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こちらは、愚痴外来シリーズの妄想文を展開するブログです。 行灯先生最愛、将軍独り勝ち傾向です。 どうぞお立ち寄り下さいませ。
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暑い日が続きますが、皆様如何お過ごしでしょうか。
大分ご無沙汰しております、霧島です。
きちんとご挨拶するところから始めないと、忘れ去られているレベルです。


さて、今回は75000ヒット、ちか様のリクエストです。
もしかしたら、もう当サイトのことをお忘れかもしれません……そのくらい大昔のヒットです。
ホントに遅くなりました、申し訳ありませんでした!


リク内容は「雀四天王学生時代、将軍が行灯に恋した瞬間、をうっかり目撃する二人」ということでした。
将軍と行灯のきっかけってなんでしょうね?
行灯先生が大学構内で昼寝していたところを目撃した将軍が一目惚れ、とかありそうですよね。
つーか、大学構内をイメージすると行灯先生は、ぼけらーっと歩いているか寝てるかしか想像が出来ません。
そんな男に、よく惚れたモンだな将軍……。
まあそんなカンジで続きをどうぞ。


……のつもりだったんですけど、間違った!
この設定だとゲリラの出番が……ちか様ゴメンなさい!
それでも強行しますです。





剣道部という硬派運動部に入部した速水だったが、やはり大学生はそれなりに遊んでいるらしい。
いや、遊びの内容が合コンやら何やらではなく麻雀というあたりが、やはり硬派なのだろうか。
先輩に連れられて行った東城大学生御用達の雀荘「すずめ」に、たちまち速水も入り浸るようになった。
柔道部の島津と口を利くようになったのもこの頃だった。
島津の方も、部活動の縦の繋がりで麻雀を知ったクチらしい。

「へへっ、どうもっす」
「お前、なっまいき!」

先輩から点棒を撒き上げて速水が笑うと、実に口惜しそうに先輩が舌打ちする。
島津と、もう一人、中山という柔道部の先輩からも点棒が投げるように速水に渡される。
点棒を一つにまとめると、羅紗の上で小気味良い音を立てた。

「くっそ、もう止めだっ」
「お、何だ、逃げんのかよ?」
「カネねーっての」

剣道部の先輩が立ち上がる。
中山が挑発するような事を言ったが、剣道部の先輩は見栄も張らずに口にした。
そのまま席が一つ空く。

「さんまにすっか?」

さんま、というのが「三人麻雀」のことだというのも、そもそも三人でも麻雀が出来ることも、速水が知ったのはつい最近だ。
それはともかく、中山の台詞に速水は若干首を傾げた。
正直、三人麻雀は半端なカンジで、速水はあまり好きではなかった。
横目で島津を見れば、島津も何処となく気の進まない表情をしていた。
後輩二人の微妙な表情を読み取ったのだろう。
中山は思案気に周囲を見回す。
折よく、「すずめ」の入口が開いて一人の男が現れた。
一人。そう連れはいない。

「田口! ちょうどよかったっ」

中山がすかさず声を張り上げる。
田口と呼ばれた男はのっそりした動きで顔をこちらに向けた。

「何だ、メンツ足りないのか?」
「そ。座れや」

一つ空いた席を見れば導き出される、当たり前の結論だ。
誘われるままに田口は席に着いた。
見覚えの無い顔に、島津と速水はこっそり顔を見合わせる。

「コイツは田口。サボリが過ぎて留年してるけど、俺と同期入学だ」
「余計なことは言わなくていいよ」
「事実だろ。此処にも入り浸ってるしな」

中山の紹介に、田口は眉間に皺を寄せた。
ボサボサ頭にぼんやりした表情だが、年上という印象はない。

「へえ、強いんスか?」

入り浸っているからにはそれなりに強いのだろうか。
島津が尋ねると、中山はニヤリと笑って

「打ってみりゃ解るさ」

などと嘯く。
当の田口は実に嫌そうな顔だった。




結果はすぐに判明する。
田口は弱かった。

「お前、生意気……」
「すんません」

点棒を巻き上げられた田口が恨めしそうな顔で呟く。
流石に初対面の先輩相手に勝ち誇るワケにもいかず、速水は殊勝なフリして詫びた。
しかし、勝負は勝負だ。
先輩に勝ちを譲るような器用な真似は、速水には出来なかった。

「じゃあ次ラストなー」

牌が積み上がり、中山が号令をかける。
手元の並びもなかなか良い。
気が抜けていた、とは言い過ぎかもしれないが気が緩んでいたのは確かだった。
今夜の収支が勝ちに転びそうなこともその一因だっただろう。
黙々と牌を捨て、山を崩す。
速水が無造作に一つ牌を捨てた、次の瞬間だった。

「ロン」

空耳かと思ったほど、静かな口調だった。
しかし、パタパタと牌が倒れる音は、今度こそ空耳ではない。
使い古した牌のくせに、現れた九蓮宝灯は鮮やかだった。

「…………冗談だろ」
「いやいや、田口はこういうヤツなんだよ。ぼけーっとした顔してるくせに、とんでも手で上がったりするんだ」

思わず呟いた速水に、中山は訳知り顔に解説した。
度肝を抜かれた後輩たちを面白がっているのが明白である。
その、ぼけーっとした顔の田口は、中山の言い様に憮然とした顔をした。

「ぼけっとした顔で悪かったな。とっとと点棒寄越せっ」
「へいへい」

中山と島津が点棒を払う。
それから田口は、未だに呆然としていた速水を見た。

「ほら、お前も」
「あ、はい…………」

田口を上がらせてしまった速水は、多く点棒を差し出さなくてはならない。
それまで蓄えていた点棒の凡そ半分を速水は田口に押しやった。

「毎度ありっ」

点棒を貰った田口がにっこり笑う。
子供のようだ、と言ってもいい程の無邪気な笑顔だった。
毎度も何も、速水が田口に点棒を払うのは初めてである。
そんな矛盾にも気付かないほど、速水は衝撃を受けた。
衝撃の理由は知らない。
その時胸に芽生えたものが何かも、速水は解らない。
ただ、卓上の牌は片付けられ、ラストの宣言通りにお開きになって、面子が立ち上がって。

「なあ! また打てるっ?!」

田口の手首を掴んで速水は尋ねていた。
速水の勢いに田口はきょとんとした顔になったが、それからふんわりと笑う。

「俺は『すずめ』に入り浸ってるから、何時でも打てるよ」
「うっし!」

田口の返答に速水は上機嫌になる。
速水のテンションが理解出来なくて、島津も中山も揃って呆然としていた。




「よっぽどリターンマッチがしたいのかと思ったんだがなぁ」
「恋の花が咲いちゃったんですね」

二年ほど後の、島津の述懐である。
それを聞いた彦根が溜息を吐いた。
その溜息の矛先は、ボケた島津でもあるし、雀荘で恋に落ちた速水でもある。
そして当の速水と言えば。

「ツモ」
「げっ?! ちょっと待て、行灯!」

相変わらず、田口に一泡吹かせられているのだった。
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