。
田口が血を苦手なのは速水も十分承知していたが、テレビ画面越しでも駄目だとまでは思っていなかった。
血腥さや生温かさが駄目だと思っていたのだが、一面の赤も駄目だったらしい。
つくづく外科に適性の無い奴だと思う。
その分、現在の神経内科と愚痴外来は彼には天職だ。
力なく目元を隠した田口の前髪を梳きながら、速水は小さく笑った。
「だったらどうしてあんなの見てたんだ? 救命救急最前線なんて、血みどろに決まってるだろ」
速水だったら絶対に選ばないチャンネルだ。口出ししたくなるに決まっている。
血みどろなのが容易に予想出来るだろうに、どうして田口がそのチャンネルを見ていたのだか、速水は不思議に思った。
速水の膝の上にある田口の頭がビクリと一つ震えた。
「ん?」
「…………ドクターヘリは、」
髪を軽く引っ張って促すと、田口は渋々口を開いた。
顔を隠す手が拳を作っていて、顔を隠したがっていることが解る。
「お前のやりたがってる仕事だろ、だから…………」
知っておきたかった、と。
フェードアウトした言葉も、速水の耳にはちゃんと届いた。
風呂の余熱ではない、別の暖かいもので体温が上がる。
衝動のままに、速水は田口の額にキスを落とした。
「えっ、はや……み……っん、」
そのまま顎先で押しやるように、瞼の上の田口の手をどかして瞼に、更には唇まで、キスを這わせる。
予告なしに始まったキスに瞬間戸惑った田口だったが、やがて薄く唇を開いて速水の舌を招き入れてくれた。
田口が息切れして降参するまで、存分に舌を絡め合う。
ゆっくりと身体を起こすと、潤んだ眼差しが速水を見上げていた。
「サンキュ」
己の仕事を理解して貰える喜びを告げれば、田口はニッコリと笑う。
その笑顔が可愛くて、おまけとばかり、今度は田口の額に可愛らしい音を立ててキスを一つ落とした。
テレビの中のドキュメンタリはインタビュー部分に移っていたが、もう二人とも興味は無かった。
プロペラの大きな風切り音をBGMに、仰ぐアングルで飛翔する機体。
曇天を滑るヘリコプターには赤十字。
「はぁ…………」
居間で田口が見ていたテレビに、風呂上がりの速水もつい足を止めた。
大学名で、それが関東地方の某県だと解る。
ドクターヘリと、救急救命治療の最前線のドキュメンタリ。
桜宮で実現する日は遠く、速水は自然溜息を吐いた。
「やっぱり羨ましいか?」
テレビ画面を見遣ったまま、田口が速水に尋ねた。
速水は少し首を傾げる。
「羨ましいっつーのとは違うか? 俺のモンになるワケじゃねえしな」
羨ましいと言うより、自治体の不甲斐なさに腹立たしい気持ちの方が強いと速水は思う。
導入されるべき有用なシステムが導入されないのは、極論すればカネの問題である。
ままならない現実を思い煩いながら速水は田口の隣りに座った。
ソファが少しだけ沈み、そして落ち着くバランスを見つける。
画面の中は緊迫したシーンだ。
『出血止まらないぞ』
『何処だよ』
『探せっ』
応急処置後病院へ搬送された患者の容体は、刻一刻と悪くなる。
出血点が見つからず、外科医と研修医と三人がかりで取りかかる。
開かれた腹の中は真っ赤だ。
ついつい、画面の中の医師たちと一緒になって出血点を探そうとしていた速水の肩に、ふと重みがかかった。
速水の隣りには田口しかいない。
「田口?」
「気持ち悪…………っ」
速水が横を見れば、田口は口元を押さえて俯いていた。
先程の、真っ赤な画面に気分が悪くなったらしい。
速水の身体の前面を滑り落ちるようにして、田口は速水の膝を枕に横になった。
原因が解るだけに、速水は溜息を吐いた。
「お前、そこまでダメだったか……」
「五月蠅い……アレはキツイだろ…………っ」
田口の口から出る悪態も力の無いものだった。
田口が血を苦手なのは速水も十分承知していたが、テレビ画面越しでも駄目だとまでは思っていなかった。
血腥さや生温かさが駄目だと思っていたのだが、一面の赤も駄目だったらしい。
つくづく外科に適性の無い奴だと思う。
その分、現在の神経内科と愚痴外来は彼には天職だ。
力なく目元を隠した田口の前髪を梳きながら、速水は小さく笑った。
「だったらどうしてあんなの見てたんだ? 救命救急最前線なんて、血みどろに決まってるだろ」
速水だったら絶対に選ばないチャンネルだ。口出ししたくなるに決まっている。
血みどろなのが容易に予想出来るだろうに、どうして田口がそのチャンネルを見ていたのだか、速水は不思議に思った。
速水の膝の上にある田口の頭がビクリと一つ震えた。
「ん?」
「…………ドクターヘリは、」
髪を軽く引っ張って促すと、田口は渋々口を開いた。
顔を隠す手が拳を作っていて、顔を隠したがっていることが解る。
「お前のやりたがってる仕事だろ、だから…………」
知っておきたかった、と。
フェードアウトした言葉も、速水の耳にはちゃんと届いた。
風呂の余熱ではない、別の暖かいもので体温が上がる。
衝動のままに、速水は田口の額にキスを落とした。
「えっ、はや……み……っん、」
そのまま顎先で押しやるように、瞼の上の田口の手をどかして瞼に、更には唇まで、キスを這わせる。
予告なしに始まったキスに瞬間戸惑った田口だったが、やがて薄く唇を開いて速水の舌を招き入れてくれた。
田口が息切れして降参するまで、存分に舌を絡め合う。
ゆっくりと身体を起こすと、潤んだ眼差しが速水を見上げていた。
「サンキュ」
己の仕事を理解して貰える喜びを告げれば、田口はニッコリと笑う。
その笑顔が可愛くて、おまけとばかり、今度は田口の額に可愛らしい音を立ててキスを一つ落とした。
テレビの中のドキュメンタリはインタビュー部分に移っていたが、もう二人とも興味は無かった。
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COMMENT
ありがとうございました!
遅くなりましたが、ありがとうございました!血が苦手なのに、将軍のことだから…って頑張る行灯、すごい可愛かったです!テレビ越しでも気持ち悪くなっちゃう行灯と、膝枕する将軍が素敵すぎて…!素敵な作品ありがとうございました!
Re:ありがとうございました!
こちらこそ、リクエスト有り難う御座いました!
お返事遅くなってゴメンなさいです…。
以前にえぬえっちけーで見たドクターヘリのドキュメントを思い出してああいう話になりました。
実際、どうでしょうね、行灯先生。せめてモニター越しでは耐えて欲しいところなのですが……。
テレビの医療ドラマのオペシーンにケチをつける将軍、とか有りかもしれませんね。
今回は本当に有り難う御座いました。
また遊びにいらして下さいませ!
お返事遅くなってゴメンなさいです…。
以前にえぬえっちけーで見たドクターヘリのドキュメントを思い出してああいう話になりました。
実際、どうでしょうね、行灯先生。せめてモニター越しでは耐えて欲しいところなのですが……。
テレビの医療ドラマのオペシーンにケチをつける将軍、とか有りかもしれませんね。
今回は本当に有り難う御座いました。
また遊びにいらして下さいませ!