ブログと日本語変換の相性が相変わらず悪いので、メモ帳に別書きしてコピペしてみるという暴挙にでました。
でもこれ、意外といけないか?
どうせサイト再録する時にはメモ帳からHTML化してんだしさ……挨拶文削れば済みそう。
何か、久々に猛烈にタイピングしている気分です。
指が踊るわ~。
他の面々分類にしますが、寧ろ小ネタ系かもしれない。
何となく思い浮かんだことをそのまま小噺にしただけの話です。
久々の愚痴外来創作、行灯先生ならありそうだな~と思って頂ければ幸いです。
では続きをぽちっとどうぞです。
「行灯、コーヒー」
不定愁訴外来室は、速水にしてみれば喫茶室である。
満天に行くよりも近いし、出てくるコーヒーは満天より美味だ。
そんなワケで今日も速水は田口の下に顔を出し、田口は相変わらずの顰め面でしか出迎えてくれない。
「だから、ウチは喫茶店じゃないって何度言えば覚えるんだ、お前は」
「あら、速水先生、いらっしゃい」
幾ら田口が顰め面をしても、影のボスである藤原看護師がにこやかに速水を迎え入れたので、速水の勝利は確立された。
そうして速水の前に出されたのは、田口拘りのコーヒー……ではなかった。
「……何で此処にスイカがあるんだ?」
病院にスイカ。似合うような似合わないような。
流石の速水も、一瞬どう反応していいか迷ってしまった。
見舞いの手土産にフルーツバスケットは定番の一つだが、スイカは普通は入っていない。
小玉スイカにしたって、病室で食べるには始末が悪いだろう。
また、退院挨拶に患者から看護師や医師に差し入れというのもあるが、そういう場合はばら撒き易い菓子類が主で、果物類はお目にかからない。
そんな事を考えていくと、病院にスイカというのはイレギュラーである。
「田口先生が頂いてきたんですよ」
細々とした用意をしながら、藤原が笑って速水に説明した。
スイカに合わせて冷たい麦茶。お手拭きと種取り用の楊枝も添えられている。
藤原の有能さ加減はどの場面でも遺憾なく発揮されるのだ。
「神経内科の患者さんに、家庭菜園をやってる方がいてね」
「四方山話ついでにスイカを貰うことになったんだな?」
「まあ、そんなところか」
「相変わらず年上にモテるな、お前は」
ジイちゃんバアちゃんという年代相手には、田口は滅法強かった。
四十も過ぎて未だに子供扱いなのか、田口は院内のあちこちで饅頭や煎餅を貰うのだ。
極楽病棟のお地蔵様という田口の渾名に引っ掛けて、そういった菓子類は「お供え物」と仲間内では呼ばれたりするのだが、このスイカも言ってみればお供え物のうちだ。
速水の言葉に田口はますます渋い顔になるが、頂き物を疎ましがっているワケではない。
「お盆だったしなぁ」
何てぴったりだろう。
感心しつつ、速水は一口スイカを齧る。
家庭菜園レベルを超えて立派に甘いスイカの瑞々しさは、汗をかいた身体に沁み入るのだった。
白衣にスイカのシミを作って、佐藤に呆れられるのはまた別の話だ。
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