57777ヒットしたさとみ様のリクエストです。
さとみ様、ヒットおめでとう御座います!
リク内容は「行灯先生から将軍の名前を呼ぶ」話でした。
確かに、将軍が行灯先生の名前を呼ぶ話を書いた記憶はある。
あるのですが、さてそれはどんなタイトルだったのだか……書いた当人は忘却の彼方です。
それの逆バージョンってことでした。
突然ですが、モブキャラでちょこっと登場する女のコに、リクエスト下さったさとみ様のお名前をもじっております。
事後承諾で済みません……。
ホントはそのまま使う気でいたけど、慌てて捻り出したというのは此処だけの話。
それではどうぞです。
さとみ様、ヒットおめでとう御座います!
リク内容は「行灯先生から将軍の名前を呼ぶ」話でした。
確かに、将軍が行灯先生の名前を呼ぶ話を書いた記憶はある。
あるのですが、さてそれはどんなタイトルだったのだか……書いた当人は忘却の彼方です。
それの逆バージョンってことでした。
突然ですが、モブキャラでちょこっと登場する女のコに、リクエスト下さったさとみ様のお名前をもじっております。
事後承諾で済みません……。
ホントはそのまま使う気でいたけど、慌てて捻り出したというのは此処だけの話。
それではどうぞです。
すっかり小児愚痴外来が通常業務に組み込まれた田口の元に、新たな患者が紹介されてきた。
小学二年生の女の子、早見美沙都(はやみ・みさと)ちゃんである。
病気とは思えない溌溂とした女の子で、却ってそんな明るい子が病棟に閉じ込められているという状況に、目頭も熱くなるというもの。
そんな子のささやかなお願いなど、可能な限り叶えてやりたいと田口が思うのも当然だった。
「それであの子は名前で呼んでるのか」
「まあ、そうだ」
速水の言葉に、田口は余所を向いたまま頷いた。
速水が真剣に考え込む表情になる。
田口はますますウンザリとした気分になった。
「ズルイ」
不貞腐れた表情の速水の口から出てきたのは、そんな一言だった。
田口は露骨に溜息を吐いた。
「ズルイって、相手は子供じゃないか」
「子供でも何でも。俺だってハヤミなのに、お前に名前で呼ばれたことなんか無いぞ」
「そりゃそうだろ」
速水の言い分に、田口は呆れるばかりだった。
大学に入ってからの知り合いなのだ。
体育会系の部活繋がりでもなかった。
その年の男同士が、ファーストネームで呼び合うのは異例と言ってもいいだろう。
「まったく、お前は突拍子もないことばかり……」
「突然ってワケじゃないぞ」
呆れる一方の田口に対し、不貞腐れるのを止めた速水は、今度は偉そうに胸を反らせた。
愚痴外来のソファで堂々と宣言する。
「恋人に名前で呼んで貰いたいってのは、当たり前の願望だろうが」
「あ――――…………」
そこを突かれると、田口も弱い。
一応速水とは恋人同士で、今まで何度か名前呼びを提案されてはいたのだ。
田口はその度に速水の提案を却下していた。
呼ぶのも呼ばれるのも、羞恥心に耐え難いからだ。
「ズルイなぁあ」
「…………」
「同じハヤミなのになぁあ」
「………………」
「どうして俺はダメなんだろうなぁあ」
「……………………」
速水はわざとらしい口調で言葉を重ねる。
子供を羨むな、とか。
憐れみの心ってあるだろう、とか。
大体いいトシした大人が拗ねるな、とか。
言いたいことは幾つも心に湧いてはきたが、結局、田口はどれ一つとして口に出せなかった。
世の中、子供の我儘には勝てないものなのだ。
「…………解ったよ」
「んん?」
田口の諦めの呟きに、速水は期待したような眼を田口に向けた。
そうやって見られると、ますます口に出来なくなるのだが、速水にはそんな田口の繊細な心境など解らないらしい。
「…………晃一」
そっぽを向いて、ごくごく小さな声で、速水の名前を呼んだ。
速水が小さく笑う。
「聞こえないぞ?」
からかう言葉ではあったが、声は優しかった。
ちらっと見た表情も柔かい笑顔だったので、田口も怒るのを止めた。
自然と笑みが浮かんでくる。
「な、もう一回」
「仕方ないな…………」
速水の隣りに座って、耳に吹き込むように名前を囁いた。
ちょっとしたサービスは、速水を大層喜ばせたようだった。
小学二年生の女の子、早見美沙都(はやみ・みさと)ちゃんである。
病気とは思えない溌溂とした女の子で、却ってそんな明るい子が病棟に閉じ込められているという状況に、目頭も熱くなるというもの。
そんな子のささやかなお願いなど、可能な限り叶えてやりたいと田口が思うのも当然だった。
「それであの子は名前で呼んでるのか」
「まあ、そうだ」
速水の言葉に、田口は余所を向いたまま頷いた。
速水が真剣に考え込む表情になる。
田口はますますウンザリとした気分になった。
「ズルイ」
不貞腐れた表情の速水の口から出てきたのは、そんな一言だった。
田口は露骨に溜息を吐いた。
「ズルイって、相手は子供じゃないか」
「子供でも何でも。俺だってハヤミなのに、お前に名前で呼ばれたことなんか無いぞ」
「そりゃそうだろ」
速水の言い分に、田口は呆れるばかりだった。
大学に入ってからの知り合いなのだ。
