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こちらは、愚痴外来シリーズの妄想文を展開するブログです。 行灯先生最愛、将軍独り勝ち傾向です。 どうぞお立ち寄り下さいませ。
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それでは早速、11日の記念日から。

傘の日/雨漏り点検の日

となっております。
これもまた選びようのない二択といいますか……。
既に傘の日は去年ネタにしてしまったのですが、別のバージョンでやってみる。
ふっふっふ……まだあの王道ネタは使ってないんだぜ。
そして使わないんだぜ。
来年も出来るかもしれない、傘の日。


午後、サイト更新する予定です。
その際にはまたお知らせ致します。

玄関を開けて、湿った匂いに気付いた。
中空に目を凝らせば、グレイを背景に落ちてくる水に気付く。

「あちゃあ。降ってきたか」
「え? 雨?」

速水の声に、田口も奥からやってきた。
狭い玄関から、互いに身を乗り出すようにして外を見る。
アパート前の駐輪場の屋根を打つ水の音が聞こえた。
無意味にかけっぱなしのテレビのせいで気付かなかったのだ。

「行灯、傘貸して」
「いいけど…………」

速水が頼むと、田口は傘立てを探り始めた。
その手がふと止まる。
速水に背中を向けたまま、肩越しに田口は速水を窺ってきた。
その頬がほんのりと赤い。
目を合わせないまま、田口はひっそりと呟いた。

「今帰らなくてもいいんじゃないか? 雨降ってるし……」
「田口…………」

それはつまり。つまり、だ。
帰って欲しくない、という田口のささやかな意思表示を、速水は確かに読み取った。
指の先で服を掴まえるような、遠慮がちな束縛が嬉しい。
速水はにやりと笑うと、開けた扉を再び閉めた。
かちゃん、と鍵の落ちる音に、田口の肩が跳ねる。

「それじゃ、もうちょっと邪魔するかな」
「あ、うん、どうぞ」

速水が言うと、田口が慌てた口調で言いながら中へ戻る。
玄関は狭いので、先がつかえている状態だ。
その背中を見据えながら、後ろから抱き締めるタイミングを速水は計った。
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