55000ヒットの初さまのリクエストです。
初さま、ヒットおめでとう御座います。
そしてまた、リクエスト有り難う御座います。
ラヴィアンローズシリーズがあるのも、皆様のリクエストのお陰です。
今回のリクエストは「すずめ四天王が速水家で家呑み」ということでした。
もう少し詳細なリクだったのですが、ネタばれになるのでこのくらいに省略です。
真っ先に浮かんだのが、夢から覚めた後の速水の所業でした。
私って基本速水イジメなんでしょうかね。
それでは、こんなカンジでどうぞです。
初さま、ヒットおめでとう御座います。
そしてまた、リクエスト有り難う御座います。
ラヴィアンローズシリーズがあるのも、皆様のリクエストのお陰です。
今回のリクエストは「すずめ四天王が速水家で家呑み」ということでした。
もう少し詳細なリクだったのですが、ネタばれになるのでこのくらいに省略です。
真っ先に浮かんだのが、夢から覚めた後の速水の所業でした。
私って基本速水イジメなんでしょうかね。
それでは、こんなカンジでどうぞです。
「こんばんは。あきちゃん、きみちゃん、これお土産ね」
「彦根のおじちゃま、こんばんはっ」
「ありがとう、彦根のおじちゃまっ」
玄関先で、速水家の双子の娘たち・晃子と公子がはしゃぐ声がする。
苦笑を浮かべながら、速水は彦根とその後ろにいる島津を出迎えた。
「手土産なんて悪いな。あき、きみ、御礼はちゃんと言えたのか?」
「「言えた――っ!!」」
「よし、偉いぞ。ママに見せておいで」
「「はぁいっ!!」」
パタパタと双子たちは奥へ駆けていく。
それを見送る速水に、彦根と島津はニヤニヤと笑った。
「…………あんだよ?」
「いんや?」
「何でもないですよ」
二人の視線に気付いた速水は島津と彦根を交互に睨みつけたが、二人ともしらばっくれた答えを返すのみだった。
玄関先で睨み合うのもバカらしいので、速水は一つ息を吐くと、二人を奥へ通した。
久々に彦根が桜宮にやってきて、じゃあ歓迎の酒宴を、という話になった。
だが、速水と田口には可愛い二人の娘たちがいて、夜遊びは出来ない。
それなら、速水家で呑めばいい。
寧ろ当然の話の成り行きとして、速水家でのすずめ四天王吞み会が決定したのである。
奥のテーブルには、田口が用意した酒肴が整えられていた。
「ママ、これもらった――っ!」
「きみはこれ――っ!」
「そっかぁ、よかったな。取り敢えず座れよ」
彦根に貰ったキャンディバッグを晃子と公子は田口に見せる。
その二人の頭を撫でてながら、田口は彦根と島津を促した。
「あ、お前らそっちな」
「おお」
速水が横から二人の席を指示した。
田口と速水は普段の自分たちの席だ。
普段は晃子と公子が使っている場所を、急遽客席として設えた。
「そこ、あきの場所っ!」
「きみこっち――っ」
晃子と公子が交互に言う。
場所を奪われて口惜しいのではなく、自分の場所を「貸している」ことが楽しいらしい。
子供の優越感は他愛も無く、実に微笑ましいものである。
「ちょっと貸りるね」
「「うん、どうぞっ!!」」
彦根が借用の挨拶をすると、双子は堂々としたお返事をしたのだった。
酒宴の間も実に賑やかだった。
「ホント、賑やかですね」
「二人分だからな」
彦根の言葉に速水も苦笑を浮かべてしまった。
二人の視線の先では、双子たちが田口にまとわりついている。
子供たちは、テーブルの上の酒肴が欲しくて仕方ないのだ。
田口はのんびり酒も飲んでいられない。
「ママ、ちょーだいっ!」
「きみもほしい――っ!」
「まったく、お前たち……もう寝る時間過ぎてるだろ?」
「「まだ眠くな――いっ!!」」
晃子と公子の口にフライドポテトを突っ込みながら、田口は呆れた顔で言った。
軽い興奮状態の二人は声を揃えた。
見ていた島津がくつくつと喉の奥で笑う。
「夏休みなんだろ? いいじゃないか。あきちゃん、これ食うかい?」
「食う!」
島津が差し出したのはチーズクラッカーだ。
