怪談も何にも関係なく、将軍と行灯です。
別れ話ネタです。
シドの「嘘」って曲を聴いてて、なんとなーくやってみたくなっただけ。
相変わらずワンフレーズ勝負です。
そのくらいの緩い動機だから、破綻するかもしれないな。
ああ、今強引に企画タイトルを作った!
「芸術の秋企画・BGM付きSS作成月間」ってどうだ?
取り敢えず何かインスピレーションを得た曲を紹介するの。
まあ、何処までやれるかは解らない。
シドはTVアニメ黒執事でテーマソング歌ってる人って言えば通るのかな?
以前にも紹介したことがあるかもしれません。
アルバム「hikari」の収録曲です。
#2の「妄想日記2」がストーカー女の曲ですが、結構可愛い。
別れ話ネタです。
シドの「嘘」って曲を聴いてて、なんとなーくやってみたくなっただけ。
相変わらずワンフレーズ勝負です。
そのくらいの緩い動機だから、破綻するかもしれないな。
ああ、今強引に企画タイトルを作った!
「芸術の秋企画・BGM付きSS作成月間」ってどうだ?
取り敢えず何かインスピレーションを得た曲を紹介するの。
まあ、何処までやれるかは解らない。
シドはTVアニメ黒執事でテーマソング歌ってる人って言えば通るのかな?
以前にも紹介したことがあるかもしれません。
アルバム「hikari」の収録曲です。
#2の「妄想日記2」がストーカー女の曲ですが、結構可愛い。
引っ越しの荷造りは存外簡単に済んだ。
元々持ち物は少なかった。
そしてまた、向かう先も救急担当となれば、在宅時間が限りなく少ない事は目に見えている。
それなら、物を増やす必要も無い。
家具が無ければそれなりに広い部屋を見回して、速水は溜息を吐いた。
踵を返して、外へ向かう。
布団も梱包してしまったから、今夜は桜宮駅付近のビジネスホテル泊まりだ。
「何か食ってくかなぁ」
呟きながら、アパートの階段を下りた時だった。
バリケードに腰を下ろしている田口の姿を見つけた。
足を投げ出すようにして緩く寄り掛かっていた田口は、速水の足音で顔を上げると、ゆっくりと笑みを浮かべた。
「やぁ」
「おう。どうした?」
いくら何でも、田口の用件は速水だということは察しがつく。
ゆるりと笑った田口に、速水も軽い口調で問いかけた。
田口は困ったような顔で笑った。
「明日はちょっと時間が取れなさそうだから、今日のうちに挨拶しとこうと思ってさ」
「そりゃご丁寧に」
窓際医師の田口が忙しいというのも意外だが、田口にだってそういう日はあるだろう。
速水の口調はついつい茶化すようなものになった。
ふざけているのではない、学生時代から二人はこんな感じなのだ。
しかし、軽い口調も別離の前では姿を潜めるのだろう。
相変わらず困ったような笑顔ながら、田口はひっそりと口を開いた。
「…………元気で」
「ああ、お前もな」
言えるのはその程度の言葉だ。陳腐極まりない。
二十年の付き合いなのに、ここまで無言の空気が重苦しいのも初めてだと速水は思う。
沈黙が居た堪れなくて、速水は再び歩き始めた。
田口に近寄る。
そして、一歩ずつ離れる。
距離が空いたところで、速水は振り返った。
今度は速水から口を開く。
「またな」
「うん」
速水が言い、田口が頷く。
今度こそ振り返らずに速水は歩き始める。
歩くうちに、速水の口元に苦い笑みが浮かんできた。
何となく、それこそ速水のカンに過ぎないが、何となく予感がある。
またなと言い、頷き合ったけれど、多分。
「会わないだろうなぁ…………」
たとえ会ったとしても、目を伏せてすれ違うだけになるような。
そんな予感がした。
間遠になる電話連絡とか、途絶えがちになる賀状とか、そういったものが容易く想像出来る。
そして関係は希薄に、記憶は曖昧に、そうなっていくのだろう。
それを多少寂しいとも思ったが、仕方の無いことなのだと速水も思う。
「『サヨナラダケガ人生ダ』って、誰のだっけ?」
今振り返って田口に尋ねれば、田口は知っているかもしれない。
だが、それを訊くのも今更な気がした。
元々持ち物は少なかった。
そしてまた、向かう先も救急担当となれば、在宅時間が限りなく少ない事は目に見えている。
それなら、物を増やす必要も無い。
家具が無ければそれなりに広い部屋を見回して、速水は溜息を吐いた。
踵を返して、外へ向かう。
布団も梱包してしまったから、今夜は桜宮駅付近のビジネスホテル泊まりだ。
「何か食ってくかなぁ」
呟きながら、アパートの階段を下りた時だった。
バリケードに腰を下ろしている田口の姿を見つけた。
足を投げ出すようにして緩く寄り掛かっていた田口は、速水の足音で顔を上げると、ゆっくりと笑みを浮かべた。
「やぁ」
「おう。どうした?」
いくら何でも、田口の用件は速水だということは察しがつく。
ゆるりと笑った田口に、速水も軽い口調で問いかけた。
田口は困ったような顔で笑った。
「明日はちょっと時間が取れなさそうだから、今日のうちに挨拶しとこうと思ってさ」
「そりゃご丁寧に」
窓際医師の田口が忙しいというのも意外だが、田口にだってそういう日はあるだろう。
速水の口調はついつい茶化すようなものになった。
ふざけているのではない、学生時代から二人はこんな感じなのだ。
しかし、軽い口調も別離の前では姿を潜めるのだろう。
相変わらず困ったような笑顔ながら、田口はひっそりと口を開いた。
「…………元気で」
「ああ、お前もな」
言えるのはその程度の言葉だ。陳腐極まりない。
二十年の付き合いなのに、ここまで無言の空気が重苦しいのも初めてだと速水は思う。
沈黙が居た堪れなくて、速水は再び歩き始めた。
田口に近寄る。
そして、一歩ずつ離れる。
距離が空いたところで、速水は振り返った。
今度は速水から口を開く。
「またな」
「うん」
速水が言い、田口が頷く。
今度こそ振り返らずに速水は歩き始める。
歩くうちに、速水の口元に苦い笑みが浮かんできた。
何となく、それこそ速水のカンに過ぎないが、何となく予感がある。
またなと言い、頷き合ったけれど、多分。
「会わないだろうなぁ…………」
たとえ会ったとしても、目を伏せてすれ違うだけになるような。
そんな予感がした。
間遠になる電話連絡とか、途絶えがちになる賀状とか、そういったものが容易く想像出来る。
そして関係は希薄に、記憶は曖昧に、そうなっていくのだろう。
それを多少寂しいとも思ったが、仕方の無いことなのだと速水も思う。
「『サヨナラダケガ人生ダ』って、誰のだっけ?」
今振り返って田口に尋ねれば、田口は知っているかもしれない。
だが、それを訊くのも今更な気がした。
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