58888ヒット、こなつ様からのリクエストです。
こなつ様、ヒットおめでとう御座います。
そしてリクエスト有り難う御座います。
遅くなりました……申し訳御座いません。
例によって御挨拶三点セットで始まります。
リク内容は「将軍と行灯でずぶ濡れの二人」を採用しました。
タイトルは稀に発症する「長い題名を付けたい病」かと思われます。
まあとっても解り易いタイトルで、と言いますか。
学生時代です。それではどうぞ。
夏のイベント、初参加してきました。
暑かった。あんなに汗かいたのは初めてです。
それでもまあ、無事にお目当ての御本は入手してきました。
疲れてるし、早く寝たいのだけど、誘惑に負ける可能性がかなり大きいよ!
こなつ様、ヒットおめでとう御座います。
そしてリクエスト有り難う御座います。
遅くなりました……申し訳御座いません。
例によって御挨拶三点セットで始まります。
リク内容は「将軍と行灯でずぶ濡れの二人」を採用しました。
タイトルは稀に発症する「長い題名を付けたい病」かと思われます。
まあとっても解り易いタイトルで、と言いますか。
学生時代です。それではどうぞ。
夏のイベント、初参加してきました。
暑かった。あんなに汗かいたのは初めてです。
それでもまあ、無事にお目当ての御本は入手してきました。
疲れてるし、早く寝たいのだけど、誘惑に負ける可能性がかなり大きいよ!
「これ、止むのか?」
「そりゃ何時かは止むだろ」
「いつか、ねえ」
田口の答えに、速水は呆れ混じりの息を吐いて空を見上げた。
黒い雲が厚く敷かれている。
目線を下げれば、アスファルトを激しく打つ雨。
アスファルトに当たって跳ね返ってさえいる。
そして、速水と田口の二人に傘は無い。
「部室の傘、ちょっぱって来りゃよかったな」
「お前、人の傘ドロボウするなよ」
「傘があったら入れてやったぞ」
「……………………」
速水の発言を常識的に窘めた田口だったが、次の提案には黙り込んでしまった。
人間誰しも自分が大切である。
田口の無言の答えに、速水はからりと笑った。
そしてやっぱり、雨は止む気配を見せない。
忍耐力の無い速水は、何時までも待っていることに焦れた。
「走って帰るか」
「え~~~~っ?!」
どうせ後は帰るだけで、何処かへ寄る用事も人に会う約束もない。
それなら、濡れて帰っても構わないだろう。
そう考えての提案に、田口は声と顔の両方で思いっきり反対した。
「暫く待てば止むだろ?」
「その間に、家に辿り付かないか?」
「うーん…………」
田口は悠長な提案をする。
勿論、「濡れたくない」というのが最大の理由だ。
雨の中を走るような根性など、田口は持ち合わせていない。
しかし、雲の厚さを考えるとあと30分は降り続きそうだ。
それだけ時間があれば、家に帰りつく。
時間が有効に使える、というワケだ。
すぐに止みそうにないという見解は田口も同様で、顰め面で暗い空を見上げていた。
ふと思いつく。
「じゃんけんにするか」
我ながらなかなかの名案だと速水は思った。
田口が怪訝そうな顔で首を傾げる。
速水は拳を突き出しながら説明した。
「俺が勝ったら走る、お前が勝ったら止むまで待つってのはどうだ?」
「え~~…………」
「いいだろ、ほれ、じゃんけんぽっ」
不平満載という顔の田口だったが、速水がリズムに合わせて揺らした拳に反応した。
一方的に仕掛けられたじゃんけんに、田口は拳を固める。
広げた掌をひらりと返して、速水は笑った。
「お、俺の勝ちっ」
「え~~~~」
明るく笑う速水とは対称的に、田口は不満たらたらである。
速水は強引に田口の腕を掴まえた。
「よし、お前ン家の方が近いからそっちな。行くぞ!」
「え、うわっ!」
そうして、景気よく掛け声を上げると田口の腕を引いて雨の中を走り始めたのである。
引っ張られた田口が慌てて声を上げた。
委細構わず、速水は雨の中を走る。
勿論、田口の速度も考慮に入れて、せいぜいがジョギング程度の速さだった。
大粒の雨が顔に当たって、ちょっと痛い。
シャツの襟から雨が入って、背中を伝う。
次第に靴に水が浸みていく気配を、爪先に感じる。
「ははっ!」
何だか可笑しくなってきて、速水は一つ声を上げた。
「笑ってんな、バカ野郎っ!」
後ろから田口が怒って叫ぶ。
それだって、田口のテンションも高くなっている証拠だ。
現に、やがて田口の口からも小さな笑い声が零れ始めた。
傍から見たら滑稽な光景だっただろう。
男子学生が、手をつないだまま、雨の中を、笑いながら走っている。
冷静になれば速水たちだって気恥ずかしい筈だが、二人ともそういうことはちらとも考え付かなかった。
きっと、激しい雨に押し流されてしまったのだろう。
「あ、止んだ」
田口の家に辿り着いて、留守の間に閉めていた窓を開け放した頃には、空が明るくなり始めた。
二人ともまだずぶ濡れのまま、ろくろく髪も拭っていない。
「何だよ、待ってたら止んだじゃないか」
「いいだろ、ちょっとでも早く家に着いてんだから」
恨めしそうな眼をする田口に、速水はしれっとした顔で返す。
そんな二人の顔も、雲の切れ間から落ちた光が作る短い虹を見つけて晴れていったのだった。
「そりゃ何時かは止むだろ」
「いつか、ねえ」
田口の答えに、速水は呆れ混じりの息を吐いて空を見上げた。
黒い雲が厚く敷かれている。