晃子は小さな手で受け取ると、早速音を立てて食べ始めた。
小さな欠片がポロポロとフローリングへ落ちる。
「ああぁ~~~~…………」
子供がいる以上仕方の無いことではあるが、田口は掃除のことを考えて情けない顔になった。
その間にも、島津は双子たちを甘やかす。
「おじちゃん、きみも~~」
「そっか。こっち来な」
公子に強請られて、島津は公子をひょいと抱き上げた。
自分の膝の上に立たせるようにする。
最初はぐらっと揺れた公子だが、島津の大きい手が腹を支えているのですぐにバランスを取れるようになった。
テーブル全体が俯瞰できるのが面白いらしく、公子は声を上げて笑った。
「どれ食べたい?」
「あれっ!」
「へえ、野菜食べられるのか。偉いな、きみちゃんは」
生の胡瓜に味噌を添えたものだ。島津は味噌を掬って渡してやる。
両手で胡瓜を持つと、公子は島津の脚の上に立ったまま胡瓜を食べ始めた。
「偏食の速水先輩とは大違いですね。田口先輩の躾の賜物かな?」
「五月蠅ぇよ」
ニヤつく彦根を速水は横目で睨む。
高い場所にいる双子の片割れが羨ましくなって、晃子が島津の袖を引いた。
「おじちゃん、あきもっ。あきも抱っこ!」
「ああ、解った。きみちゃん、ちょっと交代な」
「えぇ――っ?!」
島津の発言に公子が心底不満そうな声を上げる。
すると今度は、晃子が不貞腐れた顔をする。
「きみちゃんズルイぃ~~っ」
「あき、こっち来るか?」
地団太を踏む晃子に速水が声をかけた。
だが、晃子は首を横に振った。
「ヤだっ! おじちゃんがいいっ!」
「…………っ?!」
「あ、嫌われた」
晃子の返答に、速水は硬直した。
咄嗟に言葉も出てこない。
そこにまた、彦根が追い討ちをかける。
別に、晃子も速水が嫌いになったわけではない。
視野狭窄に陥っているというか、今の晃子の脳裏に「島津の膝の上」以外の選択肢は無いのだろう。
考えれば解ることだろうに、速水の表情には絶望が漂っている。
「落ち込むから止めてやれ、彦根」
取り敢えず田口がやったことは、余計な口を利く後輩を窘めることだった。
「覚悟しやがれ、この野郎っ!」
「いきなり朝っぱらから何なんだっっ?!」
翌日の、東城大病院。
救命救急センアー部長に襲撃される放射線科准教授の姿に、一同はワケも解らず首を傾げることになるのである。
「またトンチキな夢でもみたな、速水のヤツ…………」
理由に勘付いたのは神経内科の万年窓際講師だけだったが、田口は知らん顔してその場を通り過ぎたのだった。
「彦根のおじちゃま、こんばんはっ」
「ありがとう、彦根のおじちゃまっ」
玄関先で、速水家の双子の娘たち・晃子と公子がはしゃぐ声がする。
苦笑を浮かべながら、速水は彦根とその後ろにいる島津を出迎えた。
「手土産なんて悪いな。あき、きみ、御礼はちゃんと言えたのか?」
「「言えた――っ!!」」
「よし、偉いぞ。ママに見せておいで」
「「はぁいっ!!」」
パタパタと双子たちは奥へ駆けていく。
それを見送る速水に、彦根と島津はニヤニヤと笑った。
「…………あんだよ?」
「いんや?」
「何でもないですよ」
二人の視線に気付いた速水は島津と彦根を交互に睨みつけたが、二人ともしらばっくれた答えを返すのみだった。
玄関先で睨み合うのもバカらしいので、速水は一つ息を吐くと、二人を奥へ通した。
久々に彦根が桜宮にやってきて、じゃあ歓迎の酒宴を、という話になった。
だが、速水と田口には可愛い二人の娘たちがいて、夜遊びは出来ない。
それなら、速水家で呑めばいい。
寧ろ当然の話の成り行きとして、速水家でのすずめ四天王吞み会が決定したのである。
奥のテーブルには、田口が用意した酒肴が整えられていた。
「ママ、これもらった――っ!」
「きみはこれ――っ!」
「そっかぁ、よかったな。取り敢えず座れよ」
彦根に貰ったキャンディバッグを晃子と公子は田口に見せる。
その二人の頭を撫でてながら、田口は彦根と島津を促した。
「あ、お前らそっちな」
「おお」