体育会系の部活繋がりでもなかった。
その年の男同士が、ファーストネームで呼び合うのは異例と言ってもいいだろう。
「まったく、お前は突拍子もないことばかり……」
「突然ってワケじゃないぞ」
呆れる一方の田口に対し、不貞腐れるのを止めた速水は、今度は偉そうに胸を反らせた。
愚痴外来のソファで堂々と宣言する。
「恋人に名前で呼んで貰いたいってのは、当たり前の願望だろうが」
「あ――――…………」
そこを突かれると、田口も弱い。
一応速水とは恋人同士で、今まで何度か名前呼びを提案されてはいたのだ。
田口はその度に速水の提案を却下していた。
呼ぶのも呼ばれるのも、羞恥心に耐え難いからだ。
「ズルイなぁあ」
「…………」
「同じハヤミなのになぁあ」
「………………」
「どうして俺はダメなんだろうなぁあ」
「……………………」
速水はわざとらしい口調で言葉を重ねる。
子供を羨むな、とか。
憐れみの心ってあるだろう、とか。
大体いいトシした大人が拗ねるな、とか。
言いたいことは幾つも心に湧いてはきたが、結局、田口はどれ一つとして口に出せなかった。
世の中、子供の我儘には勝てないものなのだ。
「…………解ったよ」
「んん?」
田口の諦めの呟きに、速水は期待したような眼を田口に向けた。
そうやって見られると、ますます口に出来なくなるのだが、速水にはそんな田口の繊細な心境など解らないらしい。
「…………晃一」
そっぽを向いて、ごくごく小さな声で、速水の名前を呼んだ。
速水が小さく笑う。
「聞こえないぞ?」
からかう言葉ではあったが、声は優しかった。
ちらっと見た表情も柔かい笑顔だったので、田口も怒るのを止めた。
自然と笑みが浮かんでくる。
「な、もう一回」
「仕方ないな…………」
速水の隣りに座って、耳に吹き込むように名前を囁いた。
ちょっとしたサービスは、速水を大層喜ばせたようだった。
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COMMENT
萌を有難う御座いました!
こんばんは。
リクエストを引き受けていただき、有難う御座いました!
あまりのラブラブっぷりに読む度ににやにやが止まりませんv
そして女の子の名前に私の名前を参考に使っていただいて、恐縮です。田口先生に名前で呼んでもらえた上に、速水先生に羨ましがられているというのも想像するとなかなか素敵な構図でしたが、もしそのまま使っていただいていたら興奮しすぎて心臓が持たなかったかもしれません。(笑)
本当に素敵な話を書いてくださり、有難う御座いました。
あと畏れ多い事なのですが、この話を勢いのあまり絵に描いてしまいました。こちらの方に貼らせていただいてますので宜しければ・・・。
ttp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=12592621
まだまだ暑い日々が続きますが、ご自愛ください。
これからも陰ながら応援しております。
リクエストを引き受けていただき、有難う御座いました!
あまりのラブラブっぷりに読む度ににやにやが止まりませんv
そして女の子の名前に私の名前を参考に使っていただいて、恐縮です。田口先生に名前で呼んでもらえた上に、速水先生に羨ましがられているというのも想像するとなかなか素敵な構図でしたが、もしそのまま使っていただいていたら興奮しすぎて心臓が持たなかったかもしれません。(笑)
本当に素敵な話を書いてくださり、有難う御座いました。
あと畏れ多い事なのですが、この話を勢いのあまり絵に描いてしまいました。こちらの方に貼らせていただいてますので宜しければ・・・。
ttp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=12592621
まだまだ暑い日々が続きますが、ご自愛ください。
これからも陰ながら応援しております。
Re:萌を有難う御座いました!
いらっしゃいませ、コメント有り難う御座います。
改めてキリ番ヒットおめでとう御座いましたっ。
>ピクシブ
ちょっと素敵過ぎるんですけどっ! ピクシブってこれ画面大きくならないっけっ?! アカウント取らないとダメなのか?
もっとデカいのでじっくり視姦したいところです。
しかし私、あんなシーン書いただろうか? ウロ覚えですよ、ねえ。
お名前は事後承諾ですみません。せめて美しい漢字を並べてみたつもり。
日本全国暑いですよねぇ。
さとみ様こそ、お体にはお気を付け下さいませ。
またの機会を楽しみにしております。
改めてキリ番ヒットおめでとう御座いましたっ。
>ピクシブ
ちょっと素敵過ぎるんですけどっ! ピクシブってこれ画面大きくならないっけっ?! アカウント取らないとダメなのか?
もっとデカいのでじっくり視姦したいところです。
しかし私、あんなシーン書いただろうか? ウロ覚えですよ、ねえ。
お名前は事後承諾ですみません。せめて美しい漢字を並べてみたつもり。
日本全国暑いですよねぇ。
さとみ様こそ、お体にはお気を付け下さいませ。
またの機会を楽しみにしております。