ラブマイレージ・プラン

60000ヒットの海壱さまからのリクエストです。
何よりも先に、遅くなりましたとお詫びしたいと思います。
申し訳ありませんです。


リク内容は「遠距離恋愛の将軍と行灯」でした。
遠恋って何ぞや？　と考えた時に、実はかなり迷いました。

パターン１：久々の再会話
パターン２：会えない淋しさが募る話
パターン３：浮気の疑いとか別れ話

とまあ、思いついたのはこんなところだったのですが。
パターン１は既にやっております。
パターン２と３に関しては、「シリアスを書く集中力なんかこの季節ねえぞ！」（←何時だってあるとは言い切れない）という理由で敬遠していました。
そんで捻り出したのがこの話。
タイトルからうっすらバレてる気がするが……仕方あるまい。
海壱さまには改めてキリ番ヒットおめでとう＆リクエスト有り難う御座いました！
読んでやって下されば幸いです。

「…………よしっ」

インターネット上で航空券の予約をして、田口は一息吐いた。
大分手慣れたが、それでも少しの不安が残るのは、画面の向こうに人の顔が見えないせいだろう。
航空券を自分で手配するようになったのはここ最近の話だ。
それまでは飛行機を使う機会といえば病院絡み学会絡みで、事務方に手配を一任していたのである。
行先は新千歳空港。
恋人である速水に会いに行く為だ。

「大分溜まったなぁ」

画面の中に、累計されたマイルの表示があった。
それに気付いた田口は一人感嘆の息を漏らす。
マイレージカードを作るようになったのも、ここ最近の話。
溜まったマイルは全て羽田-新千歳間往復の分で、つまり速水に会いにいった分だ。
速水より田口の方が時間の確保が出来るので、田口が会いに行く形になっている。
それを不平等だとは田口は思わない。
仮令どれだけ北の果てでも、速水がいるのは生命の最前線だ。
デッドライン上で奮闘している速水に、会いに来いと言うつもりはなかった。

「ふぅん…………」

航空券を予約したページから、マイレージ会員の特典ページへ移動する。
ざっと眺めてから、ページを閉じた。
今は速水に電話をするのが先だ。
予告なしに訪問して驚かせてやるのも楽しいが、それでウッカリすると二人の時間が取れないのだ。
どうせ会いに行くなら、一緒にいる時間が多い方がいい。
コール音を聞きながら、次の次あたりはマイルを使ってみようかな、などと田口は密かに思ったのだった。