バレンタインに遅刻しました、イエーイ!
そしてネタが降ってきたのが15日朝だというのだから、そもそも間に合う筈もなかった。
遅れたら遅れたなりのネタなので、まあ問題は無い筈だ。
ちょっと注意!
将軍が片想いくさいですが、微糖シリーズとは全く繋がっておりません。アレはアレ、コレはコレ。
出勤前の突貫工事で書き上げますので、ボロが出ても目を瞑ってやって下さい。
それでは続きをどうぞです。
そしてネタが降ってきたのが15日朝だというのだから、そもそも間に合う筈もなかった。
遅れたら遅れたなりのネタなので、まあ問題は無い筈だ。
ちょっと注意!
将軍が片想いくさいですが、微糖シリーズとは全く繋がっておりません。アレはアレ、コレはコレ。
出勤前の突貫工事で書き上げますので、ボロが出ても目を瞑ってやって下さい。
それでは続きをどうぞです。
バレンタイン、の次の日というのは拍子抜けしたものだ。
女性陣の気合はすっかり抜けているし、百貨店やスーパーの商魂も何処かへ飛んで行ってしまっている。
気の早いイベントコーナーでは、早くもホワイトデーに切り替わっている。
レジ前の安売りワゴンに乗せられたチョコレートが、虚しい限りだ。
「行灯、コーヒー」
「挨拶より先にそれか、お前は」
速水の声に、田口は回転椅子を回しながら呆れた声で言った。
愚痴外来の密かな自慢は、「満天」より余程美味なコーヒーである。
速水もその恩恵に肖っている一人だ。
勝手知ったる奥の院で、速水はソファにどっかり腰を下ろした。
何だかんだ言いながらも田口はコーヒーを差し出してくれる。
「今日もお疲れみたいだな」
「昨日も今日も、だ」
「明日も明後日も?」
「多分。あ――、うまっ」
少しのミルクで温度を下げたコーヒーが腹を温める。
体内に沁み渡っていく甘味に、速水は息を吐いた。
チュッパチャプスでは、腹から満ちる感が得られない。
そんな速水を黙って見ていた田口が、つと立ち上がる。
デスクの引き出しから小さな紙袋を一つ取り出して、無造作にテーブルの上に放り出した。
「やる。疲れた時の甘味は効くだろ」
「ん? ってこれ、バレンタインのか」
茶色のリボンはどう見てもバレンタイン仕様だ。
昨日の速水も随分貰ったが、実のところ忙し過ぎてくれた相手の顔もろくろく見ていない。
田口は少々不貞腐れたような表情で言葉を繋いだ。
「安くなってたから、つい買っちゃったんだ。だから、バレンタインとか関係ないから、気にするな」
「ああ、そうか」
そうだ、気にする方がおかしいのだ。
四十も過ぎた男同士で、バレンタインもへったくれもない。
速水もそう思うが、心の中で勝手に都合よく解釈するぐらいはいいだろう。
一日遅れだろうが売れ残りだろうが、「田口からのバレンタイン」は速水にとって十分価値がある。
「有難く貰っとく」
「ああ。無理はするなよ、もう若くないんだからな」
「その言葉そっくり返すよ、年寄りめ」
紙袋を指先で持ってブラブラと揺らすと、田口は苦笑交じりに言った。
速水が返すと田口は声を出さずに笑う。
日付は2月15日、イベントも何も、意味の無い日だ。
だが、速水にとっては充分に満足な日になったのだった。
女性陣の気合はすっかり抜けているし、百貨店やスーパーの商魂も何処かへ飛んで行ってしまっている。
気の早いイベントコーナーでは、早くもホワイトデーに切り替わっている。
レジ前の安売りワゴンに乗せられたチョコレートが、虚しい限りだ。
「行灯、コーヒー」
「挨拶より先にそれか、お前は」
速水の声に、田口は回転椅子を回しながら呆れた声で言った。
愚痴外来の密かな自慢は、「満天」より余程美味なコーヒーである。
速水もその恩恵に肖っている一人だ。
勝手知ったる奥の院で、速水はソファにどっかり腰を下ろした。
何だかんだ言いながらも田口はコーヒーを差し出してくれる。
「今日もお疲れみたいだな」
「昨日も今日も、だ」
「明日も明後日も?」
「多分。あ――、うまっ」
少しのミルクで温度を下げたコーヒーが腹を温める。
体内に沁み渡っていく甘味に、速水は息を吐いた。
チュッパチャプスでは、腹から満ちる感が得られない。
そんな速水を黙って見ていた田口が、つと立ち上がる。
デスクの引き出しから小さな紙袋を一つ取り出して、無造作にテーブルの上に放り出した。
「やる。疲れた時の甘味は効くだろ」
「ん? ってこれ、バレンタインのか」
茶色のリボンはどう見てもバレンタイン仕様だ。
昨日の速水も随分貰ったが、実のところ忙し過ぎてくれた相手の顔もろくろく見ていない。
田口は少々不貞腐れたような表情で言葉を繋いだ。
「安くなってたから、つい買っちゃったんだ。だから、バレンタインとか関係ないから、気にするな」
「ああ、そうか」
そうだ、気にする方がおかしいのだ。
四十も過ぎた男同士で、バレンタインもへったくれもない。
速水もそう思うが、心の中で勝手に都合よく解釈するぐらいはいいだろう。
一日遅れだろうが売れ残りだろうが、「田口からのバレンタイン」は速水にとって十分価値がある。
「有難く貰っとく」
「ああ。無理はするなよ、もう若くないんだからな」
「その言葉そっくり返すよ、年寄りめ」
紙袋を指先で持ってブラブラと揺らすと、田口は苦笑交じりに言った。
速水が返すと田口は声を出さずに笑う。
日付は2月15日、イベントも何も、意味の無い日だ。
だが、速水にとっては充分に満足な日になったのだった。
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