速水が横から二人の席を指示した。
田口と速水は普段の自分たちの席だ。
普段は晃子と公子が使っている場所を、急遽客席として設えた。
「そこ、あきの場所っ!」
「きみこっち――っ」
晃子と公子が交互に言う。
場所を奪われて口惜しいのではなく、自分の場所を「貸している」ことが楽しいらしい。
子供の優越感は他愛も無く、実に微笑ましいものである。
「ちょっと貸りるね」
「「うん、どうぞっ!!」」
彦根が借用の挨拶をすると、双子は堂々としたお返事をしたのだった。
酒宴の間も実に賑やかだった。
「ホント、賑やかですね」
「二人分だからな」
彦根の言葉に速水も苦笑を浮かべてしまった。
二人の視線の先では、双子たちが田口にまとわりついている。
子供たちは、テーブルの上の酒肴が欲しくて仕方ないのだ。
田口はのんびり酒も飲んでいられない。
「ママ、ちょーだいっ!」
「きみもほしい――っ!」
「まったく、お前たち……もう寝る時間過ぎてるだろ?」
「「まだ眠くな――いっ!!」」
晃子と公子の口にフライドポテトを突っ込みながら、田口は呆れた顔で言った。
軽い興奮状態の二人は声を揃えた。
見ていた島津がくつくつと喉の奥で笑う。
「夏休みなんだろ? いいじゃないか。あきちゃん、これ食うかい?」
「食う!」
島津が差し出したのはチーズクラッカーだ。
晃子は小さな手で受け取ると、早速音を立てて食べ始めた。
小さな欠片がポロポロとフローリングへ落ちる。
「ああぁ~~~~…………」
子供がいる以上仕方の無いことではあるが、田口は掃除のことを考えて情けない顔になった。
その間にも、島津は双子たちを甘やかす。
「おじちゃん、きみも~~」
「そっか。こっち来な」
公子に強請られて、島津は公子をひょいと抱き上げた。
自分の膝の上に立たせるようにする。
最初はぐらっと揺れた公子だが、島津の大きい手が腹を支えているのですぐにバランスを取れるようになった。
テーブル全体が俯瞰できるのが面白いらしく、公子は声を上げて笑った。
「どれ食べたい?」
「あれっ!」
「へえ、野菜食べられるのか。偉いな、きみちゃんは」
生の胡瓜に味噌を添えたものだ。島津は味噌を掬って渡してやる。
両手で胡瓜を持つと、公子は島津の脚の上に立ったまま胡瓜を食べ始めた。
「偏食の速水先輩とは大違いですね。田口先輩の躾の賜物かな?」
「五月蠅ぇよ」
ニヤつく彦根を速水は横目で睨む。
高い場所にいる双子の片割れが羨ましくなって、晃子が島津の袖を引いた。
「おじちゃん、あきもっ。あきも抱っこ!」
「ああ、解った。きみちゃん、ちょっと交代な」
「えぇ――っ?!」
島津の発言に公子が心底不満そうな声を上げる。
すると今度は、晃子が不貞腐れた顔をする。
「きみちゃんズルイぃ~~っ」
「あき、こっち来るか?」
地団太を踏む晃子に速水が声をかけた。
だが、晃子は首を横に振った。
「ヤだっ! おじちゃんがいいっ!」
「…………っ?!」
「あ、嫌われた」
晃子の返答に、速水は硬直した。
咄嗟に言葉も出てこない。
そこにまた、彦根が追い討ちをかける。
別に、晃子も速水が嫌いになったわけではない。
視野狭窄に陥っているというか、今の晃子の脳裏に「島津の膝の上」以外の選択肢は無いのだろう。
考えれば解ることだろうに、速水の表情には絶望が漂っている。
「落ち込むから止めてやれ、彦根」
取り敢えず田口がやったことは、余計な口を利く後輩を窘めることだった。
「覚悟しやがれ、この野郎っ!」
「いきなり朝っぱらから何なんだっっ?!」
翌日の、東城大病院。
救命救急センアー部長に襲撃される放射線科准教授の姿に、一同はワケも解らず首を傾げることになるのである。
「またトンチキな夢でもみたな、速水のヤツ…………」
理由に勘付いたのは神経内科の万年窓際講師だけだったが、田口は知らん顔してその場を通り過ぎたのだった。
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