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こちらは、愚痴外来シリーズの妄想文を展開するブログです。 行灯先生最愛、将軍独り勝ち傾向です。 どうぞお立ち寄り下さいませ。
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63333をヒットした、夜明前さまのリクエストです。
遅くなってゴメンなさい、もうホント……。
何回謝れば気が済むのやら。
そして、今更ではありますが、63333ヒットおめでとう御座います。


リク内容は「将軍行灯にちょっかいかけるゲリラの図」でした。
つまり将軍イジメなんですねっ。
皆さん好きだなぁ……って、霧島も同罪かな。


ニュースでちらっと見ましたが、「愚痴聞きビジネス」が結構流行っているそうです。
10分1000円とかで、電話で愚痴るんだそうだ。
朝の5時から「行灯先生ーっ」になったのは言う間でも無い。


「あ、ちょっ、待って…………っ」
「なあ、いいだろ?」

雰囲気はヤらしかった。
速水にとっては大層都合のいい万年床の上で、押し倒された田口がうろうろと視線を飛ばす。
カーテンの隙間から零れる光、ガラス越しに子供のはしゃぐ声。
明るい時間帯から情事に突入することへの抵抗は当然だ。
田口の考えていることは速水も充分承知だが、その気になった身体は容易に後戻り出来るものではない。
足を絡めて性器を刺激しながら、田口の唇に舌を差し込んでいった。

ピンポーンっ。

唐突に呼鈴が鳴った。
田口が驚いて身を縮める。
邪魔をされたくない速水は、田口を抱く腕の力を強めて田口の動きを封じた。
居留守を使ってしまえばいい。
田口の視線は何度も玄関へ向かうものの、速水はキスを止めなかった。
気も漫ろな舌を執拗に追いかける。

ピンポ-ンっ。

二回目の呼鈴が鳴る。
田口の反応は、最初よりも鈍かった。
速水のキスでぼーっとなってしまっているらしい。
それに満足して、速水はもう一度キスをする。
そのうちに訪問者の方も諦めるだろうと思った。
ところが、だ。

「田口せんぱーい! いるんでしょ――っ?! 寝てるんですかぁ?!」

聞き覚えのある声が、扉を叩く音と一緒に聞こえてきた。
田口は一瞬で意識を取り戻す。
速水も目を丸くした。

「ひ、こね?」
「何でアイツがここに…………?」

どう聞いても、すずめ四天王の一人・彦根新吾の声だった。
呆然としている間にも、彦根はがんがん扉を叩き、田口を呼ぶ。
最早ご近所に怒鳴り込まれるのも時間の問題だ。
速水は溜息を吐くと、立ち上がって玄関を開けに行った。

「どうも――っ」

開けた扉の外、実に軽薄な声と共に彦根はひらひらと手を振った。
速水が苦虫を噛み潰したような顔になるのも無理からぬことだ。

「何だよ?」
「あ、速水先輩来てたんですね。お久し振りです」
「ああよ」

久し振りと言っても前日「すずめ」で会っているのだが、わざわざそれを指摘するのも面倒臭くて、速水はいい加減な相槌を打った。
速水の手抜き応対を、彦根は気にも留めない。
速水の後ろからのそのそやってきた田口に、ビニール袋を手渡した。

「え?」
「実家から大量に送ってきたんでお裾分けです。先輩食べるでしょ?」

成り行きのままにビニール袋を受け取って、田口は中を覗き込む。
袋の中には、きのこ類が乱暴なほど大雑把に突っ込まれていた。

「お前んチ農家だっけ?」
「そういうワケじゃないんですけど」

横から覗き込んだ速水が尋ねると、彦根は微妙な答えを返した。
家族内のフクザツな事情とやらがあるのだろう。
速水も田口も、深く追求しなかった。

「ありがと。きのこ汁だなぁ」

田口はご満悦の表情だ。
面倒臭がりではあるが、割と家事をやる男である。
きのこメニューに田口の頬は緩んでいた。

「お、いいねぇ」
「いいですね」

速水と彦根の声が重なった。
速水は思わず彦根を見てしまう。
彦根は一瞬驚いた表情を浮かべたが、すぐにニヤっと笑った。

「せーんぱいっ」
「…………何だよ、その声?」

可愛らしさを装った声に、速水ばかりでなく田口も眉間に皺を寄せた。
先輩のそんな表情を、彦根は全く気にしない。

「きのこ汁、食べたいです」

真っ向ストレートなおねだりである。
田口は暫し彦根の顔を凝視すると、天井を仰いで溜息を吐いた。

「まあ、きのこ貰ったしな……」
「やった!」

田口の呟きは了解の返事同然だ。
彦根は歓喜の口笛を吹いた。



きのこ汁を待つ間、家事では役に立たない速水と彦根はヒマである。
コタツの上に突っ伏してグダグダととぐろを巻くしかない。

「お邪魔でしたか?」

彦根はにやっと笑いながら速水に囁いた。
速水が田口の家にいる理由も、彦根の来訪時の仏頂面の理由も、凡そ察しているらしい。
察していながらも、殊勝な顔で退散したりしないところが彦根である。
寧ろ、がっつり居座っている。

「ああ邪魔。すっげー邪魔。お前、食ったらとっとと帰れ」
「うっわ、酷い言い草!」

酷い、と言いながら彦根は笑っている。
つまり不機嫌な速水の反応を、いたく面白がっているのだ。
後輩に見透かされているのは忸怩たるものがある。
だが、不機嫌を押し隠して愛想を振りまく器用さを、速水は持ち合わせていなかった。
結果的にますます憮然とした表情になる速水である。

「おーい、ちょっと手伝え」
「はぁい」

田口からの声を機に、彦根はコタツを抜け出して田口の指示を仰ぎにいく。
一人コタツに残った速水は、長い長い溜息を吐いたのだった。





「あんまり速水イジメてやるなよな」
「田口先輩は優しいなぁ」

田口と彦根の間でそんな会話が密かに交わされていたのだが、速水は全く知らない話である。
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