目線を下げれば、アスファルトを激しく打つ雨。
アスファルトに当たって跳ね返ってさえいる。
そして、速水と田口の二人に傘は無い。
「部室の傘、ちょっぱって来りゃよかったな」
「お前、人の傘ドロボウするなよ」
「傘があったら入れてやったぞ」
「……………………」
速水の発言を常識的に窘めた田口だったが、次の提案には黙り込んでしまった。
人間誰しも自分が大切である。
田口の無言の答えに、速水はからりと笑った。
そしてやっぱり、雨は止む気配を見せない。
忍耐力の無い速水は、何時までも待っていることに焦れた。
「走って帰るか」
「え~~~~っ?!」
どうせ後は帰るだけで、何処かへ寄る用事も人に会う約束もない。
それなら、濡れて帰っても構わないだろう。
そう考えての提案に、田口は声と顔の両方で思いっきり反対した。
「暫く待てば止むだろ?」
「その間に、家に辿り付かないか?」
「うーん…………」
田口は悠長な提案をする。
勿論、「濡れたくない」というのが最大の理由だ。
雨の中を走るような根性など、田口は持ち合わせていない。
しかし、雲の厚さを考えるとあと30分は降り続きそうだ。
それだけ時間があれば、家に帰りつく。
時間が有効に使える、というワケだ。
すぐに止みそうにないという見解は田口も同様で、顰め面で暗い空を見上げていた。
ふと思いつく。
「じゃんけんにするか」
我ながらなかなかの名案だと速水は思った。
田口が怪訝そうな顔で首を傾げる。
速水は拳を突き出しながら説明した。
「俺が勝ったら走る、お前が勝ったら止むまで待つってのはどうだ?」
「え~~…………」
「いいだろ、ほれ、じゃんけんぽっ」
不平満載という顔の田口だったが、速水がリズムに合わせて揺らした拳に反応した。
一方的に仕掛けられたじゃんけんに、田口は拳を固める。
広げた掌をひらりと返して、速水は笑った。
「お、俺の勝ちっ」
「え~~~~」
明るく笑う速水とは対称的に、田口は不満たらたらである。
速水は強引に田口の腕を掴まえた。
「よし、お前ン家の方が近いからそっちな。行くぞ!」
「え、うわっ!」
そうして、景気よく掛け声を上げると田口の腕を引いて雨の中を走り始めたのである。
引っ張られた田口が慌てて声を上げた。
委細構わず、速水は雨の中を走る。
勿論、田口の速度も考慮に入れて、せいぜいがジョギング程度の速さだった。
大粒の雨が顔に当たって、ちょっと痛い。
シャツの襟から雨が入って、背中を伝う。
次第に靴に水が浸みていく気配を、爪先に感じる。
「ははっ!」
何だか可笑しくなってきて、速水は一つ声を上げた。
「笑ってんな、バカ野郎っ!」
後ろから田口が怒って叫ぶ。
それだって、田口のテンションも高くなっている証拠だ。
現に、やがて田口の口からも小さな笑い声が零れ始めた。
傍から見たら滑稽な光景だっただろう。
男子学生が、手をつないだまま、雨の中を、笑いながら走っている。
冷静になれば速水たちだって気恥ずかしい筈だが、二人ともそういうことはちらとも考え付かなかった。
きっと、激しい雨に押し流されてしまったのだろう。
「あ、止んだ」
田口の家に辿り着いて、留守の間に閉めていた窓を開け放した頃には、空が明るくなり始めた。
二人ともまだずぶ濡れのまま、ろくろく髪も拭っていない。
「何だよ、待ってたら止んだじゃないか」
「いいだろ、ちょっとでも早く家に着いてんだから」
恨めしそうな眼をする田口に、速水はしれっとした顔で返す。
そんな二人の顔も、雲の切れ間から落ちた光が作る短い虹を見つけて晴れていったのだった。
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COMMENT
ありがとうございます
霧島さま
またまた素敵な二人をありがとうございます。
何かと熱くなりがちなふたりですから、ずぶぬれの雨にぬれてちょっとはその熱が冷めましたでしょうかね?それとも、若さに勢いがついて、そのままむふふな展開でしょうかー。
水も滴るいい男たちのその後も気になります!
またまた素敵な二人をありがとうございます。
何かと熱くなりがちなふたりですから、ずぶぬれの雨にぬれてちょっとはその熱が冷めましたでしょうかね?それとも、若さに勢いがついて、そのままむふふな展開でしょうかー。
水も滴るいい男たちのその後も気になります!
Re:ありがとうございます
いらっしゃいませ、コメント有り難う御座います。
折角ラブ度を上げたリクエスト下さったのに、書く側の方が上がりませんでしたよ、ゴメンなさい!
>その後は?
虹が出ちゃったので爽やか路線と行きたいところですがね。
でもよくよく考えりゃ、ヤツら濡れた服を脱いで絞って洗濯機に突っ込んでで、多分ハダカですぜ。
そんな妄想は如何でしょうか?
それでは、またの御来場を楽しみにしております。
毎日暑いですねー。何事もほどほどに、無理はなさらないよう。
折角ラブ度を上げたリクエスト下さったのに、書く側の方が上がりませんでしたよ、ゴメンなさい!
>その後は?
虹が出ちゃったので爽やか路線と行きたいところですがね。
でもよくよく考えりゃ、ヤツら濡れた服を脱いで絞って洗濯機に突っ込んでで、多分ハダカですぜ。
そんな妄想は如何でしょうか?
それでは、またの御来場を楽しみにしております。
毎日暑いですねー。何事もほどほどに、無理はなさらないよう。