青い花がさいたら

ひっさびさの更新ですが、キリリクでも企画リクでもありません。
すみません、すみません、すみません……。


突発思い付きの、行灯先生とヴァイオレットです。

ヴァイオレットって苗字から桜のイメージが強いけど、実は名前もお花なんだよ、可愛いよね！

……っていう話（超要約）です。多分。


さて以下、毎度おなじみの備忘録です。
ゴメンなさい、ゴメンなさい、ゴメンなさい……。

《キリリク溜め込み状況》

82222：らとあ様/将軍行灯、大学時代で文化祭の甘い話
82000：みやこ様/ご報告有り難う御座いました！
81111：みえ様/学生時代の将軍と行灯でイチャイチャイチャイチャ……。
78888：あびしにあ様/雀四天王がじゃれてる感じの
77000：nami様/あまあまな将軍と行灯
76666：月の輪さま/田口先生を落としたくて頑張る速水先生
75000:ちか様/雀四天王学生時代、将軍が行灯に恋した瞬間、をうっかり目撃する二人
74444：じゅん様/かっこいい将軍に惚れ直す行灯
64444：とむ様/リクエスト待機中


メリクリあけおめ企画消化状況　⇒　こちら


それでは続きをどうぞです。
実は、一回全てぶっ飛んだという呪われた話……！

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「あ、すみれ先生がいる」

その言葉に、すみれはつい首を傾げてしまった。
これが遠くから聞こえた台詞だったら、すみれも怪訝には思わなかっただろう。
発したのが自分の隣りに立つ田口だからだ。
すみれの視線を受けて、田口は茶目っ気のある笑顔を見せる。
その笑顔のまま、ある一点を指差した。
すみれがそこに目をやれば、紫色の小さい花がレンガの隙間で揺れていた。

「あ…………」
「ね？」

小さい小さい、スミレの花だ。
すみれが小さく声を上げると、田口は少しばかり得意げな笑顔を浮かべた。
その笑顔に、ほんの少しだけ心臓がスキップする。
そんな自分を直視出来ず、代わりにすみれは小さな花を見つめた。
細い茎は頼りなく風に揺れている。
確かに同じ名前ではあるが、自分とあの花は似ていないと思う。
すみれも双子の小百合も、姉の葵も、どちらかというと美人系だった。
そういう意味では名前を裏切っていると言える。
スミレの花のようであったら、じゃじゃ馬だのジャンヌダルクだのと渾名されることもなかっただろう。

「私、あんなに可愛くないですよ」
「そうかなぁ」

社交辞令上の謙遜に若干の自嘲を込めて、すみれは呟いた。
独り言程度の呟きだったが、田口から返事があった。

「すみれ先生は可愛いと思うけどなぁ……」

思いがけない呟きに、すみれはまじまじと田口を凝視する。
すみれの視線を受けて初めて、田口は自分が何を口走ったのか気付いたようだった。
口の中でえっと、とか、あの、とかをもごもごと繰り返す。

「私みたいなおじさんからすると、若い女性はみんな可愛いってことで一つ……」

誤魔化されてくれませんか、と。
内心グルグル考えたのであろう、田口が出した結論はセンスの欠片もないものだった。
そんな事を言われて喜ぶ女が、世の中の何処にいるだろう。
だが、それさえも田口らしいと思えば、怒りなど湧いてこない。
すみれは小さく噴き出した。

「ダメですよぉ、それってセクハラ！」

明るく笑って言えば、雰囲気もたちまち軽くなる。
田口は困ったような苦笑を浮かべたが、そのまま再び歩き出した。
田口の後ろに付いて歩きながら、ほんの一瞬だけすみれは振り返る。
紫色の小さな花が風を受けて揺れている。

スミレの花が咲いたら、田口はすみれを想ってくれるだろうか。

今日こんな話をしたのだ。
それくらいは期待してもいい気がした。