すみません、香りのある花が好きなんです第2弾。
ぎりぎりアウト気味だが、ウチの地域はまだ残ってるもん。
金木犀をネタにした時の前振りで喋ったと思いますが、香りのある花が好きです。
この時期はマイフェイバリット・花木、沈丁花の香りがします。
帰宅した玄関先や通勤途中で香りを嗅ぐと、嬉しくなる。
今回のネタは沈丁花じゃないのですがね……。
若干三月企画の別れネタにひっかかるのかな?
ところで東城大には桜以外にどんな木が生えているのだろう?
霧島の学生時代の記憶だと、大学構内というのはあっちに桜、こっちに松、向こうに楓、奥に竹、といろんなところにいろんな木が生えているものなのですが、単に霧島んトコがほどほど田舎にあるせいか?
まあそんなワケで、勝手に木を植えました。ご了承下さい。
ぎりぎりアウト気味だが、ウチの地域はまだ残ってるもん。
金木犀をネタにした時の前振りで喋ったと思いますが、香りのある花が好きです。
この時期はマイフェイバリット・花木、沈丁花の香りがします。
帰宅した玄関先や通勤途中で香りを嗅ぐと、嬉しくなる。
今回のネタは沈丁花じゃないのですがね……。
若干三月企画の別れネタにひっかかるのかな?
ところで東城大には桜以外にどんな木が生えているのだろう?
霧島の学生時代の記憶だと、大学構内というのはあっちに桜、こっちに松、向こうに楓、奥に竹、といろんなところにいろんな木が生えているものなのですが、単に霧島んトコがほどほど田舎にあるせいか?
まあそんなワケで、勝手に木を植えました。ご了承下さい。
節分、立春が過ぎると少しずつ空気が暖かくなってくるのは確かだった。
勿論まだ寒さがぶり返す日もある。
だが、完全防寒装備で通勤しなくても大丈夫になった。
そうなると、まず咲き始めるのは梅の花。
「春ですねえ」
「はあ」
病院長の長閑なセリフに、田口はどうとでもとれる相槌を打った。
先程まで、中央官庁がどうのという生臭い話をしていたとは思えない。
窓から外を見ていた病院長は、ちょいちょいと田口を手招いた。
「?? 何です?」
「ほら、下。見てごらんなさい」
「は?」
促されるままに下を見れば、病院の中庭が見えた。
この部屋には何度か来たことがあるし、窓からの眺望もよく見るものだったが、遠景ばかりで近景を見たことはなかった。
何故だか和風に誂えたらしい中庭には、白い梅が咲いている。
「へえ……結構立派な梅ですね」
いち早く春の到来を告げる花に、田口の表情も綻んだ。
「あれを植えさせたのは先代の病院長ですから、年数的にはそんなに経っていないんですがね」
「それでも、二十年じゃないですか?」
確か田口が入局する数年前に、先代の佐伯病院長が就任している筈だ。
二十年あれば、若木もそれなりの太さになるだろう。
「佐伯先生は、梅がお好きだったんですか?」
話の流れから当たり前の疑問を田口は口に載せた。
しかし、高階の答えは皮肉っぽい笑みと共に返ってきた。
「いや、あれは皮肉のつもりらしいですよ」
「…………は?」
「菅公の和歌があるでしょう。病院長が代わっても、花は変わらず咲くものだということらしい」
「はあ…………」
カンコウ、というのが菅原道真であることを思い出すのに、少し時間がかかる。
一つ思い出せば、そう言えば菅公の歌に有名な歌があったなと、芋づる式に思い出した。
主人のいない家でも春を忘れずに花開けと命じる歌。
確かに、その歌の中の花は梅だった。
「今…………主が不在なのはオレンジでしょうか」
オレンジ2階の小児科に教授はいるが、オレンジ1階の正式なトップは不在だ。
高階の言葉に田口もそっと目を伏せる。
彼の居る極北は遠い。
幾ら東風が吹いても、彼の地に花の香を届けることは出来ない。
「つまらないことを言いましたね。戻って構いませんよ」
「……はい。失礼しました」
気分を切り替えて明るい口調で言う高階に一礼し、田口は窓から離れた。
去り際に見た梅の枝は、風に揺れて小さく震えていた。
勿論まだ寒さがぶり返す日もある。
だが、完全防寒装備で通勤しなくても大丈夫になった。
そうなると、まず咲き始めるのは梅の花。
「春ですねえ」
「はあ」
病院長の長閑なセリフに、田口はどうとでもとれる相槌を打った。
先程まで、中央官庁がどうのという生臭い話をしていたとは思えない。
窓から外を見ていた病院長は、ちょいちょいと田口を手招いた。
「?? 何です?」
「ほら、下。見てごらんなさい」
「は?」
促されるままに下を見れば、病院の中庭が見えた。
この部屋には何度か来たことがあるし、窓からの眺望もよく見るものだったが、遠景ばかりで近景を見たことはなかった。
何故だか和風に誂えたらしい中庭には、白い梅が咲いている。
「へえ……結構立派な梅ですね」
いち早く春の到来を告げる花に、田口の表情も綻んだ。
「あれを植えさせたのは先代の病院長ですから、年数的にはそんなに経っていないんですがね」
「それでも、二十年じゃないですか?」
確か田口が入局する数年前に、先代の佐伯病院長が就任している筈だ。
二十年あれば、若木もそれなりの太さになるだろう。
「佐伯先生は、梅がお好きだったんですか?」
話の流れから当たり前の疑問を田口は口に載せた。
しかし、高階の答えは皮肉っぽい笑みと共に返ってきた。
「いや、あれは皮肉のつもりらしいですよ」
「…………は?」
「菅公の和歌があるでしょう。病院長が代わっても、花は変わらず咲くものだということらしい」
「はあ…………」
カンコウ、というのが菅原道真であることを思い出すのに、少し時間がかかる。
一つ思い出せば、そう言えば菅公の歌に有名な歌があったなと、芋づる式に思い出した。
主人のいない家でも春を忘れずに花開けと命じる歌。
確かに、その歌の中の花は梅だった。
「今…………主が不在なのはオレンジでしょうか」
オレンジ2階の小児科に教授はいるが、オレンジ1階の正式なトップは不在だ。
高階の言葉に田口もそっと目を伏せる。
彼の居る極北は遠い。
幾ら東風が吹いても、彼の地に花の香を届けることは出来ない。
「つまらないことを言いましたね。戻って構いませんよ」
「……はい。失礼しました」
気分を切り替えて明るい口調で言う高階に一礼し、田口は窓から離れた。
去り際に見た梅の枝は、風に揺れて小さく震えていた。
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